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【錆びて動かなかったこころの秒針…④】

前回からの続き…。


さあ
ようやく針を持ち
縫い付ける瞬間になった。

あのビーズも使いたい
このビーズも使いたい
気持ちばかりがどんどん焦っていった。

例えるなら
子供の運動会で
久しぶりに走る親の気持ちに近い。

子供に良いところを見せたい
だけど、いざ走るとなると
気持ちばかりが焦って足が全然回っていない
そんな感じだった。

ちなみに
今回作ろうとしているのは
フェルトに小さな茶色のカボションを貼り付け
その周りを少し大きめのビーズで縫い付けていくという極シンプルなビーズ刺繍だった。


ちなみに
カボションっていうのは
プラスチックなどでできた張り付けて使う素材の1つなのだか

下の写真のように
ほんとうに様々な柄や色もあって
毎回選ぶとこからわたしを楽しませてくれている。

わたしは
器に入ったキラキラと輝くビーズを
チラチラ見ながら
1つ1つビーズを縫い付けていった。


だけど
出来上がっていくビーズはガタガタだった。



「これは、まずい」
心の中でつぶやいた。


裁縫は大の苦手だけどなんとかなるだろう
そう思っていた考えが甘かった。



おいおい
さっきまでの根拠のない自信は
どこへいったのだい?

ついさっきまで
あんなに自信満々だったではないのかい
あなたはほんとうに困ったお方だ…。

そして
あっという間に1時間が経過していた。



一心不乱とはこういうものなのか

高校の頃にテスト勉強をした以来だろうか…
わたしは、20年ぶりぐらいに
時を忘れるほど夢中になっていた。


さて
多少ガタガタはしているが
ようやく出来上がったみたいだ。

ぱっと見は綺麗だ。

そりゃそうだ
キラキラと輝くガラスビーズが
へたくそな技術を
カバーしてくれているのだから…。


しかし
最初から綺麗に縫えるとは
思ってはいなかったが
このガタガタな部分が
やたら気になって仕方ない。


なんだか納得ができない
そう心の中でつぶやくわたしがいた。


ほんとうに下手くそだ 
才能がないのかもしれない。

昔から
家庭科の裁縫は大の苦手だったし
できなくても仕方がないか。


おやおや、 
また、悪い癖が出ようとしている。

“できなくても仕方ないか”
そうやって
自分を誤魔化そうとする“わたし”が 
そこにいた。


つづく…。

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Yuzu.yuzu..

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