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Jクラブが地域密着路線を掲げながらホームタウンで支持を得られていない背景・実情・矛盾

Jリーグといえば創設期のバブルが弾けるとともに低迷期を経てたどり着いたのが地域密着型路線。

方針転換を取ることで多くのクラブの経営や理念・方針が新しい形へ移行し、Jリーグは再び経営的にも動員面でも復調を果たします。

そして99年から始まったJ2はこれまで数多くの地方中心のクラブが後発として参入してきました。そして新潟や甲府のようなその後のロールモデルへと成長を遂げたクラブも出ています。

しかし約20年経過した今その地域密着理念は果たして本当に地域社会・ローカル基盤に貢献しているのかという疑問・観点を細かく分析していこうと思っています。

①20年経っても観客動員はほぼ横ばい程度と、成長が見られない

サッカーの興行的価値を測る上で外せないのは観客動員という数値。

いわば"お店"として来場者数はある種のバロメータとなるわけですが、この数値をJ2リーグで見ていきます。

昨年の平均観客動員数は7126人というデータです。しかしこの数値はエクスパンション(チーム数増加)前の03年、04年、05年の数値よりも低いという事実・データです。つまり約20年リーグとして活動をしているのにある程度の一定数値までしか伸びていないのです。

動員数はいわば、スーパーなどのお店でお客さんがどれだけ来ているかという数字。要するに約20年間やってきてなおかつエクスパンションによりチーム数が増えているにも関わらず横ばい、もしくは減っているということです。普通の商業施設でこの結果だとかなり厳しいです。エクスパンション(つまり店の施設拡張)がなされているにも関わらず横ばいですよ。

Jリーグはエクスパンション(チーム数増加やJ3創設など)を繰り返すごとに歴代最多動員(19年は前年比+108%の1140万1649人)を更新してきたと"誇張"しますが、分母を増やせば増えるのは当たり前の話です。

(2019年のデータ。チーム数が22あるにも関わらず横ばい状態。)

②地方ローカルメディアを独占できるのにも関わらずローカルで支持を得られていない矛盾点

Jリーグのサポーターはことあるごとにメディア露出(TV)が、野球など他スポーツに比べて扱いが悪いと言うことが多いですが、地方にはローカルのTV局があるわけです。

地方だと主要な娯楽も限られるわけで、いわば興行団体としてはマーケットを独占できるだけの余地はあり、ローカルTV局も積極的にクラブをPRしてくれることが多いです。

例えばレノファ山口は県内の地元ローカルニュース番組でも積極的に取り上げられています。山口の各放送局、特にニュース番組でも扱われているようです。また地方クラブにありがちですが、ラジオ番組ではレギュラー番組を持って中には選手がパーソナリティを持つような例もありますよね。

ところが山口の観客動員はJ2でも平均以下の5653人という数値にとどまっています。ホームスタジアムの維新スタジアムのある山口市の総人口は約20万人ということを考えるとなおさらです。

つまり、ローカルメディアの支援を受け、地元の人間がレノファを知る機会は多いにも関わらず全くローカルエリアでの支持基盤を確立できていないのです。

他のクラブでも甲府や新潟といったかつての地方クラブ成功例のロールモデルだったところも観客動員は下がり続けましたし、栃木や愛媛も地元ローカル局のサポートを受けているにも関わらず平均を大きく下回っています(愛媛はダントツの最下位)。

(朝の情報番組で取り上げられるなどメディアのバックアップを受けているにも関わらず観客動員は平均以下というレノファ山口。)

③本当に地域貢献が出来ているのか?地域貢献活動のやり方が間違っているのでは?

例えば地方クラブ(J1のガンバ大阪ですらも)は招待券・優待券を学校や各県の自治体などに配ったり、ホームタウンデーなどを開催してチケットの割引を行うことが多いです。

ところが子供達に招待チラシを配っても、実際来てくれるのはクラスで5人もいるかどうかということが多い。まず根本的に子供がJクラブに対して興味を持たれていないですよね。要するに関心・興味が低いということですし、Jリーグの来場者数の平均年齢を見ても若年層の割合は低いですから。

また優待価格のチケットを売れば1試合の平均チケット単価・収入も下がってしまうわけです。5000人集めたと言っても、その観客すべてがチケット価格の額面通りの金額を払っていないということです。

特にJリーグや地元のサッカースクールの子供がよく試合に見に来る光景を見ますが、大半の子供は試合そっちのけで喋ったたり、ゲームをやって試合もちゃんと見てないという光景はよく見ました。子供は試合への興味がないんです。

また地域貢献活動で小学校などへ選手が出向くことが、J2の地方クラブでも地元貢献活動やPR目的で行うことはありますが、一緒に給食を食べたり休み時間にサッカーやってその場では盛り上がるんだけど、そこから子供がサッカーに興味関心を持ったり、親を巻き込んでリピーター獲得…なんてことは非常に稀です。

つまり地域貢献といって様々な活動を行ってもチームの知名度向上やPRに繋がっておらず、ただの実績作りになっているだけという実情です。やってはいるだけで活動の手法・やり方に効果・意味がないんです。

(Jクラブは積極的に小学校訪問などの活動を行うも子供の関心度は低く、依然としてサポーターの平均年齢は高いままという実情)

まとめ・総評

結局地域密着といっても地方の地域レベルでのローカル支持も得られておらず、地域貢献活動をやっても小学校への慰問など効果のない活動しかやっていないので本当にJクラブは地域社会への還元が出来ているのか?という話です。

またJリーグは無意味で身の丈に合わないスタジアム拡張やライセンスの基準引き上げを推し進めており、J2もどんどん基準が上がってきています。

そのしわ寄せとして自治体にスタジアム拡張・整備や、専用グラウンドや専用クラブハウスの設置を要請します。でも平均で7000人程度しか集めらていないようなクラブが、J1基準や屋根の設置などを要求し、自治体は身の丈に合わない設備を作り、それは公費で行われているという実情です。

これのどこが地域密着・地域貢献なのでしょうか?そしてあまりにも生産性がないということです。またサッカーは野外スポーツで天候に左右されやすく、しかもホーム開催の少ないスポーツなので動員が少ないとチケット収入等が弱くなります。

その結果スポンサー収入に依存し、昇格・残留争いへの投資の為にと選手の人件費に集中的に投資する。その結果クラブ職員は劣悪な雇用条件で働かされやりがい搾取が起きる…まさに負の連鎖です。

クラブが地域社会に全くといって還元できてない・地元メディアのバックアップがあるのにローカルエリアでの支持を集められていない。このような現実が続く限り日本サッカーの先に暗い影を落とすことになりそうです。

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