見出し画像

7月の読書 | 大きな幸せより深い幸せ!


7月に結婚記念日があった。おめでとう私たち㊗️
記念日は大事にしたい。節目に何かやろうよ、ということで。わたしたちは毎年、本を贈り合うことにした。読んで欲しい本、読みたそうな本、似合いそうな本。わたしは夫に谷川俊太郎さんの『幸せについて』という本を、夫はわたしに『世界で最後の話-絵のついた寓話』という絵本を。ふたりで読もうと『フィリックスウェヴァーアフター』というトランスジェンダーのお話を。

いつか贈りあった本だけの本棚を。何冊になるのだろう。ふたりの好きな気持ちだけ、積もった本を見るのが楽しみ。

幸せについて/谷川俊太郎

時々思う、死んでからヒトは、生きていたことが、生きているだけでどんなに幸せだったか悟るんじゃないかって。

幸せについて/谷川俊太郎

大切にしたい価値観がぎゅっと詰まってる。このnoteのタイトルには谷川俊太郎さんの一冊から抜粋。「!」がついているところが谷川俊太郎さんのキュートさが表現されていて可愛らしい。
自分たちの幸せを体現していこうね、という気持ちで贈りました。生きている間も、そして命が果てたあともね。わたしたちは運命共同体だから。

世界で最後の花-絵のついた寓話-/ジェームズ・サーバー

わたしはよく戦争について考えている。何もできない、何もしていない、無力だけど考えている。そんなわたしに、夫がくれた一冊。戦争について考えられる一冊。シンプルで、優しくて、あったかい絵本だった。そしてユニークだった。先日のnoteにも書いたけれど、いつかどうして戦っているのか分からなくなってしまう前に。

フィリックスエヴァーアフター/ケイセン・カレンダー

女性であること。男性であること。身体的な違いを差し置いて、そこにある性差はなんなのだろう。わたしはフェミニストってわけじゃないけど、なんとなく社会に対して違和感は持っている。物語のなかで、ずっとフィリックスは立派だった。その友人たちも。

みんな生き物だということ。ただ、ただ。みんなおんなじだということ。本を読み始めたとき、ジェンダーに関する悲しい出来事があって、そしてその少しあとに素晴らしいこともあった。自分の個を発する人にはありたっけのエールを送れる、そんな社会でありますように。

はーばーらいと/吉本ばなな

そして僕たち三人はひばりを真ん中にして手をつないで堂々と、まあ、自分は親についてきてもらっている上にパンツ一丁なので偉そうなことは言えないが、出口に向かって歩き出した。

はーばーらいと/吉本ばなな

安倍元首相の事件から1年が経って、そんなタイミングで出たばななさんの新刊には、このテーマで書くのだという強い想いを感じました。宗教2世のお話です。この点において、とてもセンシティブで、知識も乏しくて、うまく語ることはできないのだけれど、とにかくずーっと力強かった。誰もが何かを信じているということ、生きたいと思っているということ、できれば正しくありたいと思っていること。誰かを心から愛しているということ。全てが濃縮されていて。主人公のひばりが一人じゃなくて本当によかったと思いました。

抜粋はいちばん好きなシーンの描写。

くもをさがす/西加奈子

先んじて感想noteを書きました。もう、また読みたくなってる。最高!

こちらあみ子/今村夏子

映画『花束みたいな恋をした』で何度か出てくる今村夏子さんの『ピクニック』。読了前に映画を見て「『ピクニック』を読んでも何も感じない人間」という言い回しがずっと気になっていた。わたしは何かを感じられるのだろうかと思い、ふと思い出して探した。『こちらあみ子』という短編集の中に収録されている。個人的には『こちらあみ子』のほうがインパクトが強く、印象的だった。

『こちらあみ子』も『ピクニック』も共通して、世の中から少しずれた女の子、女性が描かれていた。が、ズレているってなにから?どこが基準なのだろうか、ということが、読み終わったあと分からなくなってしまった。あみ子がずれているのか、七瀬さんがずれているのか、わたしがずれているのか。優しくて、愛おしいのに、どこかとても苦しい1冊だった。「何かを感じなきゃ。」ときっとどこかで思っていただけで、わたしが何かを感じられた人間であるかどうかは永遠に分からない。

自分ごとの政治学/中島岳志

「わたし」から世界を見つめる

自分ごとの政治学/中島岳志

わたしにはまだ子どもがいない。いつか、いつかもし叶うなら子どもが欲しい。でも、こんな世の中に産むなんて可哀そうだとまだ心のどこかで思ってしまうときもある。社会の未来が明るいなんてことあるのだろうか。上がり続ける物価にそのスピードには追いつかない賃金値上げ。国産のものはほんのわずかで、資源の確保は戦いによって妨げられる。情報社会の中で、注意深く歩かないと思いもよらないところで傷つけられる。

でも、未来を変えられるのは今を生きるわたしたちしかいない、ということはちゃんと分かっているつもりです。家族の幸せについて、責任をもって考えたい。自分の幸せについて、どこまでも貪欲でありたい。そういう野望の末に、こういう本も読んでいます。

小説家としての生き方/吉本ばなな

競わない。
自分だけを深く深く掘っていく。

小説家としての生き方/吉本ばなな

何度も心で唱える。いつだって個。いつだってひとりきり。自分きり。たったそれっきり。深めていった先に、あの人がいる。谷川俊太郎さんの言葉にも通ずるけれど、大きさじゃなくて深さなのだ。深く、強く。

あっという間に夏が終わって。きっと秋がやってくる。大好きな夏。きらきらの夏。一瞬のきらめきを逃さない。ありがとう7月。よろしく8月。

この記事が参加している募集

わたしの本棚

見に来てくださりありがとうございます^^これからも心のままに、言葉を大事に、更新を続けます。サポートいただけたらとてもうれしいです!