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20030820 嫁

 電車に乗ったら、友人か会社の同僚の結婚式に出席した帰りと思われる若い男性の二人組がいた。

 彼らの会話を聞いていると「あいつの嫁さん」とか「今日の嫁さんはどうのこうの」と話している。

 二十代の若者が「嫁」「嫁」というのにはかなり違和感があった。田舎だから仕方がないのかも知れない。それにしても「$${^{*1}}$$」という意識が希薄であるはずの若者が「嫁」という言葉を使うのは、若者の語彙の激減の所為か、それともそれ以外の表現方法がないのか。

 考えてみると家制度を意識させない言い方はすぐに思い浮かばない。「奥さん」「奥方」では何やら奥に控えている人という感じで、男性と同列になっていない。「夫人」も「夫」が先のような気がする。「かみさん」「家内」「女房」「妻」「山の神」などがあるが、他人の妻に対しては「かみさん」以外はあまり使わない。「ご新造さん」というのも粋だが、かなり時代がかっている。因みに「山の神」の語源は、いろは歌で「有為の奥山・・・$${^{*2}}$$」より「山の上は『奥』」という洒落からという説がある。

 「細君$${^{*3}}$$」が一番適切なような気がする。自分の妻を表現する時に「細君」と言うのは、何となく気が引けるのでやったことはない。しかし「嫁」と表現したことは一度もない。「妻」もしくは「女房」「家内」である。他人の妻は「奥さん」「奥様」である。「妻」以外は家が関係した言い方になってしまっている。直截(ちょくせつ)$${^{*4}}$$的に「家の女」を表現する「嫁」よりはいいと思うが、どうも一貫性がない。

 「細君」の復活を期待したい。

*1 お見合いと、結婚相談所について 結婚制度(1)
*2 20001025 あさきゆめみし
*3 20020110 細君
*4 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: 直截

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