見出し画像

20060114 名もない花

 近頃の歌謡曲$${^{*1}}$$で、少し気になる言い回しがあった。コブクロ$${^{*2}}$$というグループ歌手が歌っている「桜」という歌である。歌詞の冒頭が「名もない花には名前をつけましょう ・・・」となっている。詩の内容は素晴らしいのだが、この出だしがどうも気になる。

 「名もない花」というのは、それを眺めている我々凡人がその花の名前を知らないだけなのだ。どんな花にも名前は必ず付いているはずである。現代において本当に「名前の付いていない花」というのは滅多に見られないだろう。

 つまり「名もない」とは、「有名でない、取るに足らない」という意味であって、「名前がない」という意味ではない。だから「・・・名前を付けましょう」と続くのは変である。自分が名前を知らないから勝手に名前を付けてしまう、というのは幼い感じがして微笑ましいが、この歌はそういった様子を表現しようとしているわけではない。

 少し前に他の歌手$${^{*3}}$$が歌う歌詞で「いろんな壁二人で乗り越えて・・・$${^{*4}}$$」というのがあった。壁を「破る」とは言うが、「乗り越える」というのは何か違和感がある。壁の上には天井があるので乗り越えるという表現は合わない。塀ならば乗り越えられる。壁は大きな障害や困難に例えられるので、「障害を乗り越える」という表現から「壁を乗り越える」を思い付いたのだろうか。

*1 20020128 ちょっとそこまで
*2 コブクロオフィシャルホームページ
*3 ORANGE RANGE OFFICIAL WEB SITE
*4 花 2004.10.20/SRCL-5837/1223 yen

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?