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滲んだ世界の片隅で

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滲んだ世界の片隅て.8

、、、、、。だから、私はこの治療法を開発しました。治療法は僕のインタビュー記事や新聞やブログに全て書いてあります。全部タダです。精神的な病気にお金なんてかけないで下さい。もっとかけるべきところがあるはず。そんな病気で何も出来ないなんて時間も勿体ない。でもこんなこと言ってもまだ信じられない方もいらっしゃるかと思います。そういう人は僕に会いに来てください。直接伝えます。けどこうやってテレビに出演させて

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滲んだ世界の片隅で.7

「僕は凄くイライラしていました。世の中の多くの人は、どこか普通の人と違っていたり、逸脱した行為をしている人間を見ると、すぐに病気だ病気だと騒ぎ立てる。そして何かにつけては病名を付けたがる。もはや病気がない人なんでいないみたいだ。こんなことでは病気でない人まで病気なってしまう。僕は小さい頃ある3人の前で誓いました。世の中から病気をなくすと。それが今確実に現実になってきています。世の中にはものが増えす

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滲んだ世界の片隅で.5

しかしその夢は叶わなかった。私は親が苦労してお金のやりくりをしているのを知っていたし、やはり突飛なことを言って親に迷惑をかける訳にはいかなかった。だから自分に嘘をつき公立の幼稚園に通うことになった。

その旨を仲間の3人に伝えたところ、3人はとても残念そうな顔をしていたがお互い頑張ろうと励ましの言葉をかけてくれた。そして4人全員絶対活躍して、またどこかで会おうと誓い合った。私にはその約束を胸に言葉

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滲んだ世界の片隅で.9

また月日が経つと、あとの2人がテレビに映った。彼女たちは、一人が最年少女性初の世界大統領の第一候補、もう一人が小中高大と全てで飛び級、首席、学費免除で卒業し、現在これから始まる火星移住のための研究計画組織トップリーダーになっていた。

しかしなぜあの小さな公園にこれほど優秀で現在の世界を最先端で引っ張っているような、先頭に立って闘っているような人間が集まったのだろうか。私は疑問でならない。

でも

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滲んだ世界の片隅で.6

時は進み私は小説家になった。

私は夢を叶えた。

10歳の時に決死の思いで書いた小説が何かの賞に選ばれ原作がドラマ化、映画化、漫画化し、時にテレビ出演などもし、“小学生小説家”と一世を風靡した。

私があの時3人の前で宣言通りのことを成し遂げた。4人の中で最短で叶えた。さらには最年少受賞作家というおまけ付きだった。光栄だった。ただし私はこの目標に対して具体的に計画をし実行し日々全力で生きてきたの

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滲んだ世界の片隅で.4

すると、そいつは親たちが話で夢中になっているのを確認し突然こんなことを話しかけてきた。
「おい、幼稚園どうするんだ?」
初対面ということを気にも留めないそいつの発言に私は一瞬狼狽えたがすぐに返答する。
「私は近所の公立の幼稚園に行くかな。」
するとそいつは真剣な眼差しでこう答えた。「お前本当にそれでいいのか?」
私は少し理解が遅れた。
「それじゃもったいないぞ。俺たちはそんなところで小さくまとまっ

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滲んだ世界の片隅で.3

次に嘘をついたのは幼稚園に入る前の時だった。既に自我を確立していた私は、生意気ながら私立の幼稚園に入りたいと考えていた。理由は、詳細は後述するが、簡単に言えば自分には公立の幼稚園では物足りないという結論に達したからだ。

幼稚園に入園する前、両親はよく公園という土地に連れて行ってくれた。私はそこでまた自分の小ささを知った。自分はこの年齢にしては並外れた思考を持っている。この年齢でそんなことを考えて

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滲んだ世界の片隅で.2

初めて嘘をついたのは、おそらく2歳くらいの時だったと記憶している。

私は立って歩けるようになると、親にボールを与えられ、ころころ転がしながら遊んでいた。最初の頃は初めての体験だったので新鮮で面白く、よく笑い、自分自身も楽しんでいた。ただその遊びも2,3回ですぐに飽きてしまった。この時私は自分が飽き性だということを、2歳という人生のかなり早い段階で理解した。そして僭越ながら、同時に客観的に物事を捉

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滲んだ世界の片隅で

嘘をついた。

世界は歪んだ。

私は笑った。
#小説