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第六話:帝国の格、数寄屋の余裕(小春日和の京都街歩き)

前回記事はこちらから。

街歩きコースはこちら(今回は⑦から⑨まで進みます。)

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祇園の町家でラーメンを食べて、花見小路を南下する。四条通の少し北側のエリアは先ほどの石畳の小路から一転、アスファルトとスナックや居酒屋、夜のお店の入る雑居ビル建ち並び、急に俗世というか人間臭い街に戻ってきた気持ちになる。

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四条通まで南下してくると視界が開ける。鴨川以東の四条通は八坂神社の参道となり、アーケードのかかる歩道沿いにお土産屋さんやホテルが建ち並ぶ。正面右手に見えるホテルはアパホテル、奥に八坂神社の門が見える。

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四条通を渡り、さらに花見小路を南下していくと、また石畳の風景に変わる。こちらはお茶屋や料亭が建ち並び観光客にも人気のスポットとなっている。舞妓さんが歩いてそうなイメージだ。

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そして花見小路に繋がる青柳小路は、町家が建ち並び奥には東山を臨むことができ、こちらは花見小路よりもさらに落ち着いた京都らしい景観になっている。

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前回の団地からスタートして、この花見小路を南下していくだけで、かなり目まぐるしく光景が変わっていった。そのなかで「いかにも京都らしい光景」はごく一部。前回通った祇園新橋は「伝統的建築物保存地区」で、今歩いている祇園町南は「景観保全修景地区」と地区の制度も違うらしい。

こういうことを調べ出すと迷宮入りしそうだ。そんなことを考えながら、ところどころ寄り道しながら進んでいると、町家が建ち並ぶ街並みの中で、突然空き地が現れた(⑧)

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建築計画の看板を覗きこんでみて、初めてここが帝国ホテルの建設予定地だと知った。建築主の「株式会社帝国ホテル」が放つ威厳たるや。背後に見える、国の登録有形文化財の「弥栄会館」を改修し、東京、上高地、大阪に次いで、全国で4つめの「帝国ホテル」となる予定だ。

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ちなみに設計者の木村得三郎は、先斗町の歌舞練場や大阪松竹座の設計も手掛けた劇場建築の名士だそうだ。弥栄会館の庇のファサードは、フランクロイドライトの水平性を強調するデザインと通じるものがある気がするし、「帝国」の名を冠するのに相応しい「格」を感じる

この弥栄会館をぐるっと回って、東大路通の方へ向かう。途中でまたいくつものゲストハウスや旅館のファサードを写真に収めながら、悪縁を切り良縁を断ち切る安井金毘羅宮の境内を通り、東大路通を渡る。

少し見てみたいと思っていた旅館(ホテル)があったので、少し北に戻った。その名前もLuxury Hotel SOWAKA(⑨)

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上の写真が数寄屋造りの本館で、下の写真が新館。設計の魚谷さんは、京都大学の高松伸研究室出身の建築家で、町家改修をさせたら右に出るものはいないのではないか、と私は思っている。(偉そうにすみません)具体の設計や企画についてはこちらの記事を見て欲しい。

流石に中にお邪魔することはできないと思いつつ、少し暖簾から奥を覗きこみ一歩踏み込めば、すぐに空気が変わった。そして、申し訳なくなってすぐに引き返したが、こういう宿に一度は泊まってみたいものだ。

自分の興味がそちらの方向だから、ということであるが、それにしてもホテルや宿泊施設ばかり見ている。その理由と京都の宿泊施設の類型化みたいな話は、この街歩きのシリーズが終わって、余力があったらやりたいと思っている。とりあえずは次の目的地へ向かう。

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