見出し画像

創作物における「〇〇に似てる」発言はどう捉えたら良いのか問題

よくアニメや漫画、ゲーム等の感想で、
「このシーン〇〇に似てる」
「これ、前にプレイしたあのゲームと似てるなー」
なんて言う人を時々SNSで見かけると思います。

イラスト描いてる人はよくTwitterで「『〇〇の絵柄に似てる』発言は不快だからやめてほしい」的なツイートをしてる人もよく見るんじゃないでしょうか。

この記事では、創作物における「〇〇に似てる」発言は、良いことなのか悪いことなのかというところは触れません。そこについては「受け取り側(作品を作る側)がどう思うのか」という点に集約されそうなので。

悪意ある発言は論外として、

今回は、そもそもとして「なぜ人は『〇〇に似てる発言』をしてしまうのか/思ってしまうのか」というところについて考えていきます。

1.「〇〇に似てる」は、日常生活で常に起こってる。


いきなりですが次の文章を読んでみてください。


「あなたはカフェでゆっくりコーヒーを飲んでいました。異変に気付いたのはコーヒーカップをソーサーに置いた時でした。カップとソーサーが小さい揺れによってカタカタと音を鳴らし始め、だんだんと地面が小刻みに揺れる感覚が足から伝わってきました。大きくなった揺れはカフェの窓ガラスを壊し、店内は大騒ぎです。あなたはとっさにテーブルの下に避難しました。」
........




.......



.....


....


...


..

.

「なんと揺れの正体は、地中で数千年眠ってた巨大生物が活動を始めて地面を割って出てきた際の振動でした。」



...たぶんほとんどの人が文章を読みながら「地震」が起きたと想像していたでしょう。(地震と思わなかった人ごめんなさい…)


なぜ「地震」と思ったのか。(地震と思わなかった人再度ごめんなさい…)



それは私たちが過去に、
「地面が揺れるという現象は、地球内部の急激な変動によって地球の地面が揺れることによって起きる」と学んでいて、地震によって窓ガラスが割れたりテーブルの下に避難したことを体験しているからです。


だから実際は地震じゃない別の原因の可能性もあったのに、

地面が揺れる=地震

だと思ったのだと思います。
(もしかしたら「地震」という知識がない民族が地面の揺れを経験したら、言い伝えにあることを思い出して「生贄をささげなかったせいで神様がお怒りになってるのかもしれない…」と考えるかもしれません)


このように私たち人間は


今、目の前にある物/人や、現在起きてる現象に対して、過去の知識や体験を紐付けてそれがどのようなものなのかを判断することを無意識に脳がおこなっています。


他にも例えば…
「飛行機が落ちたというニュースがやってたから近々の海外旅行は辞めておこう。」

「最近パチンコ調子良いから今回も大当たりが出るだろう」

「メガネかけてる人はきっと知的だ。」

「都会の人は歩くのが早いからせっかちだ」

...などなど。こういうふうに過去の知識や体験を紐づけることは、新しい別の可能性を考えなくて済むので、脳にとって楽なのだと思います(脳は基本サボりたがり屋なのです)。
社会心理学でいうところの「ステレオタイプ」なのかなーと思います。
でもこのステレオタイプがあるからこそ我々人間は瞬時に物事を素早く判断できるわけです(良い面と悪い面もありますがここでは深く触れません)。

2.この無意識の脳の紐付けが作品鑑賞時にも起こる

人は、日常生活で当たり前に「目の前にある物/人や、現在起きてる現象に対して、過去の知識や体験を紐付けてそれがどのようなものなのかを判断することを無意識に脳がおこなう」ということを説明してきました。


つまり、


「日常生活で無意識に起きるわけだから、日常生活の延長線上にあるアニメ鑑賞時やイラスト鑑賞時、ゲームプレイ中に起こらないはずがない」

と思います。



よって、
創作物に触れてるとき、過去に見たことのある作品と無意識に脳が紐付けしてしまい、その時に出るのが

「〇〇に似てる」

という発言なのだと思います。(ステレオタイプでおこるメカニズムが、創作物に触れるときにも起こるのではないかと思います。)

3.「〇〇に似てる」発言は「人間の呼吸」と同じ

「〇〇に似てる」発言は、人間の無意識によって引き起こされる人間の脳の機能が原因だということを説明してきました。つまり創作物を鑑賞する対象が人間である限り、「〇〇に似てる」発言は絶対に起こるというわけです。(「〇〇に似てる」発言する奴はダサイという風潮になればなくなるかもしれませんが、それは個人的に健全じゃないなーとも思います。)

ここで、記事の題名である【「創作物における「〇〇に似てる」発言はどう捉えたら良いのか】については、無意識に感じてしまうのならば仕方ないと思う、というのが自分の答えです。

呼吸と同じです。呼吸も無意識にするものなので。

「〇〇に似てる」発言が苦手な人はもし言われたら「あ!この人はきちんと脳が働いてる!呼吸してる!」と思えば良いんじゃないでしょうか。

ちなみに自分は「どこがどう似てるのか」という話ができるので「〇〇に似てる」発言は苦手じゃない派です。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?