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アルチザン x サステナビリティ = クール

皆さん、直近1年間で購入したすべての服の金額や購入に至った背景を、すべて把握していますか?
わたしは現在のワードローブにあるすべての服の金額と購入時期、購入理由を説明することができます。

ファッションが好きだから把握してるといえば、それまでかもしれません。
しかし、ファッションに限らず、皆さんの好きなものや興味のあるものを購入するのに、何かしらの判断基準があるはずです。

モノを買う選択肢

特に、贅沢品に関して、それぞれの価値観に従ってモノを購入したり、サービスを利用している。
わたしの場合、アルチザン x サステナビリティがとてつもなくクールに思えて、その思いに共感し購入に至ってしまう
アルチザンとは、フランス語で職人という意味である。
すなわち、職人気質のこだわり抜いたモノづくりである。

これまでファッションやビーントゥバーチョコレートを通して、そのブランドの歴史やモノづくりに込められた背景などを発信してきた。
例えば、Loopeheelerは大量生産とは逆行した生産能力が低くメンテナンスも手間がかかる吊り編み機を使って、上質な状態で長く着られるニットプロダクトを生み出している。

Y. & SONSは “日常に、「わざわざ、きものを着る」という非日常を取り入れる” をコンセプトに、きもののエッセンスを洋服に落とし込んだ和洋折衷のモノづくりを生み出している。

green bean to bar CHOCOLATEは原材料からわたしたち消費者の手元に届けられるまでのトレーサビリティを徹底管理し、一枚一枚丹念にチョコレートを作っている。

よって、こだわり抜いたモノづくりを通して社会課題を解決する在り方に、わたしは心を動かされる。

日本におけるモノづくりアップデート

アルチザンの観点から、薄利多売のビジネスではなく、モノの付加価値を高めて、コアなファンに提供するビジネスモデルの方が日本との親和性が高いと、わたしは考えている。

コンサルティング会社の一つA. T. Kearneyの調査によると、2027年にはミレニアル世代の人口が19億人、ジェネレーションZの人口が23億人になると予測されている。
そして、これらの世代は物質的な豊かさではなく、つながりや影響力を重視する傾向にある。
つまり、世界人口の約半分がこのような価値観を持った人々になる。

わたしはミレニアル世代であり、このような価値観に対して基本的に同意である。
一方で、データの裏付けを持っていないのであくまで直感であるが、本当にこれらの価値観だけであればラグジュアリーブランドは衰退していてもおかしくないのではないかと思っている。

HERMESやLOUIS VUITTONのようなラグジュアリーブランドは、優秀な職人を雇い、モノの価値やコストを考慮しながらブランド主導でそれなりの価値を設定し、消費者にその背景を納得していただいた上でビジネスモデルが成り立っている。
また、多くのラグジュアリーブランドは優秀な職人、その職人ならではの技術街や地域歴史といった無形資産を巧みに使いながら、適切にブランディングをしている。

日本は良くも悪くもハイクオリティのモノを低価格で購入できたり、使用することのできる稀有な国であると、わたしは認識している。
そして、作り手も買い手もコスパと称してそれが当たり前かのように浸透している。
そこにメスを入れた好例として、USJをV字回復させたマーケターの森岡毅氏の改革である。

当時テーマパークの業界価格は¥5,800であり、この価格は世界水準の半分であった。
そこで、チケット段階的に値上げし、6年後には¥7,400まで引き上げた。
その結果、ディズニーもそれを追随する形になり、テーマパーク業界全体に好影響を及ぼした。
もちろん、この値上げを支えているものは、その価格に見合った施策(ハリーポッター、バックドロップ、ハロウィンホラーナイト等)であり、わたしたち消費者はその価格に納得した上でUSJを楽しんでいる。

倫理的か否か

ここで、サステナビリティにおいて留意しなければならないのがグリーンウォッシュである。
グリーンウォッシュとは、本質的ではない表面上のエコ活動である。
事例として、北欧のファッションブランドのH&Mが過去にサステナブルなコレクションをプロモーションしたが、実際はサステナブルかどうか疑わしいとして、ノルウェーの消費者庁から違法として指摘されたことがあった。

英Futerra社は、このようなグリーンウォッシュを防ぐためにガイドを発行し、その中でグリーンウォッシュだと疑うべき10のサインという次のチェックリストを提供している。

1. ふわっとした言葉
明確な意味を持たない言葉や用語 例:「エコフレンドリー」。

2. グリーン製品と汚い会社
川を汚す工場で作られた効率的な電球など。

3. 示唆に富む絵
環境に優しそうな画像の使用。例えば、工場のパイプから花が咲いている描写など。

4. 1点の強調
他のすべてのものがエコではないときに、1つの小さなエコ要素をやたら強調する。

5. 業界ナンバー1
他がかなり酷くても、自社は他の人より少しエコだと宣言すること

6. ただ信用できない
環境に優しいタバコのように、危険な製品を “グリーン化 “してもそれは安全ではありません。

7. わかりにくい表現
科学者にしか確認できない、理解できない情報を使う

8. 空想の友人をでっち上げる
認証や、推薦など、第三者のお墨付きに見えるでっち上げの「レッテル」を使用する

9. 証拠がない
正しいかもしれないけど、証拠はどこにあるの?

10. あからさまな
完全に捏造されたクレームやデータ。

(出典:Understanding _Preventing_Greenwash)

表面上のエコ活動によって経済的利益を上げようとしているところに誤って大事なお金を落とさないように、わたしたち消費者のサステナブルに対するリテラシーを高める必要があると、わたしは考えている。
そのモノはどんな素材で、どこで生産され、どんな生産プロセスを経て、どのような輸送経路で届けられ、どのようにプロモーションされ、万が一売れ残った場合はどのような末路を迎えるのか、サプライチェーン全体を通して考えてみてはいかがだろうか。

日本はアルチザンとの親和性が高く、サステナブルなモノづくりができる国であると、わたしは確信している。
加えて、“物質的な” モノで満たされる時代から、モノを通して心身を満たす時代にシフトしていると、わたしは感じている。
そんなモノづくりが、わたしはクールでたまらないのだ。

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