**.毒親と看護師教育・言葉の威力について.**

**.三つ子の魂100まで.**

という言葉がありますが、よく言ったもんだ!という感じです。
子供にとって(というか人生においてですが)メインの所属する集団は
「家庭・家族」になるのかなあと思います。
全てのベースが築かれる幼少期の家庭環境は、
*恋愛・結婚
*趣味
*仕事における人間関係
全てに大きく影響してきます。

言葉が持つ力はよくも悪くもとても大きいです。
子育てや教育の場でも特に感じます。
だからこそ、意識して相手に言葉を届ける必要があるのです。
自身も未熟ながら日々考えろ!考えろ!言い聞かせるようにしています。
今回はその重要な時期に素敵な言葉をもらえずに過ごした人はどうなるのか、どうしていけばいいのか。実例も踏まえてお話したいと思います。

※成語として用いられている毒親という単語を使用しましたが決して誰かを責めているわけではありません。
育児に悩み、投げかけた言葉に後悔している人を追い詰めるための表現ではありませんのでご了承ください。

熱心と過干渉は紙一重、視点の違いを意識して読んで頂けると幸いです。

**.毒親とは.**

子どもを自分の思い通りにしようとし、なかには暴力や虐待、過度の干渉などによって支配下に置こうとする親のこと。 

「なんでそんな間違ったことするの」「〇〇しなさい」
「あんたのために言ってるんだからね」
「失敗してほしくないから」
と子を熱心に思って発する言葉も子供にとっては毒になり得ます。

注意をしたつもりで言う言葉
「そんなこともわかんないの?」「何回言ったらわかるの」
「あんたは本当にかわいくないね」
「あんたは人を怒らせる嫌われる天才だね」
「女の子だからわかってくれると思ってた」

そして最終的には
「そんなに傷ついてたなんて気づかなかった」

このように無意識に発する言葉は、子育てだけではなく看護師教育の現場でも散見されています。
もちろん熱心なだけで悪気が全くない人もいます。


**.AC=Adult Childrenとは.**

子どものころに、家庭内トラウマ(心的外傷)によって傷つき、そしておとなになった人のこと。現在生きる上で支障があると思われる人たちのこと。

「お前はダメだ」「お前がまちがっている」と否定され続け、
「親の期待通りであれば」という条件つきの愛情しか与えられなかった子供は、「現状ではだめだ」と自己肯定感を奪われていきます。
ありのままの自分を受け入れられなくなります。
何も出来ない自分や、何も達成しない自分に、罪悪感や不安感を抱くようになります。
なので色々なことに手を付けたり、完璧を目指し始めます。
「あれできたら褒めてもらえる?」「あれがだめならこれは?」「今度こそ」「もっともっとできるようにならないと」
「完璧にやれば褒めてもらえる」
でもそんな日は来ないのです。
だって、自分より先に人生を始めた人の当たり前のお眼鏡に叶う完璧の次元にそう簡単に追いつけるはずがない。
そもそも相手の言葉にはきっと大した意味も悪気すらもない。

そして「あんたは本当に何一つ続かない中途半端だね」
という一言が返ってくるだけ。

それでも子供・新人のうちは褒めてもらえるように、できるようになるために、愛される自分になるために一生懸命頑張ります。

でもある時気付くのです。
「完璧」など存在しないし、あったとしても褒めてもらえない。
じゃあ何を目標に頑張っていけばいいの?
何が出来たら自分は褒めてもらえるの?
そう、心から褒められる日は来ない。

気付いてからが地獄の始まりです。
褒められるもののない自分は何一つ価値のない人間で、認められない存在なんです。何をどこまでやってもそれが続くのです。
それが子供にとっての当たり前の世界。
そして、それでも「自分のために一生懸命やってくれた」と感謝すべきという気持ち。綺麗なはずの感謝・恩返しの心も、ただの義務となり、そんな薄情な人間なのか自分はと更に心の枷になっていきます。
恨みと感謝相反する究極のその感情が、一生子供の心を支配していくことになります。

たったそれだけのことで?
と思う人もいるかもしれません。
でも、事実たったそれだけのことでそうなってしまう人もいるんです。

決して責めているわけではありません。
ただ、知ってほしい。
何気ない言葉がこうして他人に消えることのない心の傷を与えていたかもしれないということを。

**.愛されることが怖くなる.**

毒親に育てられた子供は、いつからか愛されないことが当たり前になっていきます。
「親の理想になった自分」「私の得てきた物」は愛されても、
「私自身」が愛されることはない。


「看護師のわたし」が好きなんでしょ
「自分は財布」と思うようになっていきます。
渡せば渡すほど喜ばれれば喜ばれるほど、
自分の存在意義を見つけられなくなります。
ああ、これを渡せる私が私なのかって。

ここまでくると、どれだけ愛情を注いでもらっても、信じられないのです。
こんな自分が愛されるはずがないと。
こんなに不十分で欠点ばかりでひねくれている性格の悪い自分が愛されるべきではない。
そんな自分が結婚して子供を産んでも、きっと同じように相手や子供を傷つけてしまう・・・。
頭で「この人は絶対大切にしてくれる」とわかっていても心が許してくれない。無意識にそのような思考回路になって、人と上手に関われなくなっていきます。

そうして愛し愛されたはずの人の手を自分から放してしまう。
親から刷り込まれた常識・当たり前である方程式
「やっぱり不完全な自分が愛されることはなかったんだ」
が成り立ち、ここでも悲しさと、安心という相反する感情が生まれます。

人間は自分の中の常識が覆されると無意識に不安や違和感を覚えます。
頭ではわかっていても、心がざわざわしてきます。
自分が知っている「私は愛されない」という常識から抜け出せないのはこのためです。

※手術も確立するまではどう考えたって傷害罪・殺人でしかなかったですよね、最初に踏み切って浸透させたのはすごいことです。ACが人の愛を受け入れるって、それくらいの心の革命が必要になります。

「無意識に」
「あなたのことを思って」
発した言葉が何十年にもわたって、きっとその後も一生その人を苦しめる。

それが、毒親であり、「言葉の力が持つ恐ろしさ」

**.どのように関わればよかったのか.**

褒めて伸ばす=「自己肯定感を育てる」

好きこそものの上手なれとよく言いますが。
教育が上手な人の特徴はとにかく「褒める」

褒めるって意外と難しかったりします。
褒めるのも教育スキルの一つだと思っています。
既にできる・知っている側の人間は目標設定が違うので、
「成功させて褒める道しるべを作る」
そんな人が教育上手なのかなと思っています。

そんなことを考えていると、難しいのでひどい言葉を考えている時間はなくなります。そんな時間が自分を成長させてくれます。

**.人間のできるが当たり前になるまで.**

①無意識にできない(できないことすら気付かない)
②意識してできない(気付いているけどできない)
③意識してできる(やればできる)
④無意識にできる(当たり前)

人間だれしも最初はできないから始まります。
そしてよっぽど超人的な技ではない限り、所要時間に差があっても人間誰でもやればできるようになります。
なので、子育て・教育者の役割は①と②のヒント程度なのではと思います。
そして解決する方法を手に入れていく中で、
そうして足りないものに気付くためにどうするかを学び巣立っていくのです。

**.たかが一言・されど一言.**

子育てやパワハラ上司がよく言う言葉。
「そんな風に思ってるなんて気づかなかった
「もっと早く言ってくれたらよかったのに」

ここまで、言ってた側も言われてた側もつらくなるような言葉を並べてしまい申し訳ありませんでした。
ただどうしても伝えたいことが伝わってほしくて、
それには自覚してもらうことが必要でした。

世界で一番愛していて幸せになってほしい存在である子供と
そんなちょっとしたすれ違いで一生恨み恨まれの関係になるなんて
とても悲しいことだと思いませんか?
でも子供はそんな何気ない言葉でもすべてを全力で受け止めて成長します。
もちろん新人看護師さんもそうです。

親がちゃんと愛してたのも事実だし、
子が否定されて生きてきたのも事実。
言葉一つで、現れた結果は恨みなんです。
こんな結果、悲しすぎませんか。

熱心だっただけ、一生懸命だっただけ、そんなお母さんの気持ちも救いたいんです。だって、こんなに愛して頑張ってるのに。
勘違いやすれ違い、たった一つのボタンの掛け違いで何十年にもわたって悩み続けてほしくないのです。
最終的に離れるしかなくなる前に気付いてほしい。

どうか、ちゃんと愛し愛されて、幸せになって。
そしてちゃんと心から育ててくれてありがとうと言わせてあげてください。

**.言葉のもつ力.**

私はこの問題を解決したくて、看護師+αで心理カウンセラーの資格をとりました。
本業で活躍されているカウンセラーさんとは比べ物になりませんが。

今回は言葉の怖さをクローズアップしてしまいましたが、
言葉は人を救う力も持っているんです。
今後は言葉の持つ力は本当にすごいということも伝えていきたいと思っています。

医療業界でもこの毒親ーACのような関係を散見してしており実際に自身も体験してきました。
今後はカウンセラーの立場としても検証し、少しでも教える側ー教えられる側双方の心を守っていけるように気付きを提供できるように活動していきたいと思っています。