映画評「STAND BY ME ドラえもん 2」
ほんとはね、子どもを「鬼滅の刃」に連れて行きたかったんです。
保育園界隈でも大流行しているようでしたし、なんもわかってないようなんですが、水の呼吸がナンタラとか言ってるんで。
でも、うちの妻が反対した。
「PG12(12歳未満は保護者の同伴が必要だとかなんとか)だし。あと、鬼も気持ち悪いし、ちょっとグロいし。まだ早いと思う」
確かに。
でもなー。
私も、保育園の頃に、それこそ保育園のテレビで「妖怪人間ベム」とか夢中になって見てたし。未だに好きだし。子どもの頃に、ちょっと背伸びしたコンテンツを経験する機会って重要だと思うんですよね。
なんで、「僕と妖怪人間の思い出」をとうとうと語って説得してみたんですけど、
「あなたの話は聞いてない」
と言われました。
というわけで、先日は子どもを連れて、「STAND BY ME ドラえもん 2」観賞と相成ったわけです。
3Dドラえもん第二弾の本作。
そもそも論でいうと、前作の「STAND BY ME ドラえもん」が私はそんなに好きではない。
作品の中身云々ってよりも、その側のマーケティング部分ですね。
一番キライなのは、未来シーンで映る、企業の看板。
「現代」シーンでは一切そういう露出がないのですが、未来に行った途端、ト◯タとかパナ◯ニックとか、企業ロゴが、でかでかと街並みに映ってくる。
なんだかなー。
夢が薄れるってのもあるし、あとは妙にディストピアっぽい雰囲気を感じません?
過剰に整然とした未来の都市風景に浮かぶ、企業ロゴ。
少数の大企業に支配された、ハイテク未来世界。
ブレードランナーとかエイリアンとかロボコップとか。そういう、映画に登場する悪徳企業みたいに見える。
これだから、広告代理店が絡む映画ってのは駄目なんだよな、なんてことを、思ってしまうわけです。
今回の「2」も、同様のシーンがあったところをみると・・・。
よくわからんが、好評ではあるんでしょう。
あとは、「ドラ泣き」。「泣き」はどうでもいいけど、「ドラ泣き」ていうワードが先行した印象もあるのか、泣かせようとする展開が鼻につきすぎてしょうがない。
ストーリー進行に無理があるし、もたつく。
これだから、広告代理店が絡む映画ってのは・・・略。
なので、今回の「2」も、全然期待していなかったのですが、実際見てみると。
意外に面白い。
いや、事前の広告展開(予告のテンションとか)が肌に合わなかったので、まっさらな気持ちで見ることは難しいけれど、これって結構面白いかも。
良くも悪くも、登場するキャラクター、のび太とか、しずかちゃんとか、ドラえもんとか、見慣れたキャラクターであるはずなのに、全員行動や発言が、「ぶっとんでる」。
言い換えれば、「トンでる」「イッてる」。
こいつら、こんなやつじゃなかったよな・・・。
しずかちゃんは、「優しい女の子」を通り越して、聖人の域。
のび太が結婚式をバックレてるっていうのに、心配こそすれ、怒りもしなければ焦りもしない。
ドラえもんは、とにかく場当たり的な判断を繰り返し、まるで保護者機能を果たそうとしない。まったく、「スタンドバイミー」してない。
最大のポイントは、のび太。
今回ののび太、ドジ・のろま・怠け者etc...そんな旧来の印象を遥かに超えて、ただのクズ介である。
結婚式に勝手に行かない判断もクズだけど、それは置いておいても、相当にくず。
今までののび太にあった、「ギリギリの良心」みたいなのも感じさせない、ちょっとしたサイコパス。
キャラはそんなふうに違和感バリバリなんですが、今回の話の構成、
原作の中でも特に「名作」との呼び声が高い「おばあちゃんのおもいで』、「ぼくの生まれた日」、「45年後…」、「タマシイム・マシン」の原作4ストーリーを再構築したものと、前作に組み込まれた「のび太の結婚前夜」の後日談である(ウィキペディアより)
という点が、効いてくる。
要は、盛りだくさんにしすぎて、細かい点に立ち止まってる場合ではない!ということ。
見慣れたキャラクターが、知ってるストーリーの微修正バージョンで、全く腑に落ちない謎の行動を取り続ける、そんな96分。
これ褒めてんのかな、と思いつつ、褒めてるつもりです。
でも、今なら「鬼滅の刃」。明日からは、「ワンダーウーマン」も劇場公開されますし、そっちを優先したほうが良いです。
追伸1)
地味におばあちゃんも、「トンでる」んですが、あの優しい口調で、「あんたのお嫁さんを見たくなっちゃったねぇ」って言うのです。
これは、予告編でもフィーチャーされてますけど。
今までの、「おばあちゃん」像であれば、絶対に言わなかった、図々しい雰囲気。ふと漏れた願望というより、「いけるっしょ?君たち?」感がある。
のび太はそれを叶えようと未来へ過去へ奮闘しますが、「そーいや、『ドラえもん』とかのび太の行動って、たまに生命を軽んじる展開あったな」と一周回って懐かしくなりました。
どうせなら、「若さを取り戻したくなった」「永遠の命が欲しい」「生き返らせろ」などと、エスカレートしまくるおばあちゃんを軸に、「限られた時間を過ごす人間」の儚さに思いを馳せる・・・そんな、ダークなときの「ドラえもん」でも良かったなと思います。
追伸2)※ネタバレあり
映画ラスト。
てんやわんや後、ようやく披露宴に戻ったのび太が、新郎のスピーチをするのですが・・・。
散々迷惑かけた後なのに、見事に、自分の話しかしない。
しずかちゃんが如何に素敵な女性なのか、ではなく。
僕は・・・僕は・・・と、自分の話だけ。
反省とか成長ってよりも、僕はこんなだからごめん。でも、僕ってこんなやつ。という言い訳未満のスピーチ。
なんかここだけ、自分を見てるようで恥ずかしくなりました。
ちなみに、結局おばあちゃんは披露宴を陰から見守るのですが、それが露骨に、「スターウォーズ EP6」のラストのヨーダみたいで、笑いました。
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