度外視されるフルタイム勤務しゅふ同然独身者のワークライフバランス

 「仕事と私生活、どちらも上手くいくよう調和の取れた生活をしよう」というような意味で、ここ数年来、スローガンや求人のキャッチコピーに使われるようになった「ワークライフバランス」。
 世間的な認識では、既婚者限定のもののようです。独身者にも私生活があり、配偶者が居なくても、老親を扶養したり、介護したり、家事を担ったりすることは、想像すらされないのか! と感じてきたのが現実です。
 これだけ高齢化や未婚率の上昇・非婚化が喧伝されながら、フルタイム勤務しゅふ同然の独身者の存在は、ないものとされています。

 未婚率の上昇・非婚化は独身者の自己責任のように言われがちですが、長時間労働で会社に軟禁されていたり、帰宅すれば要介護の親が居たりで、どう婚活しろというのでしょうね?
 職場結婚? リアルなお給料がわかっているだけに、難しい場合が多いんじゃないですか? (会社の知名度や規模とお給料は、必ずしも正比例しません。)
 それに、要介護の親が居るというのは、主な稼ぎ手になる側にとっても、介護要員になることを期待される側にとっても、重いです。

 「ワークライフバランスの取れる働き方をしませんか?」などと聞こえのいい求人をしている企業も、照準を当てているのは既婚女性とシングルマザーです。
 「既婚者には時短制度あり! 女性が働きやすい職場です」の「女性」には、独身女性は含まれません。独身女性がフルタイム勤務主婦のように家事や家族の世話をするとは思われていないのです。(世の中の既婚女性は、そんなにお気楽な独身時代を送れた人達ばかり?)
 「シングルマザーも安心! お子さんの都合に合わせて働けます」というような求人広告を出していた企業には、面談で質問してみました。
「この求人広告の内容は、要介護の親が居る独身者にとっても、働きやすいと受け取ってよろしいですか?」と。
 一瞬、戸惑いを示されて「まぁ、使ってもらう休暇の種類は有給休暇なので、同じですけど……。」と、返ってきました。(あれ? 一般的な有給休暇のほかに、育児休暇・看護休暇・介護休暇がありますよね?)

 実際に「ファミリーフレンドリー企業」に認証されている企業で勤務したこともありますが、要介護の母と二人暮らし(当時)だとわかっていても、容赦なく残業させられました。養母が危篤状態だという同僚の携帯が頻繁にバイブで震えていても、上司は放置するように言い、残業をさせていました。
 その職場(店舗)は独身者ばかりでしたが、一体どこが「ファミリーフレンドリー企業」なのか? という有様でした。独身者の家族は、それを名乗る企業や認証を与える自治体が想定する「ファミリー」に該当しないので、「フレンドリー」でなくていいという解釈なのでしょうか?

 複数の業種・職種を経験したジョブホッパーとして、「独身者なら身軽で、女性でも長時間労働させやすいし、休みも取らせなくていい」と思っているのが企業の本音だと感じ続けてきました。
 法律婚か事実婚か独身かを問わず、家族や家族同然の人達との時間を大切にしながら働ける社会システムになって欲しいです。
 要介護の親を介護施設に預けている独身者にも、家族と過ごす時間を作る権利を、当たり前に持たせて欲しい!と、切に願います。

 それにはまず、
・子なし独身者でも既婚者以上に家事や介護を担っている場合があること
・その上で、主な稼ぎ手にもならざるを得ない場合があること(自分以外に主な稼ぎ手が居る上で「ワンオペ〇〇」を訴えるしゅふ以上にワンオペ状態です!)
・介護施設に預ければ、会いに行くための時間捻出が必要で、同居とは違う苦労があること
・介護施設も、一人暮らしの独身者は容赦なく呼びつける場合があること
を、認識してもらうところから始めなければならない気がしています。

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