映画評「トップガン マーヴェリック」/面白い以外の言葉はない
5月も最終日。
5月は個人的には劇場映画が不調でして。
まずは、「シン・ウルトラマン」。
決して退屈はしないんだけど、「シン・ゴジラ」にドはまりした身としては、期待を上回るものではなかった。
楽しい部分は、ほぼほぼ「ウルトラマン」からの焼き直しでありまして、「シン」的な要素に薄い。
不出来な部分を、原典への「愛」で押しとおろうとしすぎて、全編製作者の顔がチラついて集中できない。
結果として出来上がったのは、
樋口真嗣監督作品(「ローレライ」「日本沈没」「進撃の巨人」等)としては上出来な部類なんだけど、
庵野秀明作品(エヴァンゲリオン、「シン・ゴジラ」)としては、期待外れという、中途半端さ、という個人的感想だったのであります。
そして、「鋼の錬金術師 復讐者スカー」。
これは、酷い。酷いし、非道い。
なにがヒドイかってのは、ほとんど第一作と同じだったし、てことは、6月公開の「最後の錬成」も同じヒドさなんだろうから、文句はいっぺんに言うことにする。
そう。文句を言うために、意地でも観てやる。
でもようやく(いや、5月頭にみた「ドクター・ストレンジ」は良かったけど)、最高の1本、ああー、映画ファンでよかったぜ!という作品に出会うことができました。
それが、「トップガン マーヴェリック」。
これはですね、最高です。
とにかく全編、映画的興奮に満ち溢れています。
小手先の映画評とかどうでも良くなる、とにかくの面白さ。
前作の「トップガン」を観てなくても面白いし、観てたら余計面白い。
そう、もはやなんのボキャブラリーも浮かばないのですが、とにかく面白いのであります。
何が面白いのか語ろうと思うと、ただのあらすじ紹介になってしまうような、純粋な面白さ。
よくよく考えれば、後半の展開はかなり無理があるし、所謂「トップガン」的なものからは、大きく逸れていくのですが ー ・・・
そこに至るまでに、馬鹿真面目に一つ一つの描写を積み重ねるので、なんも気にならないというか、あれがやりたかったから、それまでの展開があったんだなと。
決して、「本物を撮影している」という甘え(それが甘えってのも凄いことだけど)に逃げない、過去作へのオマージュに耽溺しない、見事な飛躍。
涙が滲みつつ、興奮しながら、笑みさえ浮かべてしまうという、映画ファンで良かったという作品なのであります。
しかしまぁ、ここ数日思っているのはですね、トム・クルーズ。
あいつはね・・・いい役者になりましたよ、ええ。
トムがニカっと笑うだけで、エモい。走ったら、それだけで興奮する。
そんな役者が、今までに存在しただろうか。
存在自体が、人間賛歌。そんな領域にいってるのかもしれん。
とにかく、オススメです。
7/8(金)公開の、「ソー ラブ&サンダー」までは、毎週末「トップガン マーヴェリック」でも良いなと、個人的には思ってます。
ぜひ、劇場でご覧ください。
面白い以外の何物でもない映画です。
追伸)
今後語る機会もないと思えば、どうしても我慢できないってことで、ひとつだけシーンを紹介すると、
空母から発艦し、目標へ向かう戦闘機隊。
すると、彼らを援護するために、後方の艦隊から、トマホークミサイルが発射。
トマホークは戦闘機をはるかに超えるスピードで直進していく。
カメラは、飛行する戦闘機を真正面から捉えたかと思うと、その後方から、追いついてきた無数のトマホークが。
トマホークは、戦闘機をすれすれに追い越して、前方の目標に猛進する ー 。
という一連が、コックピット視点も交えながらのシークエンスとなっているのですが、これぞムービーマジックという最高のシーンでした。
僕がアメリカ人なら、ポップコーンを劇場にまき散らしながら奇声を上げてましたね。
僕は日本人だし、ポップコーンは控えていたので、それは叶いませんでしたが。
まぁ、そんな打撃を喰らう敵はたまったもんじゃないでしょうけど、それは全世界向けの映画ということで、「某地域」の「すげー悪い化学施設」みたいなことになってるので、特に良心の呵責はない。
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