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瞑想の必殺技「体観」を会得しよう(動画あり) ── 今からはじめるマインドフルネス入門㉔

 瞑想でよくある相談に、

「瞑想の効果がなかなか感じられません」

 というものがあります。たしかに瞑想直後はスッキリするのだけれど、立ち上がってふだんの生活に戻っていくと、あのスッキリはいつの間にか消えてしまってる。

「こっちは毎日忙しいなか瞑想してるっていうのに、ストレスが減るとか、怒りっぽくなくなるとか、そういう効果がぜんぜん現れないんだけど!? どうして? どうしてなの!? 早く説明しないと怒るわよ(すでに怒ってる)」

 という方、実は多くいらっしゃいます(怒っているかどうかは置いておいて)。

 そういう方は、瞑想の技術を日常生活に持ち込むことで、瞑想の効果を感じやすくなります。今回ご紹介するのは瞑想の技術の中でも必殺技とも呼べるような効果の高いテクニックです。ぜひ、最後までよんで身につけて頂ければと思います。

 瞑想の必殺技「体観(たいかん)」


 前回の記事で「感情の魚拓を取る」というイメージをお伝えしました。

 感情というものは形がないので、その姿を直接的に把握できません。
 しかし感情は常に、体になにかしらの影響を与えています。悲しくて涙が出るとか、緊張して脇に汗を掻くとか、怖くて鳥肌が立つ、とか。これは強い感情だけに限りません。仄かな感情であっても、体はいつも反応しています。目の奥がピリピリするとか、米神が重いとか、喉が狭くなっているとか。ただ自分ではその小さな反応に気づいていないだけです。

 そしてその体の反応を観察することで「感情の姿」を間接的に把握できる、という内容でした。まるで魚の姿(感情の姿)を残すために、墨を塗った魚を紙に(体)押し当てるように。

 具体的には、自分がいまどんな感情を感じているかを自覚して、それから数秒の簡単なボディスキャンを行い、体の状態をざっと観察することで、その感情の姿を把握します。

瞑想の技術「体観(たいかん)」とは、この感情の魚拓を取る一連のステップをまとめて表現したものです。「体を観察する(そして感情の姿を把握する)」、だから「体観」というわけです。

体観の方法

 体観の手順は以下の通りです。

 ① 自分がいまどんな感情を感じているかを自覚する(怒り、不安、喜び、あるいは無感情など)。

 ② その感情の姿を把握する。そのために、数秒から数十秒をかけてザッと全身の内外ボディスキャンして、感情が体に与えている影響を観察する。(その観察結果が、いまの感情の姿)

 体観はこの2ステップで行います。このとき、対象は感情ではなくて「考え」や「感覚」でも構いません。とにかく、その「雑念」の体への影響を観察するのです。

 そしてもし必要があれば、つぎの③④を加えましょう。

 ③ それから自分の注意を一旦呼吸へ向けて、数秒から数十秒、呼吸を観察する(長いか、短いかなど)。

 ④ そうしてゆっくりと穏やかに、今自分が取るべき最適な行動へと、行動を移す。たとえばその場を離れるとか、直前まで行っていたものに手をつけるとか。

 ②→④と直接行くよりも、②→③→④とするほうが、より丁寧に、そしてより簡単に雑念を手放す事ができるようになります。階段の踊り場のような役割を、呼吸が果たすというわけですね。

 体観を使うタイミング

 体観は、瞑想中に注意がアンカーから逸れたときに使うテクニックです。(アンカーって?についてはこちら)

 たとえば呼吸に注意を向ける集中瞑想を行っていた最中に、昨日家族から言われた不愉快なひと言を思い出し、呼吸から気が逸れたとしましょう。このようなときに、体観を使うわけです。①②③の手順を踏むことで、なんのテクニックを使わないよりも遙かに楽に雑念を手放し、呼吸に戻ることができるでしょう。

 これは以前紹介した瞑想のテクニック「離見」や、今後ご紹介する「ラベリング」と同様の技術の1つですが、体の感覚にフォーカスするのがこの技術の特徴的な部分です。

 そしてこのテクニックは、日常生活で応用したときにものすごくパワフルに効果を発揮し始めます。

 ふだん生活している中で「激しい感情の揺れ」──たとえば怒り、不安、心配、哀しみ等──を自覚したとき、体観を使うのです。①〜④の各ステップを踏むことで、感情からの影響力を大きく弱めることができます。

 もし「瞑想を習慣化しているのにその効果を感じにくい」という方は、瞑想中に使う瞑想のテクニックを、日常生活のなかの感情の揺れを感じたときに使ってみてください。毎日10〜20分、あるいはもっと長い瞑想のなかでトレーニングしている技術は、あなたが思っているよりも鋭く美しく磨かれています。

 その瞑想の技術を日常に持ち出したときに、おそらく「瞑想の効果」をはっきりと感じられるようになるでしょう。


 というわけで、今回は瞑想の必殺技とも言えるような超強力なテクニック「体観」について解説しました。もしこの記事が参考になったり、気に入って頂けた方はいいね!フォローを頂けますと励みになります。

 次回はこれからボディスキャン瞑想を始める人のために、もっとも簡単なボディスキャン瞑想についてご紹介します。


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