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「橋の上での戦闘」映画について

近年のハリウッド超大作でありがちなアクション

高いビルや塔の上に、敵の装置が設置され、天空に向かってブワァー!とビームが放射され、異次元の扉が開く。

主人公たちは、その装置を壊しに行く、というシークエンス

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンより

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こういうやつ

スーサイド・スクワッドでも、アベンジャーズ1でも、ゴーストバスターズでも、使われてた。

というか、トランスフォーマーシリーズのクライマックスは、だいたいこれだ。

煩雑なド派手クライマックスに置いて、「棒倒し」的な目標が与えられるので、目的や動き方が整理しやすいんだろうが・・・

あまりに多すぎて、正直食傷気味である。

そんなことを思ってたら、最近、「タイラーレイク ー命の奪還ー」という映画を観まして、そこで展開されたのが、怒涛の

橋の上での戦闘

である。

そこで気付いた、自らの性癖。

私、「橋の上の戦闘」萌えだ。

ということで、「橋の上での戦闘」にハズレ無しと思い、いくつか思い出したものに言及してみる。

※各作品のネタバレあり

プライベート・ライアン

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「遠すぎた橋」「戦場にかける橋」など、橋にまつわる戦争映画は多いが、代表して、こちらをチョイス。

プライベート・ライアンを初めて観たのは、小学校6年生のときである。

塾帰りで、なぜだか晩御飯を食べながら鑑賞した。

最も有名な、「オマハビーチへの上陸シーン」

あれを、晩御飯を食べながら観てしまったので、食欲はゼロになり、吐き気がした。

そりゃそうだ。

プライベート・ライアン以前と以後で分けられるほどの、革新的な戦争描写。

手ブレしつつも、観たくないものを見せつけていくカメラ。
容赦なく飛沫をあげながら、ぐにゃぐにゃと倒れていく兵士たち・・・。

何の前情報もなしに体験した私は、大きな衝撃をうけた。

オープニングもさることながら、クライマックスの市街戦も凄まじい。

戦闘前に、作戦を説明される。

「どうしようもなくなったら、この橋の向こうまで撤退。これ、最悪の場合ね。そのときは、橋を爆破しよう。」

待ち伏せていた主人公一行は、序盤こそ優勢に戦闘を進めていくが、徐々に数に押されていき、とうとう橋まで追い詰められてしまう。

負傷するミラー大尉(トム・ハンクス)。おぼろげに見える、動かなくなった戦友、気が触れてしまったライアン(マット・デイモン)。

そこに、戦車が迫る・・・。

良い子はとっくに寝る時間だったが、終始口をあんぐりさせながら見入っていたためか、父も母も私をリビングに放置。

ミラー大尉も、判断がつかなくなっており、戦車に対してハンドガンをパンパンと撃っている。

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だめだこりゃ・・・。

その瞬間、「天使」が舞い降りる。

完璧。

橋まで来たらもうおしまい

というルール説明が事前にされていたからこそ生きる、絶望的な「橋の上戦闘」である。

ぶん殴られたほどの衝撃を受けたため、「すげえ映画を観た」という優越感が全身に漲ったのか、翌日からは、同級生のテレビ話などを斜に構えて嗤い、「プライベートライアン、観た?とぶぜ、あれ」みたいなことを呟くという、奇行にはしっていた。

中二病ってやつですね。ちょっと早いけど。


ミッション・インポッシブル3


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「1」「2」「3」「ゴースト・プロトコル」「ローグ・ネイション」「フォールアウト」。

今やトムクルーズ=頑張り屋さんという印象を根付かせた、「MIシリーズ」の中で、分水嶺になった作品である。

「MIシリーズ」最高傑作は?

ということになった場合、「1」か「ゴースト・プロトコル」以降が人気で、「2」と同じくらい、評価されていない「3」。

せいぜい、「4」以降の礎となった、くらいの評価しかされないが ー 。

好きなんですよね、「M:I:3」。

シリーズの中で一番好きだ。

オープニングから、中盤の「橋の上での戦闘」までの、展開とテンポは完璧だと思っている。

悪役(フィリップ・シーモア・ホフマンがまた良いのだ)を護送するイーサン一行。

橋を渡っていると、突如、前方の車両が爆発!

ここから、「橋の上アクション」がスタート!

・無人戦闘機から発射されるミサイル

・ヘリコプターからは、敵特殊部隊

という、多勢に無勢な状況において、まずイーサンは、敵を撃退する前に、橋の上でパニクる民間人に指示を出していく。

「GET DOWN! STAY DOWN!」

ともあれ、「民間人の安全」を守ろうとする姿勢がさらっと描写されるのも、ポイント高し。

ここのトム・クルーズ走りが、かっこいい。

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ミサイルを逃れるために、ただただ走るトム・クルーズ。

爆風で、よくわからん方向へ引っ張られるところとか、最高である。

敵の特殊部隊は、攻撃態勢をとるために、破壊された車両のトランクから武器を取り出すトム・クルーズを、ばっちりスコープにおさめている。

狙撃すれば、イチコロなのだが ー 。

せっかく無人戦闘機も用意したしというわけで、きちんとミサイル攻撃で攻撃しようとする律儀さをみせ、トム・クルーズをお膳立て。

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見返してみるとめちゃくちゃだが、マシンガンで無人戦闘機を撃ち落とすトム・クルーズ。

ばっちり撃墜される、無人戦闘機。

良い。

橋の上で戦闘機といえば、「トゥルーライズ」も挙げられるが、技術の進歩もあるのだろう、私はこちらのほうが好きである。

中盤に、アガる「橋の上戦闘」が用意したこともあり、その後の尻すぼみ感は、正直否めない。

ラストとか、ハンデ負ってるにしても、イーサン・ハントが、小太りホフマンに、格闘でやられちゃうし。

それでも、一番好き。

オープニングから橋の上戦闘までなら、大学生時代にループ再生してた。


猿の惑星/創世記


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個人的には、映画史に残る「思い出深い」作品。

なぜなら、妻と初めてのデートで観た作品だからである。

細部まで言及してしまうと、それだけで1つの投稿になるくらいボリュームが出てくるので、「橋の上」だけに絞ると ー 。

この「猿の惑星/創世記」、「猿の惑星」というフォーマットを借りながら、「猿と『組織論』」とか「猿と『毛利家の三本の矢』」とか「猿と『喧嘩したらもうダチ』」とか、いろいろな描写をしてくれるが、

「猿と『橋の上での戦闘』

が、最高に相性がいい。

知能を持った猿たち。

サンフランシスコ・ゴールデンブリッジが、戦いの舞台。

この橋を渡れば、とにかく無事脱走が成功するらしい。

がしかし、待ち構える警察御一行。

さぁ、猿たちはどう戦うのか・・・。

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ここで、猿の猿らしさを全開にして戦う。

・ゴリラ→バスを横転させて盾にし、音を立てて注目を集めながら橋の道を前進

・オラウータン→橋の下から、ウンテイ感覚で人知れず前進

・チンパンジー→橋の上から、アーチ部分を登り、密かに頭上より前進

そういう上中下3次元の作戦経過をじっくり描写しておいて、同時に「突撃」するシーンのカタルシスたるや。

橋の上戦闘におなじみのヘリコプターも登場。

空からの銃撃になすすべのない、猿たち。

なんとか主人公猿が防ごうとするが、劣勢。

そこに現れた、かつては反目していたゴリラ!

銃撃される主人公猿を突き飛ばし、かばい、ヘリコプターに向かって跳躍するのである!!

今まで虐げられてきた猿たちが、「猿の猿たる所以」を武器に、己の能力を解放しながら戦うってのが、いいよね。

妻(当時は違うが)そっちのけで大興奮、それもあって最高のデートになったのであった。


何故、「橋の上での戦闘」は最高か

・戦闘の理由が明確になるから

何故戦っているかが、目的や位置関係がわかりやすい。橋の向こうに行ければセーフ、橋を渡らせないように防ぎければセーフなど

・「密」であるから

広大なフィールドではなく、幅が限られている「橋」を舞台にすることで、「密度」があがる。
この密度が、時限爆弾のようなタイムリミット効果を生む。

・3次元性

たいていの「橋の上での戦闘」には、ヘリコプターや戦闘機など、「空からの襲来」がある。

これにより、空間が縦にまで延び、アクションの3次元性が生まれる

少々逆説的だが ー 。

上記の特徴を持つ「橋の上での戦闘」って、製作者側からすると、誠にハードルが高いものであるだろう。

予算もかかるし、全体の構成をまとめるのも大変だ。

その課題を乗り越えることにより、全体の完成度も上がる傾向にあるんじゃなかろうか。

いやー、熱弁させてもらいました。

他にもこんな「橋の上戦闘あるよ」と知ってる方、教えて下さい。



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