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読書日記(2024年4月)

めずらしく初読の本(しかも小説)の割合が高い4月。

薔薇の中の蛇|恩田 陸

大好きなシリーズなのに、3冊目があるのを知らなかった!
最近本に対するアンテナが本当に鈍っているな。
英国アッパー層のお家騒動、霧の中の猟奇殺人、カルト宗教の気配、美しくミステリアスな女。満腹。恩田陸の書く「異国」はなぜだかヨーロッパ圏であってほしい、しかもフランスというよりはイギリスであってほしい……。
前半の耽美さに期待が膨らみすぎて、後半の推理パートのあっさり加減に少し拍子抜けしてしまった。

秘密の花園|三浦 しをん

佐久間ゆいさんの「#名刺代わりの小説10選」に感化されて読んだ。新潮文庫のクラシックで柔らかいフォントと、小説の題材や雰囲気がめちゃくちゃ合っている。

で、初読だと思っていたけれど見覚えがある……! そういえば大学生のころ、1編目の『洪水のあとに』終盤のエピソードに苦しくなって読むのを止めてしまったのだった。周りの空気の薄さに呼吸が浅くなるような不快感と、やり場のない哀しみと、宙に放り出されるようなカタルシス。
今回は最後まで読むことができて、読んでいる途中ではっきりと、これは大切な本になる、と予感した。大学生の時の私は主人公たちと距離が近すぎたのか、この本から早く逃れたい、と思ったけれど、今の私はこの本から慰撫を受けている、と感じる。捨てたくても捨てられないもの、忘れたくても忘れられないもの、それらをまだ持ち続けている私への慰撫。

あの家に暮らす四人の女|三浦 しをん

続けての三浦しをんさん。
年々こういうコンテンツがどんどん好きになるな! こういうコンテンツというのはつまり、複数の女性が寄り集まって楽しく暮らしているところをのぞき見するというもの。
刺繍を生業としている主人公の描写で、以前読んだ『水を縫う』を思い出した。祈るように針を運ぶ『水を縫う』の主人公の姿も、刺繍を生活に溶け込ませている佐知の姿も、どちらも好き。

珍奇鉱物 合本版|BRUTUS

気になりつつも買い逃していたBRUTUSの「珍奇鉱物」特集2冊が合本になっているのを見かけてホイホイと購入した。
不思議で美しい鉱物の写真がたっぷり見られるうえに、コレクターや採掘現場への取材記事も大ボリュームで満足。記事を書いているライターさんも相当な石好きのようで、行間から楽しさと興奮がにじみだしていた。

レーエンデ国物語|田崎 礼

久しぶりの王道ファンタジー摂取!!
不思議で美しい世界観と魅力的なキャラクター。ナルニアやゲド戦記やクレヨン王国やハリーポッターやダレンシャンや……小学生の時の、あれやこれやのファンタジーを片っ端から読み漁っていた時の興奮がそのまま蘇ってくるようで、一気読みしてそのまま2~3巻を買ってしまった。

白鳥異伝|荻原 規子

レーエンデ物語の続きが届くのを待ちきれず手を付けてしまった勾玉シリーズ。東京には持って行っていない本なので、大阪にいるタイミングでよかった。

三部作の中では断然1作目の『空色勾玉』が好きだと思っていたけれど、久しぶりに読むと2作目、『白鳥異伝』良い。え、めちゃくちゃ良い。関係性オタクの人全員読んでほしい。
単行本版の表紙も、小さい頃はもっときれいな絵がよかったと思ってたけど今見るとめちゃくちゃ良いな。児童書の表紙にこの装丁採用するセンス何???(文庫版もあるけど装丁は変わってしまっているみたい)

この読書日記では普段、割と真剣にその本の好きなところを記録しようとしているのだけれど、白鳥異伝に関してはめちゃくちゃ良いとしか言えていない。頭がファンタジー漬けだった小学生のころに戻っている。や、でもめちゃくちゃ良いんですよ。筋もキャラクターも世界観も文体も。何回でも夢中になって読んでしまう。どこかで改めて勾玉シリーズについて書きたい……。


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