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20060723 ゴム磁石

 小学生の頃、夏休みの宿題で磁石を使った工作をしようと思ったことがある。浅い箱の底に磁石を敷き詰めて、その上に磁極が反対になるように$${^{*1}}$$して小さな磁石を置けば反発力で浮く$${^{*2}}$$のではないかと考えた。しかし上に置く磁石は直ぐにひっくり返ってしまうということに気付いた。ひっくり返らないように足を付けてやればいいが、これでは浮いていることにならない。そこで浮かなくても摩擦を極力減らすことができそうなので、指で突けば暫く動き続けるのではないかと考えた。更に上に置く磁石を底に対して斜めにすれば床に近い方は反発力が強くなるので、これによって推進力が得られるのではないかとも考えた。

 磁石を箱に敷き詰めるのに大量の磁石が必要である。これではいくら小遣いがあっても足りない。NHKの教育番組で「みんなの科学$${^{*3}}$$」というのがあった。これで「ゴム磁石$${^{*4}}$$」というのを紹介していた。薄いゴム板なのに磁石になっているのである。

 早速これを探しに学友と一緒に自転車を漕いで街に出た。模型屋というか教材屋というか、とにかく磁石や接着剤や画用紙などが売ってそうな店を見つけ、そこの主人にゴム磁石のことを聞いてみた。

 すると「磁石は鉄に決まっているでしょ。ゴムの磁石なんてあるはずがないよ」と頭ごなしに学友の前で否定されてしまった。テレビジョンで紹介されていたので、ゴム磁石が存在するのは紛れもない事実である。主人が知らないだけなのだ。知らないから否定するという態度と学友の前で「寝言でも言っているのか」と馬鹿にされたこととに何か憤りを感じながらその店を出た。

 結局、思い付いた工作は作れなかった。素材が集まらなかったという理由もあるが、作っても思ったような動作はしない$${^{*5}}$$ように思えてきたのであった。

*1 第106回「磁気浮上」の巻|じしゃく忍法帳|TDK Techno Magazine
*2 ウヒョ~磁気浮上
*3 NHKは何を伝えてきたか-NHKテレビ番組の50年
*4 マグネットのご案内
*5 世界初 永久磁石使い鉄球を安定浮上

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