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過激派を晒し上げることで世論を誘導する方法

新たに開発された「スイラムオ」という料理がある。

このスイラムオを、テレビ局Xは番組で絶賛した。

安全で、栄養たっぷり。

しかし、いろいろ調べていくうちに、発がん性があるなど、都合の悪い部分が見つかった。

このままではスイラムオを絶賛したテレビ局Xは責任を追及されてしまう。

世論を都合のいい方向へ誘導したい。でも、どうやって?

スイラムオは、賛成派と、否定派にわかれていた。

否定派の中には、

①新しいものに対して何となく不安を抱いている消極的な否定派

②データを用いて懐疑的になっている論理的な否定派

③過激な否定派

が存在していた。

テレビ局Xは、③の過激な否定派に目を付けた。

③の過激派は、スイラムオは金星人がしかけてきた宇宙兵器であり、スイラムオによって一週間後に地球が滅亡すると主張していた。

彼らは地球が滅亡するという主張を皮肉られ「滅亡論者」と言われていた。

まず、テレビ局Xは、ニュース番組で、スイラムオについて、賛成派と否定派がいる、と両論併記で報道することにした。

賛成派はコック帽を被り、いかにもちゃんとした料理人であるかのように報道した。

否定派には③の過激派を起用した。宇宙兵器だ!地球は滅亡する!こんなセリフがニュース番組に流れた。

この番組を受けて、世論は次のようになった。

まず、スイラムオ賛成派は、否定派を馬鹿にした。

「ニュース見た?www スイラムオ否定派はこれだからさwww 一週間後に地球が滅亡するってよwww これだから滅亡論者はwww」

スイラムオ否定派=全員滅亡論者である、というレッテル張りである。

賛成派が否定派を馬鹿にするのを見て、否定派は次のような態度となる。

まず、①の消極的な否定派は、ただぼんやりとなんとなく否定していただけなので、過激派の主張に嫌気がさし、否定派から賛成派に回る。あんなのと一緒にされたくない。それならば。というわけである。

②の論理的な否定派は、黙る。滅亡論者というレッテル張りをされてしまっては、過去の自分の発言まで正統性を失ってしまうような気がする。賢明な②の否定派は、黙ってしまうのだ。極端な意見が跋扈するネット上では、黙ってしまうと、存在しないのも同然である。

③の過激派は、自分たちの主張が攻撃されたと感じて、ますます過激になっていく。ますます過激になり、普通の人と常識が乖離し、支持を失っていく。

賛成派は、安心する。なんだ、敵は弱いじゃないか。私たちの主張は正しかったんだ。あんな滅亡論者の主張なんて、どう考えてもありえない。

こうしてテレビ局Xの都合のいいように世論が誘導される。

スイラムオは安全なんだ。多数派は賛成。否定しているのは、一部の過激な頭のおかしい人だけなんだ。

スイラムオの危険性は放置されたままだ。

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