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「半沢直樹」第一部“ロスジェネの逆襲“/みんな、大和田

先日、妻が長男(5歳)を連れて、映画「ドラえもん のび太の新恐竜」を観に行きました。私も観たかったのですが、残念ながら乳幼児とお留守番です。

帰ってくると、長男は大変ご満悦であった。
妻も久しぶりのドラえもん映画を楽しんだようですが、少々浮かない顔である。
「どうした?」と聞くと、
「のび太にガミガミと怒るママが、自分にそっくりで落ち込んだ」ということらしい。

やれ宿題をしなさい、片付けなさい、ご飯をさっさと食べなさい。
子どもの頃は、「うるさいママだな」と思っていたが、気付けば自分も同じことを子どもに言っていることに気付き、特に序盤は集中できなかったそうだ。

世代またがり型コンテンツは、たまに罪深い。

私は、「そんなことないよ」とはどうしてもフォローできず、「へぇ」と生返事をした。

私としても、昔々夢見た自分になれているか、という点は、年齢を重ねるごとにたまに考えることであるが、できるだけ熟考しないようにしている。
ばりばりに童貞をこじらせていた時のことは、あまり思い出したくない。
「変人感」に憧れてしまっていたので、その頃と比べれば、iPhoneを愛用し、ビールで酔っ払い、半沢直樹を楽しむ方が、数倍健全な気がするし。

さて、その「半沢直樹」ですが、毎週面白く観ています。
先日、8/9OAの第四話をもって、第一部「ロスジェネの逆襲」が完。

あんな社会人存在しないだろ、とか
どんだけ重役のオフィス広いんだよ、とか
総じて、どんな環境でも全員声がでか過ぎる、とか

もう些末な出来事です。

難しい金融テクニックはテンポよくナレーションで処理して、あとは役者の動きを堪能してもらおかい、という割り切りが、もはや心地いい。

私はイチ視聴者もしくはコンテンツ受容者なので、何の裏打ちもないのですが、その前提で偉そうなことを話すと、、、。

ドラマの演出の際は、「演技テンションをすりあわせる」という点が、かなり重要だと思っています。
この役者、浮いてない?この人、こんなに演技下手だっけ?というときは、確かに力量の問題もある場合もありますが、「演技テンション」に問題がある場合が多い。

それがよく発生するのが、「大人気漫画の実写化」において。
具体例で大変恐縮ですが、あの「鋼の錬金術師」の実写映画だと、海外っぽい雰囲気で金髪の日本人が演じるという違和感に加えて、

主人公エド(山田涼介):「アニメ」から飛び出てきた雰囲気を志向
相棒アル(CG):「アニメ」そのままのCG
ヒロイン?ウィンリィ(本田翼):「漫画」の再現を志向
味方マスタング(ディーン・フジオカ):「漫画」「アニメ」を原作とした生身の人間を志向

と、「漫画」の実写化なのか、「アニメ」の実写化なのか、あくまで「原作」とした再構成なのか、それぞれのテンションがてんでばらばらで、私は公開初日の映画館で、非常に居心地の悪い思いをすることになった。

今回の「半沢直樹」も、主役から脇役に至るまで、クセ強めの役者陣なので、空中分解する危険が相当にあったはずである。
なぜなら、前作以上に「陰謀」「仕掛け」が入り組み、大ボリュームをまとめているのだから。

だが、ここで、ベンチマークが登場する。
視界が悪くても、あの明かりを目指せ!と突っ走れる灯台。

それが、大和田常務、いや大和田取締役を演じる、香川照之である。

とっ散らかってしまいそうな物語を、全員が「大和田化」することで、カバー。というか、塗り込める。
放送が始まる前は、「原作にいなかった大和田が出しゃばるのはな」と思ってましたし、現に観賞中にそう感じることもあるはあるのですが、もう面白いから仕方がない。

大和田は、より大和田に。周囲も、リトル大和田化。
半沢も、向かってくる敵全員、序盤の雑魚キャラに対してさえ、前作の最終回での「土下座要求」並の権幕。
絶対に笑ってはいけない取締役会。ほとんど不動であるがゆえに、むしろ存在感を増す、中野渡頭取(北大路欣也)。
頭取は、あの会議中、なにを思いながら、部下たちを眺めてるんでしょう。

私の大学時代の友人で、銀行に勤めている男に、前作が盛り上がっている当時に実際の話を聞くと、「実際は、『半沢直樹』から半沢直樹を抜いた世界かな」と、死んだ目で語っていましたが、もうそんな心配はないくらいの、金融ファンタジー世界に突入してますね。

第二部、「イカロスの逆襲」でも、その路線は維持・強化されるようですし、目が離せません。


追伸)
香川照之を堪能するなら、「クリーピー 偽りの隣人」が面白いです。
Netflix・Amazonプライムビデオで観られます。

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まだまだ行くぞ〜ぅ

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