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20020819 弁護士と弁理士

 弁護士の「弁」の字と弁理士の「弁」の字とは本来違う字であることを呉智英$${^{*1}}$$の著作$${^{*2}}$$で初めて知った。

 弁護士$${^{*3}}$$とは法律事務を行うことを職務とする者のことで弁護士法$${^{*4}}$$に定める一定の資格を有している人である。

 弁理士$${^{*5}}$$は弁護士よりも知名度は低いが、同じように弁理士になるには$${^{*6}}$$弁理士法$${^{*7}}$$に定める一定の資格を有していなければなれない。弁護士の資格を持っていれば弁理士になることも出来る$${^{*8}}$$。 特許の出願などを代行$${^{*9}}$$するのが仕事である。

 現代は「弁護士」も「弁理士」も同じ「弁」という字を使うが、本来は「辯護士」「辨理士」であった。

 「辯」は二つの「辛」の間に「言」が入り込んでいる。「辛」の字は入れ墨$${^{*10}}$$を入れるための刃物の象形で「つらい」「つみ」の意味を表すらしい。「辛」が二つ並んだ漢字「辛辛(べん)」は罪から転じて罪人が互いに言い争っている様を表している。言い争いを「言(ことば)」で分けているのが「辯」で、言葉で分け入って道理を明らかにすることである。まさに辯護士の仕事である。

 「辨」は二つの「辛」の間に「リ」が入り込んでいる。この「リ」は立刀(りっとう)$${^{*11}}$$の「リ」で「刀」である。言い争っているのを刀で分ける。とにかくごちゃごちゃしている事柄を刀を使ってすぱっとさばく、処理をする。如何にも煩雑な特許出願をぱっぱとこなすのが「辨理士」である。

 現代ではどちらも「弁」を使うので「辯」と「辨」との使い分けを憶える必要はないが、弁護士の「辯」は「護」の「ごんべん」で「辯」、弁理士の「辨」は「理(り)」で「辨」となっていて憶えやすい。昔はこうやって憶えたのかもしれない。

*1 All about 呉智英(非Frame版)
*2 呉智英夫子全著作一覽
*3 【日弁連】 弁護士とは
*4 弁護士法
*5 日本弁理士会 Welcome to JPAA
*6 国家資格
*7 弁理士法
*8 弁理士法 第七条(資格)
*9 弁理士の仕事
*10 19991106 銭湯の刺青さん
*11 goo [国語辞典]: 立刀

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