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【詩】薔薇の花束

かつて、私の肺には薔薇が咲いていた
赤いのも、白いのも、黄色いのも咲いていた
世界の美を吸い込むことで、薔薇は美しく咲き、高貴で甘やかな香りを放った
肺に色とりどりの薔薇が咲いたから、世界の美に目を見開いていられた

しかし、薔薇の花が咲くならば、その陰で棘も育つのだ
世界の醜悪を吸い込むことで、棘は太く伸びてゆき、夥しい数に増えていった
肺に無数の棘が咲いたから、世界の醜悪に呼応せずにはいられない

どんなに肺を膨らませても、日に日に大きくなる棘からは逃げられない
薔薇の花が枯れても、棘は生き残るだろう
そうしていつか、内側から肺を引き裂いて、血を吐かせるのだろう
 



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