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20040914 腕時計の精度

 時刻が狂わない腕時計と言えば、現在では電波式腕時計$${^{*1}}$$である。日本標準時グループが発信$${^{*2}}$$している標準電波を受信して時刻を常に補正する機能を持つ$${^{*3}}$$腕時計だ。電波に乗せられている時刻の情報は、誤差が十万年に一秒と言われている原子時計を基にしているので殆ど狂わない。

 この仕組みによって腕時計の精度の追求は終わったと言える。電波時計は電波が届かないところでは精度が保証されないが、そもそも腕時計の精度が一日に十秒以内の狂いであれば、実生活に全く支障は出てこないであろう。それ以上の精度の追求は無意味と言える。どうしても追求したいのなら「米粒原子時計$${^{*4}}$$」を搭載すれば標準電波が届かない場所でも精度は確保できる。

 機械式の腕時計の精度を検査する機関がスイスにある。スイスクロノメーター検定協会(COSC)$${^{*5}}$$と呼ばれる。様々な試験を行い、一連の試験において時計の誤差が一日当たり平均-4秒から+6秒でないとクロノメーターの認定を受けられない$${^{*6}}$$。この試験は同型の腕時計からの抜き取りではなく全品の検査$${^{*7}}$$なので、クロノメーターと呼ばれる腕時計$${^{*8}}$$を買えば一つ一つに検査成績の証明書が付いてくる。機械式の腕時計で実現できる誤差は一日当たり数秒で、実用的にもこのぐらいの精度があれば十分と考えられているのだろう。

 現代では、機械式時計よりも圧倒的に精度の高い電波時計や水晶振動式時計$${^{*9}}$$が存在しているので、機械式時計においてはクロノメーター以上の精度の追求は無意味である。それ以上の精度の追求は、機械式時計製造の技能向上には意味があるかも知れないが、時刻を知る道具としての商品価値の向上は殆どなくなると思う。

*1 シチズンギャラリー:腕時計の歴史 電波時計
*2 電波送信所の確認方法
*3 電波時計について
*4 20040912 原子時計(2)
*5 クロノメーター認定とは | Horology | TOKEI ZANMAI-時計三昧-
*6 Inside COSC [1/22/03] - TimeZone
*7 スイス時計協会(FH) 東京 1999年スイスクロノメーター証明書発行数は過去最高を記録
*8 20011113 クロノ
*9 スイス時計協会(FH) 東京 クオーツ腕時計の中はどんなしくみになっているのでしょうか?

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