【詩】決壊
肺の底にダムがある
毎日毎日、少しずつ少しずつ
ときには一気に大量の
恵みの水ではないものが
そのつど排出できなかったものが
ダムに溜まっていく
えぐられた心の肉片
染みついた黒い記憶
踏みにじられた怒り
喉の奥で石化した言葉
無視され続けた悲しみ
解消されない「なぜ」
反駁できなかったわだかまり
そんなものでいっぱいになれば
ダムはやがて決壊する
溢れかえり耐え切れなくなったダムの
決壊の音が、聞こえるか?
目から、喉から、肺の奥から放出される
恵みの水でないものどもの
濁流のうねりが、聞こえるか?
全身を震わせて
己を打ち壊すがごとく
吐き出せど吐き出せど
やまぬ咆哮が、聞こえるか?
怒りと悲しみと「なぜ」の咆哮が
聞こえるか?
作品を気に入って下さったかたは、よろしければサポートをお願いします。創作の励みになります。