見出し画像

映画評「ブラック・ウィドウ」

※特にネタバレはしていないです。

画像1

一身上の都合あり、とっても身構えながら、本作を観賞。

私はマーベルシリーズは全作映画館で観賞しており、大ファンです。
ただ、男性社会を糾弾する女性ヒーロー映画だったらどうしよう・・・居心地よくないかもなと思っていたのです。

そんな展開はないとは言えませんが、気にならない程度。

ここが上手いところといえますが、実際の社会問題が根底にありつつ、そこでどのように「悪役」が生まれたり暗躍したりしているのか、という連携がスムーズ。
つまりは、ノンフィクション(女性である、というそれだけで生じているリスク)から、フィクション(支配をたくらむ悪役たち)の橋渡しが、非常に滑らか。

過剰に説教臭くもならないので、私のような、身構えてしまう人でも、そこまで気にならず、いつものマーベル世界に身をゆだねることができます。

「そこまで」気にならず・・・なので、多少は気になる。

主人公チームが、悪役および悪役の構成員たちを、ぶちのめす。というか、直接的に言ってしまえば、ぶっ殺していく!という展開の場合。

親玉にあたる悪役・黒幕が殺されるのはスカッとするから良いですが、末端の構成員が気の毒になったりしませんか?

あいつら、上司に命じられてるだけなのに・・・なんなら突撃してきて銃をぶっ放す侵入者(主人公チーム)から身を守ろうとしてるだけなのに・・・。
仮面ライダーに蹂躙されるショッカーたちに、ふと悲しくなったこと、ありますよね。
敵チームがクリーチャーではなく、生身の人間であればなおさらである。

一度そう思ってしまえば、ノイズになりアクションに没頭できないので、多くの映画では、それを回避するために、いろんな仕掛けをしていたりする。

例えば、同じマーベル映画「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」の場合。
「ヒーロー」チームが一般兵士を殺しまくりますが、あれは、悪の親玉から末端の構成員に至るまで、狂気的思考に憑りつかれた「ヒドラ」のメンバーだから無問題!てことになってる。
全員、主体的に、世界征服をたくらむ「ヒドラ」の信奉者だから、ぶっ殺しても問題ないのである。そんなことあるわけないが、そういうことになってるんだから、大丈夫!
もしくは、「ジョン・ウィック」みたいに、確かに巻き込まれてる奴らは気の毒であるけれど、別に主人公側も正義ってわけじゃないし、でも魅力的だし、いけるだろ!てパターンもあるし。
「ワイルドスピード」であれば、とにかくど派手な爆発で押し通る!という感じだろうか。

でも、本作「ブラック・ウィドウ」の場合、そこが若干弱いんですね・・・。

なぜなら、今回の悪役は、二つの部隊を持っているのですが、それが、「男性を主体とした武装チーム」と、「様々な国籍・人種が背景にある、『洗脳されてしまった』女性チーム」なのです。

ここで、ブラック・ウィドウはじめとるす主人公チームはですね、「男性武装チーム」は有無を言わさず様々な手法でぶっ殺していく。
一方、「洗脳女性チーム」のほうは、殺さずに格闘主体で制圧を試みたり、高いところから落ちてしまいそうになったら手を差し出して助けたり、とにかく洗脳を解いてあげようとする・・・。

「男性武装チーム」も洗脳されてる可能性あるんだけどな。
あいつらも助けてやれよ!と、どうしても思ってしまうのである。私の悲しいサガです。
一応、「男性武装チーム」のほうは、頭にはヘルメットをして、全身が黒い制服に身を包んでるので、生々しくならないように工夫はされてますが。

まぁ、あとは、出てくる男性俳優が、全員口が臭そう。演技が上手いからか、余計に思うが、清潔感のないおじさんばかりである。

まぁ、そんなことはありますが、とっても楽しいです。
ほとんど、ジャンルは、「アクションコメディ」です。

本作ではっきりわかったのですが、ハリウッドってのは、「ロシア人だけは馬鹿にして良い」と思ってるようである。
手間がかかる立地に、無駄にでかい建物を建てて、歯が汚いロシアの大男集団。非常に差別的な描写だが、これがどうしても面白い。

中盤、ブラック・ウィドウが、「家族」4人で食卓を囲むシーンがありますが・・・
ここなんて、共産主義ジョーク全開で、ちっちゃいグラスでウォッカとか一気飲みしちゃったり、全員人殺しのくせしてウジウジしちゃったりして、それがとっても、「家族ゲーム」的なコメディで、最高です。
そういえば、マーベル映画で、ちゃんとした食卓シーンがあったの、初ですかね。そういう意味でも、シリーズ内では異色な作品といえる。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」で行きつくところまでいっちゃったマーベル世界観においては、地味目の作品に位置しますが(アクションの物量を考えると、それはそれですごいインフレである)、間違いなく面白い作品です。

定額サービス・ディズニープラスでも、「プレミアムアクセス」といって、追加料金支払えば自宅で観られますので、お時間あればぜひ。

オススメです。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

自分に何ができるかはわかりません。 しかし!夢への第一歩として、一層精進いたします。 どのような形でも、読者の方々のリアクションは励みになります!