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映画評「タイラー・レイク ー命の奪還ー 」

オススメな人

アクション好き、クリス・ヘムズワース好き、長回し撮影好き
橋の上の戦闘好き

オススメしない人

人が死ぬ映画が嫌いな人


あらすじ(ネタバレなし)

インドの麻薬王の息子が誘拐された。
傭兵タイラー・レイク(クリス・ヘムズワース)は、救出チームとともに、少年の救援に向かう ー 。


感想(ネタバレなし)

最近、自律神経がバカになっているのだろうか。

アクション満載ゴリ押し映画が、やたらと胸に刺さる。

映画ファンを気取りだした昔々は、

「人が死ななければ死なないほど良い映画」

みたいな、静かなるドラマばっかり評価していたのに。

今も、そういう映画は好きなのだが。

この映画、それとは真逆でして、

「全編に渡って、人が死にまくる(殺されまくる)映画」

です。

しかも、

・罪のない巻き込まれた市井の人々
・(おそらくは)任務を遂行しているだけでの、敵側の兵士

が、無頼マッチョ(クリヘム)他びっくりプロフェッショナルに、問答無用でやられまくる。

しかも舞台は、バングラデシュのダッカ。

他人の国で何しとんじゃい。

そういうところを気にしなければ、相当に楽しい。

つまり私は、相当に楽しみました。

テイストは、

インセプション + ボーン・スプレマシー ÷ ジョン・ウィック

てとこですかね。

プロフェッショナルの無駄のない挙動が好物なら、ドハマリするはずだ。

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あらすじ(ネタバレあり)

さて、インド麻薬王の息子を誘拐したのは、バングラデシュの麻薬王であった。

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こいつは、極悪人なのか間抜けなのかよくわからない奴で ー 。

登場シーンでは、屋上で、手下数名に、十人ほどの子どもを脅させている。

「犯人は誰だ!」

絵面は、中学生のカツアゲと変わらないが、思い切りの良い脅し方で、
だんまりを決め込む子どもを、ランダムに屋上から突き落す極悪ぶり。

「もう一度聞こう。俺の財布を盗んだ奴は誰だ!

ちっせえ。

このスケールがいまいち計り知れぬこいつが、今回の一番の悪役、バングラデシュ麻薬王である。

「息子を返してほしければ、身代金を払え!」

またまたちっせえ。

インドのシマを寄越せ!とかじゃないらしい・・・。

主人公タイラー・レイクは、バングラ麻薬王に誘拐された少年(インド麻薬王の息子)を救出するミッションに参加するのだが ー 。

ミッションは、「インド麻薬王の息子を救出する金儲けミッション」ではなかった。
インド麻薬王は、投獄されており、資産が絶賛差し押さえられている。しかしながら、手下への影響力は残しており、

「金は無いけど、息子は助けろ」

と無理難題をパワハラしてくる。

というわけで、特殊部隊出身のサジュは考えた。

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「そうだ。傭兵に救出はさせて、助かったところを、ぶん捕ろう!報酬はばっくれよう!」

彼には、妻も子どももいる。彼としても苦渋の決断なのである。

おかげで、タイラーのチームは皆殺しにされ、バングラ麻薬王のテリトリー真っ只中で孤立無援に。

バングラ麻薬王の手下を皆殺し、バックレ手下(サジュ)に襲われつつ、命からがら、インド麻薬王息子と一緒に脱出するタイラー。

傭兵の掟からすれば、「死んでしまうだろうけど、金払わなかったのが悪いんだし、少年は置いて、自分だけ逃げる」が正解である。

だが、タイラーが傭兵になったのには、彼の息子由来の理由があった。

愛する息子が、5〜6歳で亡くなっているのだ・・・。

理由になってない気もするが、タイラーは、割には合わんけど、少年を守ることに決める。

ここで、

・バングラ麻薬王(手下およびバングラ警察や兵士がわんさか)

・未払い手下サジュ

・マイティ・ソー・タイラー

の三つ巴の戦いが始まる・・・!


感想(ネタバレあり)

(褒める前の)マイナスポイントその1

「新しさ」を感じた点は、敵のひとりである、未払い手下(サジュ)に、妙に感情移入できるところである。

彼としても、「いやいやボス。身代金、払いましょうよ。」てとこなのだが、絶賛服役中のボスは、自分の置かれた立場がいまいちわかっていない。


「とにかく助けろ。さもなくば、妻と子どもを殺す。」と頑なである。

仕方無しに、家族団らんを諦めて、我らが「雷様」を騙すのである。

本来であれば、敵であるが、中間管理職的な悲哀がすごいので、嫌いになれない。

このサジュと、雷様が、お互いの正義のために、戦い合えば、さぞ面白かろう ー 。

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正義 VS 正義

そうワクワクしたのもつかの間、割とあっさりと、タイラー側につくので、そこは肩透かしい感が否めない。

ふくらまし甲斐がある設定なだけに、ここは明らかなマイナスポイント。

(褒める前の)マイナスポイントその2

劇中、タイラーは、躊躇せず、障害になる敵を皆殺しにしていく。

いくらバングラ麻薬王に命じられたとはいえ、少年を殺そうとする連中なので、自業自得とも思えなくはないが、嫌々命じられているのも確かである。

そんな連中を、あの手この手でぶっ殺していく雷様。

しかし、彼は、契約違反した麻薬王の息子を、見捨てることはできない。

なぜなら、彼には、息子が「いた」が、早くに亡くしてしまうからである。

このあたりの描写、必要最低限「すぎる」。

もろにインセプションっぽい、

「ビーチで戯れる在りし日の息子」

が、8mm調の映像で出るのみ。

自分を助けるために、この雷様がバンバン人を殺すので、中盤の一息ついた頃、少年は嘆く。

「僕のお父さんや、あなたが殺した人も、誰かのお父さんなんだよね・・・」

おお!

これは、ようやく苦悩しながらのアクションが観れるのかと思いきや!

引き続き、躊躇なく殺す、雷様。やべえやつである。

まぁ、ちょっとした映像と、クリヘムのあからさまに人情派な出で立ちで、なんとなく説得力を醸し出すあたりは、流石というか、許せる範囲ではある。


褒める

でも、トータルでは最高である。

減点法だとマイナスだが、加点法なら天井知らずのアドレナリン。

少年を連れながら、襲ってくる兵士とサジュを倒していく

このアクションが素晴らしい。

唐突にカットを割らないアクションが展開するのだが、その物量は凄まじい。

プロフェッショナルであるタイラーは、万事動きに無駄がないが、「ジェイソン・ボーン」や「ジョン・ウィック」と違う点は、

マッチョ感

である。

律儀にヘッドショットをお見舞いしたり、周囲にある雑貨を武器として利用する、戦闘スタイルは共通しているが、なにせタイラーは筋骨隆々なので、動きに無駄が多い。

この無駄な動きこそが、ダイナミックで興奮する。

舞台がバングラデシュなので、オート三輪みたいな車両が登場するが、タイラー乗ってるトラックが、このオート三輪を吹き飛ばしながら突き進むチェイスシーンは、むちゃくちゃにアガる。

スラム街での戦闘も素晴らしい。

通常のハリウッド大作であれば、なかなか大人VS子どものアクションは観られないが、本作では、ばっちり描写する。

殺しこそしないが、いや、「最悪死んでも構わないか」くらいではあるが、マッチョタイラーが、スラム街の少年兵相手に無双するシーンは、相当にフレッシュである。

子どもの足をつかんでジャイアントスイングして車に叩きつける

とか

子どもに無数にビンタを食らわせて、戦意を喪失させる

とか。

いいね!

ネットフリックスならではのアクションで、満足度高い。


橋の上の戦闘

クライマックスは、橋の上の戦闘。

なぜかはよくわからんが、橋さえ渡れば、バングラ麻薬王は、手出しができなくなるらしい。

ここで、私は自分を発見した。

あ、僕って、「橋の上の戦闘」萌えなんだな・・・。

橋を渡れば勝ち!

というシンプルな構造で展開する、怒涛の展開。

・タイラー

・サジュ

・少年

・橋の向こうにいる味方

・襲ってくる多数の歩兵

・空からは攻撃ヘリ

・遠くから狙ってくるスナイパー

こいつらが、15mくらいの幅しかない橋の上で、密な戦闘を繰り広げる。

最高すぎて、比喩ではなく、観ながら小躍りしてしまった。

橋の上での戦闘がある映画にハズレ無し。

これは、追って検証したい。


追伸(ラストシーン)

インセプションっぽいなーと思ってたら、ラストはもろに「インセプション」幕引きだった。

かっこいいし、まぁいいか!

そんな具合に、

観たことある雰囲気で、観たことないアクションがつるべ打ち

が、本作最大の魅力であるだろう。

これが家で観られるって、相当贅沢ですよ。







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