モテ体質だけど女子校なら問題ないよね

わたしは南さんの腰巾着の小鳥遊 唯です。

 南さんの隣にいるだけで、陽キャになった気分になれます。南さんと一緒にいると王様気分になれて、いいことずくしです。

 それに南さんのおかげでもう1人友達ができたし、誰がどうみてもわたしは陰キャではありません。

 新しくできた友達は結月ゆづき 陽葵ひまりさん。

 このクラスの学級委員長さんです。クラスのお母さん的存在で、彼女の前ではみんな甘えん坊になってしまいます。

 きっと前世は聖母マリアに違いない。知らないけど。

 でも最近一つわたしを困らせる悩みの種があります。

 それは南さんが異常にわたしとの距離が近いことです。

 いくら仲良くても少し異常です。物理的にも近いけど、心の距離もかなり近いです。


 もはや、わたしにめり込んでる気がする。

「どうしたの何か悩みでもあるの?」

 あー陽葵さんだ!まじ今日も天使。陽葵さんがあと4人いれば、世界から戦争はなくなっていたに違いない。

「大したことじゃないよ。でもハグさせてー」

「もう唯ちゃんはいつもそうやって甘えて」

 陽葵さんは名誉お母さんだよ。無限におぎゃれる。

 この状況を嫉妬に包まれた目で、静かに見ている者がいた。南さんだ

「唯、わたしの胸にも飛び込んでいいんだよ」

「大丈夫、もう陽葵さんに癒してもらったから」

 今度は寂しげな目だ。

「そ、そうか…それじゃあいつも通り屋上に行こうか」


 屋上…それはわたしにとって大切な場所。


 天使である南さんと出会えた場所。いわば聖地!!

 ***

 うーん屋上はいつきても気持ちがいいなぁ。全くノイズがない。

 この無限に広がる空が、わたしの内にあるもの全てを外に出してくれる。

「そういえば2人ともクラスの人気者なのに、昼休みとか放課後はいつもわたしと一緒だよね?他の人は大丈夫なの?

「そんなこと心配しなくても大丈夫。わたしは、唯ちゃんのことが好きだから一緒にいるんだよ」

 えーなにそれ!?ほんと陽葵さんは天然女たらしだな。

「わたしも陽葵さんのこと好き。結婚したい」

 わぁ陽葵さん顔真っ赤じゃん。反応が可愛すぎない?心が浄化される…

「わ、わたしも唯のこと好きだよ!!」

 ず、随分食い気味な反応だな。

 それにしてもカースト1位の美人2人に、好きって言われるなんてわたしは幸せ者だ。

 幸せを噛み締めていると、手に何かが触れた。南さんの手だ。

 南さんの横にいるといつも、手が触れそうになる。手を握りたいのかな?

 思いきって握ってみることにした。

 一瞬ビクッとしたけど南さんは手を握り返してくれた。

 あーなんか友達っぽい。友達に屋上…漫画でよくある青春っぽいことだ。

 日が少し強くなってきたな。

「ちょっと暑くなってきたからわたし飲み物取ってくるよ」

「いってらっしゃーい」

 2人きりなってしまった。なんか急に緊張してきた。手を握ってるからかな?

 沈黙が少し続いた。しかしその沈黙を彼女が破った。

「変なこと言うけど、わたし唯のこと見てるとモヤモヤするの」

 モヤモヤ?もしかしてわたし無意識のうちに不快な思いをさせていた!?何が原因だ?


 ……小さな脳みそをフル回転させ、原因探るが全く検討がつかない。でもとにかく謝らないと

「唯のこと見てると胸が凄く高鳴るの。もっと一緒にいたい。もっと近くにいたい。もっと触れあいたいと思う。変だよね」

 ん?なにかおかしいぞ

「唯と陽葵が楽しそうにしていると、嬉しいはずなのに胸が締め付けられるの…」

 それ完全に嫉妬だよね?


「一つ聞くけど恋愛したときある」

「一度もない…」




「それたぶん恋だよ」


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