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20050707 飛騨こんろ(2)

 飛騨こんろ$${^{*1}}$$には、なぜ字が書いてある紙が貼ってあるか。

 飛騨こんろ$${^{*2}}$$は、卓上で使う小型のこんろを指す場合が多い。大名こんろ$${^{*3}}$$とも呼ばれる。字が書いてある紙を貼ることによって民芸$${^{*4}}$$品の雰囲気が強調されている。

 紙には何が書いてあるか。大抵は謡曲の譜面$${^{*5}}$$だ。謡曲とは能の台詞のことである。しかも飛騨こんろに貼り付けてある謡曲$${^{*6}}$$は「菊慈童$${^{*7}}$$」という曲目の能で、中国の不老不死の子供の話を題材とした物語である。

 謡曲の譜面以外$${^{*8}}$$が貼られている場合もあるので、とにかく字が書いてあればそれらしく見える。なぜ、字が書いてあると民芸の雰囲気がぐっと増すのだろうか。

 茶室だろうか。壁紙に暦$${^{*9}}$$を貼った茶室$${^{*10}}$$がある。もしかしたらこれを模しているのではないか。

 茶室には炉$${^{*11}}$$がつきものである。こんろに字が書かれた紙を貼ることにより茶室の雰囲気を醸し出そうとしたのではないか。雰囲気なので書いてある内容は何でも良い。飛騨こんろで暦が貼られなかった理由は判らないが、最初に思い付いた人が手元にあった謡の本を貼り付けてみただけだろう。何となくこれが飛騨こんろの発祥のような気がしてきた。

*1 20050104 飛騨こんろ
*2 hida01.jpg
*3 大名コンロ (飛騨コンロ)
*4 The Japan Folk Crafts Museum
*5 杜若(謡曲)
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*7 きくじどう 【菊慈童】 - goo 辞書
*8 1306589619465.jpg
*9 天文学史ギャラリー ★ その3
*10 国宝の茶室「如庵」とその周辺
*11 数寄にしませう 間取り

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