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20021005 蝶

 空中をひらひらと舞う「ちょう$${^{*1}}$$」の語源は中国語である、というのを呉智英$${^{*2}}$$の本を読んで知った。「ちょう」は漢字「蝶」の音であって日本に元からある言葉ではない。それでは日本での古来からの呼び方は何であったか。「かわひらこ$${^{*3}}$$」と呼ばれていたらしい。方言も色々で「かにべ」「てこな」「ふまつべったら」「あまびら」「ひるろう」「ひいろ」$${^{*4}}$$などがあったようだ。

 いつ頃、どういった理由で日本語の「かわひらこ」が中国語の「ちょう」に変わってしまったのかよく判らないが、八世紀頃に「てふ」という言うようになった地域が出てきたようだ。蝶は霊的な存在として古くは見られたので、そのものを言い表すのは忌避されたらしい。万葉集に「ちょう」が登場しない$${^{*5}}$$のはそのためとも考えられている。

 揚羽(あげは)や立羽(たては)という言葉はいつ頃出来たのだろうか。物事を細かく分類する博物学$${^{*6}}$$が盛んになるのは江戸時代に入ってからのような気がする。

 日本人は「ちょう」を霊的な存在と見なしたからか、蝶の細かい種類の名前はシーボルト$${^{*7}}$$などの外国人によって付けられたらしい$${^{*8}}$$。外国人趣味的な名前にミカドアゲハ$${^{*9}}$$やダイミョウセセリ$${^{*10}}$$などがある。シータテハ$${^{*11}}$$は羽の模様にローマ字の「C」があるからそう名付けられた$${^{*12}}$$らしい。

*1 20020621 蝶の尿寄せ
*2 20020819 弁護士と弁理士
*3 zuzu creations site
*4 言葉の景色
*5 万葉集:蝶(ちょう)を詠んだ歌
*6 和漢三才図絵
*7 シーボルト記念館
*8 アゲハの学名
*9 ミカドアゲハ
*10 名称:ダイミョウセセリ
*11 シータテハ
*12 シー(C)タテハやエル(L)タテハ

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