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革靴を買ったら人生逆転しかけた話
もう何年履いたかわからない革靴があったとさ。
かかとの厚みは0cm…というより、穴空いててむしろマイナス2cmくらい笑
黒の光沢はもちろん皆無。
ダメージジーンズならぬダメージブラックシューズ。
略してダメブラ
※下着ではありません。
私の足は30cmある。店に無いのだ。革靴の30cmが!
世の靴屋さんよ!!
革靴を履くビジネスマンは皆28.5cmの足までしかないのか!?
私は人間ではないと申すか!?
ネットで買えと申すか!?
うぬら、靴は履いてから購入を判断したくないのか?
爪先がキュッとなって痛かったらどうする?
履いてみたら案外重かったらどうする?
なんか変な臭いがしたらどうするというのだっ!?
そんな理由を建前として、革靴購入を渋ったまま時が過ぎた。
ある日、よく人様の足元を見る癖がある同僚についにバレた…
「ざんげだほさん、革靴ペラッペラじゃないですか!?うわ、よく見たら穴空いてませんかーー?」
電話が鳴り続けるはずの部屋がなぜかそのとき静まっていた…
「ちょ、大きな声でっ!シーーッ!ああーもう…恥ずかしい!!」
思わぬ辱めを受けたわたしは、帰る電車内でデータ容量を気にせずAmazonをぐるぐるぐるぐるサーフィンした。
履きつぶしていた革靴とフォルムがそっくりで何とも機能性がある雰囲気の革靴をついにポチった!
届いた革靴はかかとのクッションが気持ちよく意外にもすんなり履ける素晴らしいチョイスだった!
普段家から駅まで自転車を漕ぐのだが、明らかに踏み込みの軽さが違うっ!
すいすいすいーーーーー
ホームを歩けばコツコツコツコツ…
な、なんだ?
このいかにもできるサラリーマンっぽい音は…
私はふいに株価を調べた。
どうだ…さもできる男風だろう?と言わんばかりに。
チャートを見て、「ふむ…」みたいな感じを出した。
明らかに自分に酔っているのだが、このイケメンブラックシューズ略してイケブラが私を雰囲気だけビジネスマンにしているようだ…
それからというもの、会社での仕事ぶりが自分でもよくわかるくらい変わった。
相手の業務の大変さを思いやるメールが明らかに増え、実際に話すときも優しさの塊のような発言が自然に出る…当然感謝の言葉も多くなった…
「いいですよ、私にお任せください✨」
「大変なんですね、私にできることあれば遠慮なく」
「大丈夫ですか?手伝いますよ?私?私は暇ですから」
「ざんげたほさんの資料ってほんとわかりやすいですよね、いつもありがとうございます!」
「丁寧に詳細を教えて下さりありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」
この優しさを前面に出して、いかにも自分の仕事はいつでも片づけられますから…みたいな余裕感を出す…
この革靴が私をそうさせているのだ…
あるとき同僚は言った。
「ざんげだほさん、やっと革靴買ったんすかーーーー!きったねー靴でしたもんねーーガハハハハー」
私は「フレックスだから…」と呟き、足音を立てないよう全意識を集中して定時の4時間前に帰宅した。
さ、サポート??マジですか? ありがとうございます!!!!