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船からのマジックアワー

 初めての船旅をして九州に初上陸した。今日はその時の話をしようと思う。(前回の続き)

 23時に横須賀のフェリーターミナルから乗船して部屋に入った。今回はツーリストSに乗ることに。漫画喫茶の鍵付き個室のような部屋である。(無論、部屋は漫画喫茶の個室より大きい。)

部屋にはベットと机と椅子、テレビがついていた

23:45定刻通りフェリーは横須賀港から出港した。東京湾を遠くに眺めながら私とYは駄弁っていた。そのあとはお風呂に入った。東京九州フェリーは露天風呂もあり、遠くからの町の光を望みながら入浴を楽しんだ。朝方までお菓子と飲み物をロビーで静かに広げてこれからどの観光スポットを巡るかや将来のことを話していた。船に乗ると電波が全く入らないと思っていたが、4時過ぎまでは電波が入っていた為、陸に居る友人とLINEで連絡を取ることはできた。日の出を見たくこのように頑張って徹夜をしていたが、残念ながらデッキが開放されていなかった…。なんとか窓から何枚か写真を撮ってぼんやりと風景を眺めて昼前に起きるからと話して寝た。

フェリーからの朝焼け

 10時前に起きて姉妹船のそれいゆ号に手を振ってプラネタリウムや謎解きなどの船内のイベントを一通り楽しんでご飯を食べては昼寝をしてとこれほどない贅沢な時間を過ごした。また、デッキから見える海の景色はとてつもなく綺麗で心が洗われていくのを実感した。本当にこのまま時が止まってこの景色を見ていたいと感じるような景色であった。
 Yは日本側のデッキから景色を眺めていてそれに対して私は太平洋側のデッキから眺めていた。彼が何を考えて景色を見ているかは分からなかったけど、国内で働く彼と出張や海外駐在などがある私が見る方向は別々なのだなと思ってしまった。それは私がデッキからの景色を眺めながら来年の春から社会人になる事をどこか怖く思っているからかもしれない。また、近いうちに行われる内々定先のイベントに楽しみ・緊張が入り混じって軽くナーバスになっているからそのように捉えているのかもしれない。私は第一志望の会社に入れて数か月前はあんなにうれしかったのに今は嬉しさややる気が醒めてしまったけど大丈夫なのか。私のそれらの感情はこの数か月の間にどこに置いて行ってしまったのだろうか。その自身に対する問いかけは波のように浮かんでは消えていった。
 そのような事を考えていたが、あの船から見た景色は本当に心が奪われるほど美しかった。このような悩み事をしていた反面、この海の美しさを見ていたらこのようなちっぽけな事を考えるのが余りにも馬鹿馬鹿しくなり思考を放棄して頭を空っぽにして海を望んでいた。そのことを振り返ると案外Yも何も考えていなかったのかもしれない。また、あの景色を見て映画タイタニックでの登場人物であるジャックが”I‘m the king of world!!”という叫んでいた気持ちが分かった。(個人的にタイタニックが映画の中で好きで、その理由が前半が恋についてで後半が愛についてと心情が綺麗に移り変わっていくと私は捉えているからだ。この話は別の機会に書こうかと考えている。)

青空も良かったが、夕焼けのマジックアワーに一番心惹かれた時間だった。


 美しい夕焼けをみて、夜に新門司港に着いた。そのあと小倉にバスで行きその日は小倉の漫画喫茶で夜を明かした。
 感想としては今や飛行機や新幹線の方が福岡に行くのは断然早いが、あえてゆっくり進むフェリー(と言っても、日本2位の速さを誇る船だが)でおいしいご飯を食べて綺麗な景色をゆっくりとみる贅沢な旅というものは日々忙しく生きて疲れた現代戦士が憩う場であると感じた。福岡へ旅に行こうと考えている読者様がいればフェリーで行くという選択肢も是非とも薦めたい。写真では表せない景色が目の前に広がっているはずだ。

夕食のレモンステーキ。九州の料理とのこと。


 福岡観光についての話はまたいずれか。本当に良い街であったから私としてもこの話は是非とも書きたい。(ここ最近noteが中々上手く書けないので時間は少し頂く形になると思うけど、のんびりと待っていて欲しいです。)

お付き合いいただきありがとうございました。

おしまい


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