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ビートルズおすすめ本5選 -Part.②アドバンス編-

前回の「ビートルズおすすめ本5選 -Part.①ベーシック編-」に引き続き、第二弾「アドバンス編」として、今日は一歩踏み込んだビートルズ関連本をご紹介します。
ビートルズ入門的な5冊については第一弾をお読みください。

第二弾でも「今、簡単に手に入ること」というルールの下、星の数ほど出版されているのビートルズ本の中からわたしのお気に入りの本を5つ紹介させていただきます。

① ザ・ビートルズ史

まず、『ザ・ビートルズ史〈誕生編〉上・下』(マーク・ルイソン著/河出書房新社)
これはわたしがビートルズをお好きな方に全力でお勧めしたい本ですが、なんせボリュームがすごいこととまだ完結していないということで、ベーシック編ではご紹介しませんでした。

この厚み、且つ上下巻2冊組で、三部作のうちの第1部なんです。
ビートルズ研究家の第一人者マーク・ルイスンさんが執筆されていて、もうそろそろ第二部が出るかな?という進捗状況です。

「ビートルズのことはある程度知っているけど、彼らの歴史がもっと詳しく知りたい!」と思った方は必読です。
少し誤解を招く言い方になるかもしれませんが、「背筋を正して読みたくなる(良い意味で)細かすぎるビートルズ歴史本」みたいなイメージでよろしいかと思います。
この本の素晴らしいところは、膨大な数の事実の細かい検証にとどまらず、エモーショナルなドキュメントとしても楽しめるというところです。

ただ、現在発売されているこの【誕生編】はビートルズのメンバーの先祖の話からレコードデビュー直後1963年までの歴史になりますので、世界を圧巻したビートルズ活動期の内容を読みたい場合は第二部の発売をお待ち下さい。

第1部〈誕生編〉が発売された時に、第2部は2020年、第3部は2028年リリース予定と言われていましたが、スケジュールは延期になっています。
でもきっとそれだけたくさんの資料がルイソンさんの元に集まっているんだと期待して気長に待ちたいと思います。

② ワン、ツー、スリー、フォー:ビートルズの時代

2冊目は、『ワン、ツー、スリー、フォー:ビートルズの時代』(クレイグ・ブラウン著/白水社)です。こちらも『ザ・ビートルズ史』と同様に分厚い本ですが、一冊で完結するビートルズ物語です。そう考えると簡単に読めそうな気もしてきます。

エリザベス女王の妹マーガレット王女の伝記を描いたことで有名な著者が、150個にも及ぶエピソードからビートルズを立体的に描きます。
マーク・ルイソンさんのビートルズ史が史実に忠実な歴史本だとすると、こちらは著者本人のビートルズゆかりの地巡り紀行があったり"what if"的な創作があったりしますが、構成もドラマチックで、エピソードが細かく分けられているのでボリューミーですが読み進めやすいビートルズ伝記本と言えるのではないかと思います。
初めて読む話もいくつもあって、ワクワクしながら読みました。

この書籍は、2020年度にノンフィクションのためのベイリー・ギフォード賞を受賞しています。
kindle版もあるので、分厚い本を持ち運んだり保管する困難からも開放されます。ビートルズという神話をたどるには絶好の最新本ではないかと思います。

③ MUSIC LIFE各書

続いて紹介するのは『MUSIC LIFE』ムック本各種(シンコーミュージックMOOK)です。
前回のベーシック編の動画で『MUSIC LIFEが見たビートルズ』をご紹介しましたが、現在もシンコーミュージックからは主に新たなビートルズのイベントにあわせたタイミングでムック本が発行されています。

例えば最近だと、ビートルズのリードギタリスト ジョージ・ハリスンの【20周忌・日本公演30周年・ソロアルバム “ALL THINGS MUST PASS”リリース50周年】のタイミングで2021年に出版された『ジョージハリスン 美しきロック人生』

ピーター・ジャクソン監督によるドキュメンタリー作品【ザ・ビートルズ:GET BACK】と【アルバム “LET IT BE” 50周年記念版】リリースにあわせた
2022年出版の『ザ・ビートルズ ゲット・バック・プロジェクトの全貌』

そして、今年2023年2月には、アルバム “REVOLVER” のNewリミックスを解説した『ザ・ビートルズ リボルバー・エディション』が出版されています。

過去にも色々と興味深いテーマでムック本が出ていますので、気になるテーマにあわせて選ばれると良いかと思います。

ビートルズは恐ろしいことに、解散から半世紀経った今でも毎年、定説を覆すような驚きの新発見が爆誕し続けているモンスターバンドなので、レコーディングや音源についての情報もどんどん更新されています。
なので、新しい事実を適切に知るにはこういったテーマごとの最新のムック本を読むのがお手軽で良いのかな、と個人的には思っています。

因みに『ザ・ビートルズ ゲット・バック・プロジェクトの全貌』にはわたしも少しだけ原稿を書かせてもらっていますので、入手されることがありましたら探してみてください。

④ PHOTOGRAPH

4つ目はビートルズのドラマーリンゴ・スターが撮影した写真を集めた2015年発売の『PHOTOGRAPH By Ringo Starr』です。

カメラマン・リンゴにしか撮れないビートルズの素顔が見られるので私は大好きです。
飾っているだけでも絵になる装丁もお気に入りです。

ビートルズは写真集も鬼のような数が出版されていて、もちろん全部読みたいのですが、多くのものは絶版で手に入れるとなるとどうしても状態の悪い中古本を購入、ということになるためなかなか触手が伸びません。
今はググれば簡単にビートルズの画像を見ることが出来ますが、ページをめくりながら写真を1枚1枚まじまじと眺める喜びはまた一味違います。

⑤ ザ・ビートルズ・スタイル・ブック

そして最後にご紹介するのが、2021年発行『ザ・ビートルズ・スタイル・ブック』(吉野由樹著/ 2021年シンコーミュージックエンタテイメント)です。

「ビートルズは音楽という切り口以外でもなんぼでも語れる!」ということを体現している良書です。
4人のファッションやルックスが、若者を中心に60年代の文化に非常に大きな影響を与えたことは自明のことですが、2021年のドキュメンタリー作品『ザ・ビートルズ GET BACK』を見てビートルズはこんなにもオシャレだったのか!と改めて驚きました。

この本では、ジョン・ポール・ジョージ・リンゴのティーンエイジャーの時代から、ビートルズ解散までの彼らの髪型や衣装のスタイルについて,
とても丁寧に詳しくまとめられています。

著者が本書の中で書かれているように、ビートルズの「垣根や偏見のない、平和へとつながるメッセージは、衣装を通しても発信されていたのです」。

この本を読むと、ビートルズの映像を見るのがもっともっと楽しくなるのはもちろんのこと、サウンドやリリックの見え方も変わってくるような気がします。

最近では、ビートルズの音楽や彼らのバンド・ヒストリーをテーマにしたもの以外にも、「ビジネス」「食事」「ストレスマネジメント」などあらゆる視点でビートルズと絡めて書かれている本が登場していますが、この『ビートルズ・スタイル・ブック』は、ビートルズ自身にフォーカスしたビートルズ超・解説本と言えると思います。

おまけ

苦渋の決断で第2弾もなんとか上記5冊に絞りましたが、まだまだおすすめしたい本はたくさんあります。

わたしはアナログレコードにはまったく明るくありませんが、『ビートルズUK盤コンプリート・ガイド』はそんなわたしでも興味深くUKオリジナル盤コレクターの沼の世界に浸れる本です。

また、ビートルズと日本の関係について詳しく知りたいという方は、大村亨さんの『ビートルズと日本』シリーズの著書を読まれると良いと思います。

2023年発売予定のビートルズ本

❶ 1964: Eyes of the Storm

リンゴに続き、メンバーが撮ったビートルズの写真集が今年2023年の6月に発売になります。
ポール・マッカートニーが撮影した写真を集めた 『Paul McCartney 1964: Eyes of the Storm』(英語版)という写真集です。

ポールが1963年末から1964年初頭に、リバプール・ロンドン・パリ・ニューヨーク・ワシントンD.C・マイアミで撮影した厳選275点の写真が収められた「ビートルズの写真日記」だそうで、今から楽しみで仕方ないです。

❷ ディスカバー・ビートルズ THE BOOK

同じく6月に、NHK FMのラジオ番組の公式本『ディスカバー・ビートルズ THE BOOK』の発売も控えています。
現在第二弾が放送中の番組の、2020年の第一弾の放送をまとめた書籍のようで、DJの杉真理さんと和田唱さんの熱量がそのまま詰まった内容になるのか…期待大です。

❸ Living the beatles legend

そして11月には、ビートルズのロードマネージャーを務めたマル・エヴァンスの伝記本『Living the beatles legend: The Untold Story of Mal Evans』(英語版)の発売が予定されています。
ビートルズに最も近い人物のひとりである優しい大男・マルの日記や、彼が非業の死を遂げる前に書いていた回顧録の原稿や資料などを元にまとめられているようですが、この本もまた、私たちの知らないビートルズの一面やマル自身の姿を垣間見せてくれるんじゃないかと、ものすごく楽しみです。

まとめ

ビートルズおすすめ本10選

以上、2回に渡ってビートルズのおすすめ本を10冊(ちょっと)と、発売が待ち遠しい新刊3冊をご紹介しました。
特にわたしが読んでワクワクした本の中からなるべくバランス良く選んだつもりですが、他にもディープなビートルズの世界に誘ってくれる本はいくらでも存在しています。
個人的な好みで紹介させてもらった10冊の本を入り口に、ご自身の興味に沿って色々読み進めてみてください。

ビートルズ関連の書籍について話してきましたが、ビートルズの楽曲についての情報は、CDやレコードなどの音源についてくる解説文・ライナーノーツも最高の読み物であると思っています。
ただし、先ほど申し上げたようにビートルズの情報は日進月歩ですので、書籍同様なるべく新しいライナーノーツに触れることを推奨いたします。

そして、今回の企画では「今、簡単に手に入る本」というルールのもと紹介してきましたが、絶版になっていて入手しづらい良書もたくさんあります。

ビートルズ本は世界中に溢れています・・・

さらにビートルズのメンバーがソロになってからの本や、彼らに関わった重要人物による書籍も追っていくと、一生かかっても読み切れない気がします。わたしも入手したものの積読状態のものが何冊もあります。

それなのに図々しくも私の頭の中には「こんなテーマのビートルズ本を読んでみたいな」という構想がいくつかあります。
こんな風に世界中の数多のビートルズファンの脳内にビートルズ知識欲がある限り、ビートルズ本はこの世に誕生しつづけるでしょう。
そしてわたしは、これからもワクワクしながらページをめくり続けるんだろうなと思います。

もし、紹介した本の中に気になるものがあれば、是非購入したり図書館で探してみたりして読んでいただけると、ビートルズ妄想家としてはとても嬉しいです。
そして、わたしもまだまだ読めていない本が無限にありますので、是非「こんな面白い本があったよ!」というのを教えていただけると嬉しいです。

それでは、引き続き、素敵なビートリーライフをお過ごしください。🍏

▼ 実際に書籍を見ながらの紹介動画をYouTubeにアップしています。


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