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20090423 日本語の主語

 日本語の文の中で何が主語かを考える時がある。「象は鼻が長い$${^{*1}}$$」という文の主語は何かと言う、試験問題や言語構造の研究の様な解析ではなく、実用上の話である。誰が何をする、誰がどうするというのが判り難い文に出くわした時、主語は何なのかを考える。それ以外で、「どれが主語か」を考える意味はあまりない。主語が明記されてなくても、主語がどれかはっきりしなくても文意が掴めればそれでいい。

 そもそも主語$${^{*2}}$$とは何か。文においてある動作を行うものやある状態になっているものを示し、論述の発端となる部分だろう。帰結する部分が述語である。$${^{*3}}$$とは何か。考えなどを言語で表現する際の、完結した内容を表す最小の単位である。

 すると「象は鼻が長い」と言う文の主語は何かと考えれば、「象は」でもいいし「鼻が」でもいいだろう。一つの文に同時に主語が二つあっても別に問題はない。意味さえ通じればいいのだから。この文で「長い」という状態になっているものは「象」でもあり「鼻」でもある。よく似た表現でも「象の鼻は長い」であれば、主語は「鼻は」だけになる。日本語の場合、主語が省略されても表現法として間違いにならない。だから主語が二つあってもいいと言うことにはならないが、柔軟性を持たせて考えてもいいのではないか。文中に主語は必ず一つあると言うのは西洋語の考え方であろう。

 日本語文の中で主語がどれかを厳密に決めることによって得られる利益は文化的もしくは学術的なことに限っても殆どないと思う。

*1 (5) 象は鼻が長い
*2 しゅご 【主語】の意味 国語辞典 - goo辞書
*3 ぶん 【文】の意味 国語辞典 - goo辞書

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