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#この歌詞が刺さった エピソード抜きにただただ好きな歌詞バージョンを書かせてくれ

先日書いたこちらの記事は、参加しているメンバーシップ「書く部」のお題企画、#この歌詞が刺さった 用に書いたものだった。

※主催のことばと広告さんから、うれしすぎる講評をいただきましたので自慢させてください!
毎度力を入れた箇所を正確に読み取ってくださってスゴイ。

応募作には具体的なエピソードを語れる歌詞を採用したのだけれど、検討している過程で「別にこの歌詞に付随したエピソードがあるわけじゃないけどめっちゃ好き!!!」という歌詞を大量に思い出した(でもエピソードがないのでエッセイまでには膨らませられなった)ので、番外編として一部紹介させてほしい。供養供養。


① そうあなたのように居たいです 富士山

上の記事でも触れている、椎名林檎『人生は夢だらけ』から。
この曲の歌詞はまるごと大好きで、その中でも聞いた瞬間「そんなのアリ!!??」となる一行を。
富士山のように年を取りたい、という文脈なのだけれど、そんな発想なかなか出てこないよなあ。でも言われてみればなりたい気がするぞ、富士山みたいな老人。富士山、とぱっきり言い切られるのを聴くたびに、目の前がぱっとひらけるような気持になる。

② 手にしたものを埋めて 愛は根を張る さよなら

EGO-WRAPPIN’の『かつて…。』より、これも1曲まるごと歌詞が好き。
弾むような三拍子とメロウな旋律でたゆたうようにサビへ連れていかれる直前、それまでただただ繊細でロマンティックだった歌詞に、唐突に別れの挨拶が差し挟まれる。
愛が根を張った直後の、「さよなら」。EGO‐WRAPPIN'の音楽は旅人の音楽だ、と思っているのだけれど、こういう瞬間に、特に強くそれを感じる。
さっきの富士山が目の前がひらける感じだとすれば、この「さよなら」は聴いた瞬間ぽーんと空中高く放り投げられるよう。放り投げられた先、私は鳥の目線で、朝焼けに染まった桃色の街並みと、その向こうの海を見た気になる。幻視と言っていいほどのあざやかさで。

③ 黙っておれば、このごくつぶし

ハンバートハンバート『荒神さま』から。荒神さまと思しきお方が怠惰な人間をののしる曲だ。……なにそれ?
西洋の民族音楽のような楽器遣い、メロディーと、歌詞の「純! 和!!」って感じのコントラストがたまらない。サビで鳴るヴィブラスラップも、水戸黄門が鉄槌を下す際の効果音のようで大好きだ。そして流れるような荒神さまからのお説教がクール。
日常生活でなかなか言わないよなぁ、「ごくつぶし」。理不尽なことがあったときなどはこの曲を、のしのしと踊りながら歌うことにしている。元気が出るので。
ちなみに「ごくつぶし」をはきはきと力強く発音すればするほど効果があります、なぜか。お試しを。

④ ためらいがちに口に含んだ苦く光るバニラ

サンタラの『バニラ』から。
中学生の時に母が買ってきたCDを聴いて、「こんな格好いい音楽があるんだ!!」と衝撃を受けた。今思えば私の音楽の好みの方向性は、そのときはっきり固まった気がする。
特にこの曲のサビの最後、決め台詞のように歌われる『苦く光るバニラ』という文字列はけだるげなボーカルそのものを表しているようで、今でも聴くたびに陶然としてしまう。

⑤ お粧ししたり 神に背いたり

相対性理論『ケルベロス』より。PVの仔ケルベロスの動きが可愛すぎる、子犬の愛らしさのすべてが濃縮されて詰め込まれている。
相対性理論およびやくしまるえつこ氏がつくる音楽のことをそこそこ長く好きでいるけれど、時間の経過とともに楽曲の歌詞がだんだん祝詞じみてきたというか、神話性を帯びてきている感じがする。「おめかし」と「神への背信」を同じお皿に並べて、キュートなボーカルで歌い上げるそのセンスが大好き。天地創造投げ出したり人類が滅びちゃったりしてる曲も好き。

⑥ 目一杯の ああ 祝福を君に

YOASOBI『祝福』より。毎週見ていたアニメのオープニングでした。
これはもう、歌詞の魅力をシチュエーションが何倍にも増幅しているパターンだなあと思う。



(このさき、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のネタバレです)




拙者アニメ2期の最終話で1期のOPがながれるやつ大好き侍と申す。
いや、そういうタイプの侍がいることは話に聞いていた(主にTwitterとかで)ものの、普段アニメをそんなに見ないので、実感するのは初めてだった。大団円の中でカメラワークが夕空に飛んで最後の伏線を回収すると同時に流れる『祝福』、脳内物質がドバドバ出て無事私も侍と化した。水星の魔女はいいぞ。

■私にとって「刺さる歌詞」の傾向

あー楽しかった。
こうやって並べてみると、わりとわかりやすい傾向があるなあ、と思う。音楽全体の中でその言葉だけが浮き上がって耳に飛び込んでくるような、曲がそこに差し掛かった瞬間ハッとするような、そういう体験をすると、その文字列を頭に残してしまいやすいようだ。それに、言葉の意味というよりはむしろ響きとか、単語の組み合わせの妙に惹かれることも多いみたい。

そうか。
冒頭で紹介したお題企画に応募しようとした際、具体的なエピソードと絡められる「刺さった歌詞」を見つけるのがめちゃくちゃ難しかったのは、この好みと求めていたエピソードとの相性が悪かったせいなのか(なんとか見つかってよかった)。

そういえば少し前に、こんな記事も書いていたのを思い出す。

読み返してみると、私が惹かれる短歌と刺さる歌詞の傾向はとてもよく似ていて、なるほどなあ、という感じ。
そして挙げた歌詞が全部女性ボーカルの曲のものだというのも、普段私が女性作家の本ばかり読んでいるのとどこか関係がある気がする。好みって面白い。

皆さまには、「うまく言葉に出来ないけどなんか好き〜!」という歌詞がありますか。よかったら教えてください。

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