酔いどれ狂人の夜明け/岸暮葉
一つのまとまりを持った話を作ろうとする時、私は物語の中の出来事の因果関係を事務的に考えるがために登場人物に端的に仕事をあたえ、人物像を限定してしまうことが多い。
ある一つの思想を描くために登場人物を糸で動かし、ある一つの結果へ向かっていくために誘導してしまうような時には、その結果への道順として物語の論理が正しく成立しているかという事だけに私の心事は囚われがちになる。そういう時、書いているうちに心は離れている。
しかし多分それはあべこべで、心が乗らぬために私は論理を追いかけるの