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【詩】重低音を響かせて

いつからだろう
すべてが過去へ過去へと流れてしまって
もう生々しくは思い出せないけれど

私のあの四半世紀には
たしかに熱狂があり
歓声があり
支えがあり
慰めがあり
希望があり
エネルギーの源があった

歌があり
ギターの音色があり
ドラムのリズムがあったけれど
その土台には、いつもいつも
貴方の音があった……あの、たしかな重低音が

足元からせり上がり
腹の底にずしんと響く、重低音が

だから、腹から声を出せた

あの人も
私も
そこにいたすべての人が
貴方の音に支えられたから
腹から声を出せた

もっと、叫べばよかった
もっと、名前を叫べばよかった

あの細い体で音を奏でていたように
あの細い体で、闘ったのだろうか

せめて、苦しみが少なかったならいい
せめて、苦しみの時が短かったならいい

旅立つ時はきっと
左側だけ髪を跳ねさせて
「ちょっと寝癖が」なんて言いながら
出掛けて行ったんだろう

世界に
重低音よ、鳴り響け

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