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【詩】忘れたとは言わせない

来年の話をすると鬼が笑うと言うが
去年の話をするとポジティブ教の信者たちが眉をひそめるだろうか

ポジティブな言葉だけを拾っては、いいね! いいね!
生きることの苦しさを滲ませた言葉はスルーして
ついでに国連の数々の勧告も何から何までスルーして
もう年が明けたんだから新しい気持ちで行こうよ♪なんて
私たちは過去を生きてきて、過去は切り離せないのに
あれもこれも全部なかったことにするつもりなのか

「日本は平和で良かったね」って
いったいどの目で何を見ているの

痛めつけられた側が身を削りながら声を上げれば
さらに何倍も踏まれ殴られ痛めつけられて
戦争ではなく殺人事件でもない殺人で、殺されていく

毎日毎日、子どもに対する暴力の記事を目にしながら
(それはあらゆる出来事の氷山の一角に過ぎない)
すでに生まれさせられて今生きている子どもたちすら
虐待から守れないのに
少子化だ、えらいこっちゃと騒ぎ立て、もっと生めと煽り立てる
子どもの権利条約って知ってますか?

他者を虫ケラのように踏みつけた土台の上に
キラキラ舞台を作り上げて
何も見ない、何も知らない、何も気づかないふりで
夢の世界に酔いしれるなら
私たちの手も足も、もうとっくに夥しい血で染まっている

忘れたとは言わせない
私たちが見殺しにしてきた人たちを

忘れたとは言わせない
私たちが人殺しであることを

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