サンタの正体は親だと知った年のクリスマス

サンタがいると信じている方、タイトルはご了承ください。ごめんなさい。

この時期になると毎年思い出すことを残そうと思います。

父親の仕事の関係で、私が物心ついた頃に実家は貧乏になりました。

そのため、ほしいものは満足に買ってもらえませんでしたが、クリスマスにはサンタがプレゼントをくれました。

ゲームボーイアドバンスとか。懐かしいです。

嬉しくて、クリスマスは本当に楽しみでした。

そんな私にも、サンタの正体を知る日がやってきます。

小学生のとき、クラスメイトが「サンタの正体って知ってる？」とクラス中に声をかけていました。

私が、知らない、と答えると、クラスメイトは

「親だよ」

と無慈悲に言いました。

そして、私は親に確認もせず、そのままクリスマスを迎えました。

私の枕元に望んだプレゼントはありませんでした。

具体的には、グミや飴などの小さなお菓子の詰め合わせが置いてあっただけです。

本当は何かのゲームを頼んだような気もするけれど、それすらも忘れてしまうほどショックでした。

お情け程度のプレゼントを無視してリビングへ行くと、母親が私の部屋に行ってプレゼントを取ってきて「ほらプレゼント置いてあるよ、お菓子だよ」と言いました。

あなたはサンタなんだから、私が本当にほしいもの知ってるくせに、どうして平然とそんなことできるのか？

お菓子なんていらなかった。

あのときの私は、お金がないのに、お菓子だけでも置いてくれてありがとうって感謝できるほど大人じゃありませんでした。

普段ほしいものを買ってもらえない私にとって、必ずほしいものが手に入るクリスマスは格別でした。

それを踏みにじられた絶望感でいたたまれなかったんです。

友達は楽しんでるだろうに、私はどうして、という劣等感もありました。

クリスマスでさえ娘のほしいものを買えない家庭になってしまったんだと、親を軽蔑視してたかもしれません。

サンタの正体は親だと知ってしまったから、余計に複雑な気持ちになっていたと思います。

次の日、学校では、もちろんプレゼントの話題で盛り上がります。

私は恥ずかしくて何も話せませんでした。

そして翌年から、クリスマスの枕元にプレゼントは置かれなくなりました。

ところで、私の親は、今まで私のほしいものをプレゼントしてくれていたはずなのに、どうしてあのタイミングで小さなお菓子の詰め合わせをプレゼントにしたのでしょうか。

私がサンタの正体は親だと知っていることを、知っていたのでしょうか。

ちょっといじわるに、大人への階段を一段プレゼントしてくれたのでしょうか。

今でも不思議でなりません。