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嫌なことあってもどっかでカッコつける

買い物の際は、ほぼ電子マネーを使うようにしてしばらく経つ。楽だ。スマホ一つで買い物に出かけられる。とんでもなく楽。
かといって財布を持たないわけではない。身分証もいるし、クレジットカードなんかも持っている。

夕方頃、腹が減りコンビニへ。近所のローソン。見た目は膨らんでるのに中身は減っている腹を満たすために食料を買いに出かけた。支払いはもちろん電子マネーだ。

店員さんの胸元には初心者マークがちょこんと張り付いていた。さりげなくもあり、きっちりと主張をしてくる初心者マークのとおり店員さんはまだレジ業務に慣れていない。たどたどしくも初々しいその手つきに私も謎の親心が芽生え、「大丈夫ですよ、ゆっくりでいいですからね。」と心の中で伝えて見守っていた。

「ポンタカードはお持ちですか?」

マニュアル通りだ。素晴らしい。ビギナーこそマニュアルの通りであるべし。孔子の言葉である。知らんけど。

電子マネーを使いこなす私が財布を持ち歩く理由の一つはここにある。ポイントカードはまだすべて電子化できていないのだ。まるで手品を披露するマジシャンの手さばきのごとくポイントカードを取り出し、レジ台へ。さあ、思う存分ポイントを付けるがよい。

しかしながら、店員さんはじっとカードを見つめ動かない。
OK。初心者マークの店員さんに対して、さっさとしろなどと私は思わない。ゆっくり頭の中で業務を処理してくれたまえ。
私は、不慣れな店員さんを微笑ましく見つめさせていただくことにした。

…おいおい。初心者ということを差し引いても、じっとしすぎではないか?さくっとポイントカードを処理してくれればよいものを。いつまでもカードを見つめている店員さんに対して、そろそろ声をかけようかと考えたその刹那、

「あの、これ、Tポイントカードですね。」

This is Lawson.(ここはローソンです)

店を出た私の顔が赤く染まっていたのは、きっと夕焼けのせいだった。

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