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世界はそれを天才と呼ぶんだぜ〜 #ポールマッカートニー

なんか、ポールのカタログからもじれよ
なんでサンボマスターなんだよ

とにかくおたおめじゃん
オタオメ・マッカートニーじゃん

傘寿じゃん
傘寿・マッカートニーじゃん

ついに80歳にのし上がったポールマッカートニーを
今回は個人的視点から「なぜ彼は天才と呼ばれるのか」を考察していきたいのだ

・天才と呼ばれ得る5つの観点

もし、街で「ポールマッカートニーは天才」であると話しかけられて
理由を尋ねた際、どんな反応をするだろう
まぁ、私はそんな経験はない
数年前、旅先のタクシー運転手に「もうすぐ出るアルバム(Egypt Station)楽しみですね」と話しかけられたのみである。

おそらくその反応は様々だろう

また、数多あるビートルズ関連書やポールマッカートニー関連書籍で彼を天才と煽る記述がある時、その理由は様々だと思う

今回はその言われ得る理由を音楽的な5の観点に分け、それを順に紐解いていきたい

紐解くなんてそんな大それたことはしないが

あくまでも音楽的観点
「ポールマッカートニーがベジタリアンだからだ!」という理由などにはふれない


1. ボーカル


皆さんもご存知だと思いますが
ポールマッカートニーはお歌が歌えます
そしてお歌が得意なのですが
僕が彼に思うお歌の凄さというのは

全ジャンル特化型モビルスーツ

とにかく、様々なジャンルに応用が効く
素晴らしい声帯の持ち主

それが強ーく感じられるのが
ビートルズの『The Beatles (通称:ホワイトアルバム)』
の2曲

『Why Don't We Do It In The Road』

『I Will』

の流れ



この流れを改めて考えるととんでもない
『Why Don't We〜』のしゃがれ声から
まるで人が変わったように優しい声に変わる『I Will』
喉の情緒が…

僕はビートルズにボーカル7人ぐらいいると思ってます

また中でも彼の喉が爆発している曲が
アルバム『RAM』収録の

『Monkberry Moon Delight』


声帯を取り外して、直接、振動を加えているかのような歌声
※彼は特別な訓練を受けています


いや、、独学なんだろうな
訓練なんて受けてないだろうな
ん〜天才!

そんな彼の音域を見てみましょう

ファルセットが出てくる前とか、X JapanのToshIみたいになってます
X Britain ですわ

あまり、他の人と比べるというのもナンセンスではありますが
ボーカルに従事している面々にも引けを取らない音域
オールラウンドな彼の曲には必要充分な音域


2.ベース

ポールマッカートニーといえば、ベース
ベースといえばジャコパストリアス

そうポールマッカートニーといえば
ベース
中でも彼のトレードマークのヴァイオリンベースは
彼そのもの

ヴァイオリンベースがそこにあればみんな
「ハーイ、ポール」と挨拶してしまうほど

そんな彼はベースの名手としても
名を馳せる

『Something』

一番有名どころといえば、『Something』
ジョージハリスンの作品ではあるが、ベースはもちろんポール

このベースライン、甘い曲調にベースも歌う曲へと進化した2度美味しい曲

確かベースを後でオーバーダブして録音したということ
ポール自身が、そのほうが面白いベースラインを乗せれるというふうに言っておりました

『Getting Better』

こちらもベースラインが低音から高音に行ったりきたりと
稀有なベース
稀有ベース

『Being For The Benefit Of Mr. Kite!』

ジョンレノン作品『Being For The Benefit Of Mr. Kite』
やはり、ポールのベースは、他社の作品の方が映えるのか
ポール自身もお気に入りのベースラインとしてあげた作品
ポールはライブでこの曲を難易度の高いベースラインとともに見事に歌っていました

ベースの特徴としては、個人的には通常バスドラに合わせるようなロック思考から離れ
歌のメロディのそってるようなイメージがある
特にライブで披露する必要がなくなったのでクリエイティブに富んだビートルズ後期作品の
ベースラインはアバレンジャー

『Mrs Vandebilt』

パワフルかつ、リズミカル
驚くこと、ドラムもポールが担当しているので
全てのリズムを支配してしまった彼を止められるものはいないのである

3.作曲

ポールくんは作曲の名手でもあります
1956年彼の処女作『I Lost My Little Girl』が誕生し


ビートルズ時代は、「詞のジョンレノン、曲のポールマッカートニー」と呼ばれていたり、俺が勝手に呼んでるだけだったり


そんな彼は『ポピュラー音楽史上、最も成功した作曲家』としてギネス記録に乗った逸材でありながら、楽譜を読むことも書くこともできない(多少できそうな気するんですけど)
完全感覚コンポーザーなのです

『And I Love Her』

序盤から中盤にかけて普通に流れていきながらも
間奏で急に何事もなかったかのように半音上に転調して
その後、そのまま続いていく
当時としてはなかなかな転調
そして最後のコードを、VIのメジャー (キーFに対してD)で終わるという
なかなかな仕組み


『The Fool On The Hill』

イントロはピアノのD6で始まったのに、
サビで同主調のDmに転調しているが
まるで何事もなかったようにメロディを作り上げている

このDとDmのメジャーとマイナーの対比が聴ける
遊び心に富んだ一曲

『Uncle Albert / Admiral Halsey』

『RAM』収録のこのメドレー方式の楽曲は、グラミー賞2冠 (最優秀編曲賞、最優秀歌唱賞)の名曲

SEを多用しつつ、最初の『Uncle Albert』の部分では
ゆったりたテンポで、キーがGでありながら
『Am7/D - D』とツーファイブを繰り返し
『Gm7-C-C#-D』と半音し
間奏で『Gm7-C7』といつの間にAメロから1音下がった状態に

それから『Admiral Halsey』に行き着き
コーラス部では
『C (3拍) - Am (1拍) - Dm (4拍)- G7 (4拍)』と異様な立ち回りを見せ
4小説目で『F-A♭-B♭-C』とスキップする感覚で循環していく

このような目まぐるしい、コード進行、リズムによって作られたこの作品を
天才の所業と呼ばずなんと呼ぼう

『My Love』


細かいところを切り取っていてはキリがないのですが
この曲のすごいところを一点だけ
コード進行もさるところながら
Aメロの1主題が11小節1セットで完結するところなのです

基本ポップス等は、8小節単位
ブルースなどでも12小節単位など
偶数で1セット完結というものが主流で
聴いている側もそれがとてもキリ良く感じるのですが

11というなんともキリの悪い数字ながら
特に何も気持ち悪さを感じさせないこのラブソングは
彼独自の愛の表し方か
くぅ〜渋いねっ!!



4.作詞

先日、ポールマッカートニーのキャリアの中から、よりすぐりの154曲の詞を集めた、『Paul McCartney The Lyrics』が発売されましたが

https://www.amazon.co.jp/Lyrics-1956-Present-Paul-McCartney/dp/0241519330

彼の曲の内容もまさに十曲十色という感じで
様々なテーマが設けられているのです


ラブソング


『Silly Love Songs』

ポールはよく「ラブソングばっか書く」と揶揄されることがあります
往年のロック好きは「酒・ドラッグ・セックス」の精神を持っているため
当然ポールを少女漫画のように思ってしまいます (??)

それに吹っ切れたポールが作ったこの一曲は
「馬鹿げた(Silly)ラブソングの何が悪いんだ!!」と開き直り
べったべたな少女漫画をまた浴びせてきます

中でもサビのポリフォニー(多声)で歌われる部分では
今まで歌われてきた主旋律の伏線回収かのように
愛が溢れた一曲です

馬鹿げたラブソングを技巧ましましにして
見事ウイングスの代表曲の一つになりましたとさ

この他にも、揶揄されるぐらいのラブソングの豊富さを誇るポールマッカートニー
家族愛、フィクション愛、物への愛などいろんなものがあります

物語

『Magneto And Titanium Man』

ポールは、アメコミからもインスピレーションをもらいます

それで作られたのがこれ(曲名)

登場人物6人によって構成され、
語り手とミュータントと悪役と戦闘アーマー戦士がみんなで銀行強盗を企むという謎設定

『Back in Brazil』

ブラジルを舞台としたこの曲は
「夢見る少女がある青年と出逢って意気投合し、彼をデートに誘いたいが仕事で遅い彼は行くことが出来ない」
といった内容
中でも、日本語で「一番!」と叫んでいるのは
コンビニのレジでタバコを買っているわけではなく、ブラジルで日本人女性の
マッサージを受けたときに知ったから入れちゃおうといったもの


他にも『Paperback Writer』
『Ob-La-Di, Ob-La-Da』や『Lady Madonna』
『Maxwell's Silver Hammer』とかも実に物語的ですよねぇ〜


郷土愛


ポールの郷土愛は観光大使を超えます(知りませんけど)

『Mull Of Kintyre』はスコットランド西部にあるキンタイア岬の美しさに敬意を
表す代表曲
バグパイプによって、スコットランドらしさが増している

「僕はスコットランドが大好きだから、僕らが暮らしている場所についての曲にしようと思ったんだ。これはラヴソングだ。僕らがその場所で暮らしてどんなに楽しかったのか、そして旅をしていてもその場所に帰りたいということをずっと想像していたんだ」Wikipedia より

とポール自身が語るこの曲は、ビートルズ時代にイギリスで最も売れたシングル『She Loves You』を自分で抜いてしまう郷土愛であった


人種


『Ebony and Ivory』

白人と黒人をピアノの白鍵(ebony)と黒鍵(Ivory)に例え
「白鍵と黒鍵があるから完璧なハーモニーになるように、世界の様々な
人種が調和している」ということを書いた詞

白人代表のポールに加え、黒人代表としてスティーヴィーワンダーが加わった
夢のコラボ
できればそこに黄色人種代表として、私を入れてもらいたいものだ

ジョーク

『Temporary Secretary』

あるフェミニストが書いた「秘書というのは膝の上に乗せるのが一番だという考え方をポールマッカートニーが強調しているのを見ると反吐が出る」といったポールを批判する記事を見て書かれたジョークソング

一線を超えない、ただ事務的な仕事をこなす秘書が欲しいという皮肉の効いた内容


5.マルチプレイヤー

彼は、ビートルズデビュー以前はギターを弾いていましたが
ベースの脱退に伴い、仕方なくベースを担当することになりました
その他、一時期ドラムを担当したり
ピアノも弾くなど多彩

今回は、各楽器における個人的名演を紹介します

ギター

『Taxman』

ジョージハリスン作の『Taxman』
本来リードギターであるジョージは、この曲のソロをいくら弾いてもうまくいかず
代わりにポールが弾くことになり、わずか1、2回で完成させたそう

この「これしかない!」と思わせるようなソロが素晴らしい!

ピアノ

『1985』

リズムを崩さず安定したピアノ
印象的なピアノイントロから
一貫してリズムを崩さない!!

ドラム

『Back In The U.S.S.R』

本来リンゴが叩いていたドラム
リンゴのミスをポールがからかうと、リンゴは怒ってビートルズを一時脱退

仕方がっないのでポールが叩いた
さっきのドラムのフレーズなぁに〜♪

と、リンゴが叩いているとも思えてしまうこのドラムの安定は
ドラマーとしても腕利きのいいポールであった

ウクレレ

『Something』

2度目の登場であるこの曲は
ジョージが生前ウクレレをよく弾いていたことから
ポールは自身のライブでよくこの曲を演奏し、
前半部をウクレレ弾き語りでお送りする

ピンボーカル

最後にポールにしては珍しいピンボーカル姿を晒す

僕はいいと思うんだけど、
みんなが黒歴史扱いするんだもん…


まとめ

ここで天才と呼ばれる所以をもちろん全てではないが
個人的な観点を交えて一部書き留めれたのではないかなと

ポールマッカートニーもいよいよ80歳
しかし未だ現役
今もツアー中

僕がポールを生で見たのが2017年の春
その時でさえ74歳ほどであったのに
3時間のステージで、アンコールの前まで一度も休憩なく
水一滴飲むことはなかった

最新アルバム『McCartney III』のCD中面には
ロックダウン中のポールの様子が散りばめられているが
その中には三点倒立するポールの画像がある

元気なのは天才だからか

いや、彼が天才で元気である理由ベジタリアン
だからなのかもしれない


彼がいつまでバリバリに現役にやっていけるかで
その下の世代、全てのアーティストが試されるのかもしれない

そんな彼のアルバムから
『McCartney I, II, III』をセットにしたBoxが発売される

https://store.universal-music.co.jp/product/4502961/

この三作はいずれも、全曲作詞作曲、全楽器演奏、プロデュース
全てをポールがやっている

最後にその中の一曲でお別れしよう

『Maybe I'm Amazed』


世界中の人々を魅了してきたポールなのだから
どちらかといえば『Maybe I'm Amazing』なのだが…


参考文献


https://www.amazon.co.jp/ポール・マッカートニー作曲術-野口-義修/dp/4636958403

ポールの作曲については、この書籍がとにかく詳細に書かれています
先日、書店に行ったところ
楽典や作曲入門系書籍と同じ括りの場所に置いてありました
それほど、この本、そしてポールの作曲は、我々に創作の面白さ、遊び心を教えてくれるのです

https://www.amazon.co.jp/真実のビートルズ・サウンド完全版-全213曲の音楽的マジックを解明-川瀬-泰雄/dp/4845630273

こちらは、ポールだけでなくビートルズが出してきた公式楽曲213曲の概要、当時のビートルズの状況や、特筆すべきその曲の特徴などが詳細に記されています。


Twitter→ https://twitter.com/yuya_as_music

















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