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【詩】十三階段

二人か三人殺すと死刑らしい

だが、我らはみな死刑囚
罪を犯さずとも
罪に問われずとも
生まれた瞬間に結末は決まっている

絞首刑とは限らない
どんな方法かは分からない
執行場所は決まっていない
どんな場所でか分からない
たいてい教誨師は見つからない

今日が執行の日なのだと
誰かが呼びに来るわけではない
ボタンを押す者がいるわけでもない

だが、その日は必ずやって来る

罪に問われたわけではないのだから
再審、無罪放免はあり得ない

その日は必ずやって来る

運が良ければ
ある日突然、恐怖する間もなくやって来る

だが、たいていは
苦痛と予感だけがやって来て
ものの数十分では終わらずに
何日、何ヶ月、何年と居座るだろう

それならばと
その日を待ち望むようになれば
その日はなかなかやって来ない

法律上の死刑囚は
(冤罪でない限り)自身の行為ゆえに
死刑となるのだが

罪を問われることのない我らは
他人の行為の帰結として
死を課せられている

我らはみな死刑囚
生まれた瞬間から、十三階段を上り始める

短いか長いか分からない
どこまで続くか分からない
そんな十三階段を上っている

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