ゆーや
いつも見ている街並みが、今日はいつになく美しく感じた。それが夕陽のおかげか、さっき見た映画の影響なのかよくわからない。ただひとつ言えるのは、この世界は何にも変わっていない。変わったのは自分で、日々の雑務や喧騒に揉まれ、本来見えてるものが見えなくなっていたのかもしれない。#140字小説 #小説 #ショートショート
その少年はいつも同じ場所で、脚を広げて座りながら何かを書いていた。あるときは笑いながら、あるときは怒りながら、そしてあるときは泣きながら。私は何してるのと少年に声を掛けてみた。すると少年はこう答えた。「ぼくは旅人の物語を書いているんだ。みんなで自由になるために。」#140字小説 #小説 #ショートショート
夜風が木々を揺らしていた。桜の舞う柔らかな日々は、もうじき風鈴の爽やかな音色にバトンを渡そうとしている。しかし、ここ何日かはバトンミスが多いようで、空は顔を歪ませている。本番はもうすぐなのに。こんな大事な時期にヘラヘラして練習に取り組んでいる桜と風鈴に空は喝をいれた。#140字小説 #小説 #ショートショート
「さぁみなさん!第5ステージです! 大会もいよいよ大詰め。今年は予想より残ってるメンバーが多いですね〜。難易度ランクは星9!激ムズにも関わらず!みなさん研究に研究を重ねてきたからでしょうか。しかし!第5は新ステージ。ここで一気に振るいをかけられます。さぁいきましょう!」#140字小説 #小説 #ショートショート
砂漠の真ん中で俺一人だぜ。 どうだおれの友よ。 快適かい? ん? 落ち着けって? いやいや俺は落ち着いてるぜ。 落ち着きに関しては俺の右に出るものはいない。 さぁいこうか。 つぎの場所へ。 今度はどんなところが俺を待ち構えているのだろうか? 待ってろよ!世界の友よ。 #140字小説 #小説 #ショートショート
親父。 飛んだな。 ああ。飛んだ。 あの飛行機はどこに行くんだ?親父。 お前そんなこともわからないのか。 だめだな。 うるせぇ。どこだよ? あそこに決まってるだろ。 あそこ? ああ。 、、、 夢だ。 ぷっ、、。 親父、くさ笑。 は?なんだこら。 でもなお前、 夢に生きろよ。 まじで。 #140字小説 #小説 #ショートショート
さあ、もう少しだ。 奥に見えるあの岩の向こうに、 君が欲しかったものがある。 頑張ろう。 ここに来るまで、君は泣き言も言わず、 一生懸命に歩みを進めてきた。 そんな君を誰かが見ている。 きっと。 いや、たとえ誰もみていなくても、 俺はみてる。 さぁいこう。 一緒なら大丈夫。 #140字小説 #小説 #ショートショート
じゃあいくよ。 そう言うと、彼は私の目を覆っていた手を少しずつ離し始めた。 まだだよ。 5数えたら目を開けてみて。 5、4、3、2、1 私はそっと目を開く。 目の前に広がっていたのは、 なんとも形容しがたい、幻想的な光の数々。 いつもありがとう。 これからもよろしく。 涙が溢れた。 #140字小説 #小説 #ショートショート
「兄ちゃん。僕な、強くなりたい。。」 どうしたんだ? 「だって。何にもできなかったんだ。」 動けなかったのか。 「うん。。こわくて、、守れなかった。」 そうか。でもな、焦らなくていい。お前なら絶対にできるし、俺はいつも応援してる。だってお前は俺のたった一人の弟だから。 #140字小説 #小説 #ショートショート
おっと。ちょっといきすぎてしまったぜ。ここはどこだ?何世紀だ?お前ここがどの星かわかるか?ええ。ここはね、地球と言って、青くて美しい星よ。そして私たちが今まで住んできたどの星よりも優しさで溢れていると言われてる。私はずっとここにきてみたかった。私は今まですごく嬉しい。#140字小説 #小説 #ショートショート
「ねぇねぇ。波さん。わたしあの人みたいにかっこいい大人になるんだ。」そっか。がんばれよ。おれは応援してる。へこたれるな。この世界は色んな人がいて色んな考え方や価値観がある。君は君の思った通りにやればいい。見失うなよ。自分を。「うん。」波は今年で一番美しい音を奏でた。 #140字小説 #小説 #ショートショート
鳥なったその少年は自由に空を飛び続けた。そこで見た世界は想像以上に広くて、本やTVで見た情報はほんの一部でしかなく、実際に見た世界はとても綺麗で美しかった。その中でも少年が好きだったのが夕焼けだった。なぜならその橙色が世界の苦しみや悲しみを和らげているようにみえたから。#140字小説 #小説 #ショートショート
今日もこの道を歩く。いつもと変わらない光景。ふと後ろ振り返ってみると自分が今まで歩んできた軌跡のようなものが浮かび上がってきた。そこには雨の日も風の日も、雪が降る日も歩いている自分がいた。あ、俺、自分が思っていた以上に頑張ってきたんだな。なぜだが涙が溢れてしまった。#140時小説 #小説 #ショートショート
ああ。あいつはもういっちゃったのか。まぁ仕方ない。俺の仕事は届け屋だ。依頼のあったものをしっかりと確実に、そして誰よりも早く、丁寧に届けるのだ。この仕事は楽ではない。しかし俺にとっては天職なのかもしれない。なぜなら、、ピロロ。電話だ。さて次の依頼に取り掛かるとするか。 #140字小説 #小説 #ショートショート
裏通りを入ると、そこには少し古びたアパートがあった。そして中心にはその佇まいとは正反対というくらいの鮮やかな青い扉。人工的過ぎてかなり不気味だった。しかし私は思いきってその扉のドアノブをそっと回してみることにした。扉を開けるとそこには想像を絶する光景が広がっていた。 #140字小説 #小説 #ショートショート
都会の喧騒から離れ、特に行くあてもなくのんびりと各駅電車に揺られていた。窓の外を眺めていると温泉という看板が見えた。そういえば最近お風呂にもゆっくり入れていなかった。私はその看板あった最寄りの駅で降車し、温泉に向かった。時を忘れ入った温泉は史上最高の癒しであった。 #小説 #140字小説 #ショートショート