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20061205 ライプニッツ係数

 ライプニッツ係数$${^{*1}}$$というのがある。資産の現在価値を計算する際に使われる係数だ。将来において貰える百万円と今手許にある百万円との価値は違うとする考え方がある。現在、手許にある百万円の方が価値が高い。つまり百万円を銀行などに預けておけば、何もしなくても将来は百万円以上になる。いくら低金利でその利息が数円だとしても必ず百万円以上になる。ということは将来の百万円よりも金利分だけ現在の百万円の方が価値が高いことになる。逆に将来の百万円を現在の価値に換算$${^{*2}}$$すれば、百万円以下になるということである。

 将来に得られる筈の利益が何らかの事情で貰えなくなったとする。一家の大黒柱が交通事故などで命を奪われた結果、年収の百万円が一切得られなくなった。得べかりし利益$${^{*3}}$$を失ったのである。逸失利益$${^{*4}}$$とも言う。遺族が将来にわたって得られる筈の大黒柱の収入を一括で貰う場合、支払われるべき金額は現在価値に換算される。その時、使われる係数がライプニッツ係数$${^{*5}}$$である。

 ライプニッツ$${^{*6}}$$と言えば、数学などで登場する名前$${^{*7}}$$と思っていたが、保険金の換算でも出てくるのは、知らなかった。まぁ、計算式が登場するので、数学者の名前が出てきても何ら変ではないが、今まで知らなかっただけに違和感がある。ライプニッツはニュートンと同時期に全く独立に微積分の概念を構築している$${^{*8}}$$。

 ところで保険の支払い金額に登場するライプニッツ係数は何故、「ライプニッツ係数」と呼ばれるのであろう。係数を導き出す公式を見ても単なる等比級数の和$${^{*9}}$$である。特にライプニッツが関わったとは思えない。由来は別人のライプニッツ$${^{*10}}$$かも知れない。

*1 現在価値(逸失利益)の計算式
*2 資産の現在価値計算機
*3 20060425 GR1v(6)
*4 いっしつりえき 5 【逸失利益】の意味 国語辞典 - goo辞書
*5 就労可能年数とライプニッツ係数表
*6 松岡正剛の千夜千冊『ライプニッツ著作集』(全10巻)ウィルヘルム・ライプニッツ
*7 20040206 πの彼方(2)
*8 ニュートンとライプニッツ
*9 等比数列の和
*10 John William Leibnitz

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