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第五話:団地と祇園とラーメンと(小春日和の京都街歩き)

前回記事はこちらから。

街歩きコースはこちら(今回は④から⑦まで進みます)

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前回は外資系ホテルの隣にある「釘の家」(④)をみて、いかに自分が街の景色に注意を払わずに日々を過ごしているかということを気づかされたという話をしていた。

前々回から少し暗い話題が続いたが、気を取り直して釘の家のあった敷地を通り過ぎて次の角で右折する。この通りは、花見小路に繋がる道だが、観光ガイド本でよく見る祇園の風景はもう少し先だ。

少し南下すると団地(⑤)が見えてきた。京都に25年住んでいた身でも踏破していない場所はまだまだ多い。市内にいくつか市営や公社の団地があるが、ここ京都市営三条住宅という名前らしい。交差点の角には煙突らしきもののある不思議な建物が見える。

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裏手に回ると公衆浴場であることがわかる。

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街の銭湯ではなく、市立の公衆浴場というのが、なんともエモい。サムネのピロティもそうだが、団地の後継は、なぜか見たことないものなのに懐かしく思える。平成生まれの人間は、昭和にノスタルジーを感じるのだと思う。

市営住宅の団地を抜けると住宅やお店のスケール感が小さくなって、ようやく観光ガイド本などで馴染みのある祇園の街に近づいてくる。

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この辺りを少し寄り道(⑥)をして、グーグルマップのピンを頼りにいくつかのゲストハウスの前を確認したが、どこも緊急事態宣言下でおおむね休業中だった。

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当然、飲食店や観光客メインで商売をされている方の打撃は計り知れないのだが、そういった悲壮感をあまり感じないのは閑静な方が街並みの本来あるべき姿と合っているからかもしれない。この「静かな街並みの方が観光地としての価値が高い」「しかし人に来てもらわないことには街が潤わない」というバランスはいつも観光業の課題だと思う。

さらに寄り道をして今度は少し西に進むと舗装が石畳に変わる。石畳と路地と白川、この3点に春には桜が満開になれば、お馴染みの祇園の景観だが、今は人も疎らで少し物足りない感じだ。

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半分以上の飲食店が休業中の中、この路地沿いの町家の2階に入るラーメン屋さん「むらじ」が営業をしていた(⑦)ので、そこでお昼ご飯を食べることにした。正面の通り沿いからではなく路地から入るので勝手口から入るような感覚でもあり、同時にVIP用の特別な入口な感じもして、うまく作ってあると思う。

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外は閑散としているのに、店内は満席。少し待ってから、ラーメン鶏白を注文した。見た目以上に濃厚なスープは、少し落ち着きのある天一という感じだった。(美味しくいただきました)

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店内は和のテイストで塗り壁や木のカウンターなど落ち着いた雰囲気であったが、意匠的にはこちらの掃き出し窓が斬新だと思った。町家の構造として一般的なのかわからないが、窓の外に格子と簾がとりついているて、窓の外からは気持ち良い風が入ってきていた。

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腹ごしらえも終えたところで折り返しだ。もう少しペースを上げていこうと思う。

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