見出し画像

人事にとって重要な3つの問いとは?

ご覧いただきありがとうございます!
株式会社M&Aクラウドで人事をしている仙波です。
本記事では、前回投稿で取り上げた『採用に強い会社は何をしているか』という書籍の「最終章~採用担当者に必要な技術と魂~」について書かせていただきます。

タイトルは「人事にとって」と記載しておりますが、採用に関わる全ての人にとって考えるべきことを書かせていただきますので、是非ご一読いただけますと幸いです。

人事が向き合い続けるべき「3つの問い」

人事の世界では定期的にバズワードが生まれます。
ここ数年思い当たるだけでも、リファラル採用、ダイレクトリクルーティング、戦略人事、No Rating、女性活躍、働き方改革、1on1、ティール組織、HRBP、採用広報、CHRO、副業、リモートワーク、People Analytics、HR Tech・・・など枚挙に暇がありません。
SNSやビジネス系メディアをにぎわすこれらの概念や事例は、あたかも正しいことのように君臨し、多くの悩める人事担当者にとっては救世主のように見えることもあるでしょう。

ただし、採用担当者として忘れてはならないのは、「いきなり解に飛びつかない、先にHowを求めない」ということです。
人事の務めはあくまでも自社の事業と組織と人の課題に向き合うことであり、他社の「解」(=他社事例・ソリューション)に飛びつく前に、まずは人事にとって重要な「問い」に向き合うこと、これに尽きます。

これらをセットで考え、一貫性を持たせて実現させていく。これこそが人事の役割と言えるでしょう。人事の役割は「経営に資す、事業に資す」あくまでも「事業を伸ばしてこそ」です。そのためには、これらのハードな問いから逃げてはいけません。

リクルートの事例

それでは、具体的にはどう考えればいいか、2012年の分社化前のリクルートの事例を用いて説明します。

①事業特性
分社化前のリクルートでは、売上の約7割が人材サービス領域、約3割が販促支援の領域でした。これらの事業特性として挙げられるのは「景気連動性が極めて高い」ということです。好況時には売上が大きく伸び、不況時には真逆の傾向となります。

②組織能力
そうなると「好況時には売上を伸ばすために大量に人を増やす、不況時にはコストを抑える」ことが必要になるリクルートには、おのずと高い「人件費の調整能力」が必要となります。
コストの大半を占める人件費を不況時に押さえられないと事業が行き詰まることになるので、リクルート のような企業においてはOut施策もセットで準備することが必須となります。
また、リクルートは顧客・事業の特性上、5年選手であっても20年選手であっても売上金額に大きな差が生まれづらいので、若手メンバーがミドルに差し掛かるあたりに一定の割合で卒業していく(もしくは数年限定の契約社員として採用し、定期的に卒業していってもらう)ことが望ましくあります。

③人事施策
そのため、リクルートの人事戦略は「まずは優秀な人材を多く採用し(In)、早い段階から彼らのポテンシャルを引き出し(Grow & Motivation)、一定の時期に一定の人が気持ちよく卒業、もしくは不況時に人員数を素早く絞れる(Out)状態を実現する」と言い表すことができます。

リクルート の人事施策については、採用施策・育成施策・モチベーション施策などに目が行きがちですが、他社がなかなか真似できないリクルート人事の真骨頂は、「Out」の人事施策群をベースとした人件費の調整能力にある

本書P201~203

このように自社の「事業特性」を理解し、それをベースとして自社の成長を実現させる「組織能力」と、採用以外の観点も含めた「人事施策」をデザインし実行する。これこそが今も昔も変わらず、人事に関わる者として必要なことではないでしょうか。
採用が重要であることは間違いないですが、あくまでも自社を成長させる1ピースでしかありませんので、採用担当者は採用に限らず、人事全体・事業全体の理解に努めましょう。


リクルーターシップ~採用担当者が発揮すべき21の行動指針~

採用担当者は孤独になりがちで、その苦労を分かち合える人はそれほど多くないかもしれません。そのような状況下では、何が正しいのか、果たして自分の考えは合っているのか、不安になることもあるでしょう。
そこで、そのように困っている採用担当者の方の指針になればと思い、著者の青田努さんが21の行動指針を作られました。

1. dive deep
ポジションを理解しよう。現場を理解しよう。事情を理解しよう。人の心の機敏を理解しよう。どっぷり浸かろう。

2. 勝ち筋の設計
勝つべくして勝とう。勝てる理由を作ろう。勝てる算段をつけよう。

3. 相場の熟知
採用は競争。ターゲットを、マーケットを、ライバルを熟知しよう。時流を踏まえよう。

4. 気持ちシュミレーション
コミュニケーションを設計しよう。気持ちの揺れ動きや流れを共創しよう。

5. 投資と回収の意識
必要なリソースを計算して、原資を確保しよう。採用チームはコストセンターではないと主張しよう。

6. いい空気づくり
関係者をやる気にさせよう。チームでいい空気を作ろう。メンバーはリーダーを育て、支えていこう。

7. ストーリーテリング
自らの言葉で、ストーリーを語ろう。候補者の人生と現場に感動を引き起こそう。

8. 全身全霊クロージング
期待を伝えよう。粘り強くやろう。口説き切ろう。好転させよう。大事な言葉をかけよう。

9. 言葉を知る
言葉を知ろう。概念を知ろう。言語化しよう。言い回しを覚えよう。言葉を尽くそう。

10. 主観を磨き込む
主観を磨こう。直感を蓄積しよう。個人の主観は伝承して秘伝のタレ(組織の主観)にしよう。

11. 美意識を鍛える
美しくやろう。美しい採用・倫理的な採用とは何か、考え続けよう。世に恥じないことをしよう。

12. データドリブン
数字で語ろう。信頼に足る数字を記録しよう。数字から意味を見出し、意思決定しよう。

13. 道具を磨く
自分の道具は、自分が最もパフォーマンスを発揮できるようにカスタマイズしよう。無駄を削ごう。

14. 工程の徹底改善
正確にやろう。モレなくやろう。でも速く、早くやろう。オペレーションで優位性を築こう。

15. 苦手の克服
採用担当が折れたら、組織は成長しない。苦手意識なんて見て見ぬふりしよう。

16. healthy suspicion
健全な猜疑心を持とう。前例や通説を疑おう。「本当にそうなのか?」を大事にしよう。

17. 自学自習
日頃から自分を仕込んでおこう。自分をアップデートしていこう。採用周辺のことも学ぼう。

18. 当たり前のホスピタリティ
気を利かせよう。自分の手抜きや幼さが原因で、周囲に余計な手間や気遣いを生まないようにしよう。

19. 見られかたも大切にする
自分の見られ方、チームの見られ方に責任を持とう。盛るのは禁止。愚直に向上に努めよう。

20. ないものはつくる
工夫しよう。編み出そう。創意工夫しよう。魅力がないならつくって行こう。いい採用でいい会社をつくろう。

21. have fun
採用を楽しもう。採用は素晴らしい仕事だと信じよう。採用の楽しさを関係者に知ってもらおう。

リクルーターシップ~採用担当者が発揮すべき21の行動指針~

まとめ

世の中には、人事の仕事に関する様々な事例や、How to、小手先のテクニックが溢れていますが、「人事にとって重要な3つの問い」にもある通り、自社のことを深く理解し、「経営に資す、事業に資す」ための施策を考えて初めて、人事としての役割を果たせると学びました。

また、時代の流れと共に事業や組織も変化し、外部環境、採用市場も変化していくため、人事も学び続け、変わり続けなければならない。一方で、変わらず大事にし続けなければならないものもある。それが「21の行動指針」だと思います。

是非みなさんも、日々の行動や考え方を見直す良いきっかけにしていただければ幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?