短編小説【金ちゃん】
咳をしても金魚。
くしゃみしたらナマズ。
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この変な癖のせいで、俺は「金ちゃん」と呼ばれていた。
本当の名前はカッパノミヤガワサカナキョウシュツノワダチョウチンアタリバッテリ。由緒正しい河童である。
風邪を引いたらもう大変。
金魚、ナマズ、ナマズ、金魚金魚河童ナマズ金魚。
目まぐるしく変身して疲れちまう。
こんな俺だが、容姿には恵まれており、女によくモテた。
特に、艷やかに輝くこの皿は、老若男女に人気があり、目にした河童はみんなうっとりして泳ぎ止まるほどだ。
さらに、金魚は河童の中でもペットとして愛されてるため、よく「お持ち帰り」もされていた。そういえば、【キミは金魚】という漫画も河童界で大流行したことがある。
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咳よりもまずいのはくしゃみのとき。
というのも、ナマズは河童の大好物で、「ナマズと胡瓜の和え物」は結婚式の引出物にも出てくる定番のご馳走である。
もちろん、俺が河童であることをみんな知ってるから、変身しても食べられることはない。
ただし、敵対部族の前でナマズになったらヤバい。捕まったら皿の上、いや、まな板の鯉、いや、まな板のナマズとなる。
だから、体調が良くない時は大人しく家に引きこもることにしている。
アチュー!アチュー!アチュー!
風邪じゃないときも、噂されてくしゃみが出るのが悩みどころ。
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