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20060717 音訓錯綜

 漢字熟語の読み方の規則は「音読みで揃える」「訓読みで揃える」のどちらかである。例外は「重箱読み$${^{*1}}$$」「湯桶読み$${^{*2}}$$」と呼ばれて区別される。音読みは中国語式の読み方、訓読みはその漢字に日本語の意味を当てた読み方なので、複数の漢字の組み合わせが一つの単語としてまとまっているならば、読み方も揃っていた方が自然である。「大和」「鍛冶$${^{*3}}$$」など熟語全体で日本語の意味を当てた読み方で「熟字訓」というのもある。

 音読みは、詳しく見ていくと日本に輸入された時期で少し違っている。これは「古音」「呉音」「漢音」「唐音」と称して区別されている。古音は五世紀頃に伝わった音で「止(と)」「乃(の)」など、呉音は五~六世紀頃に伝わった音で「男女(なんにょ)」「極(ごく)楽」など、漢音は八世紀頃の音で、大抵の漢字の音読みはこれが基本となっている。唐音は平安中期から江戸末期に掛けて入ってきた音で「杏(あん)子(ず)」「蒲団(とん)」などがそうだ。このほかに「雑(ざつ 本来はぞう[漢音]、そう[呉音])」「輸(ゆ 本来はしゅ)」「消耗(しょうもう 本来はしょうこう 『減る』という意味では、耗はこうと読む。『暗い』という意味では、ぼう[漢音]もう[呉音]と読む)」など誤読による「慣用音」がある。

 従って音読みでも漢音呉音などを揃えた方が自然であるとという考え方もある。呉智英$${^{*4}}$$はごちゃ混ぜの音読みを交錯読みと称していた。

 お相撲の四股名の読みは音訓錯綜読みが多い$${^{*5}}$$。呉智英$${^{*6}}$$は「明治時代に漢字音の知識が乱れたため、漢音呉音などの音読みにおける混乱が生じたのではないか」と書いていたが、最近は音訓まで混乱が生じてきてしまったのだろうか。

*1 じゅうばこ-よみ ぢゆう― 0 【重箱読み】 - goo 辞書
*2 ゆとう-よみ 0 【湯▼桶読み】 - goo 辞書
*3 20040810 鍛冶橋
*4 20021005 蝶
*5 20060713 四股名
*6 All about 呉智英(非Frame版)

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