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『人事と採用のセオリー』を読んで学んだこと②

仙波優磨@M&Aクラウド人事

はじめに

ご覧いただきありがとうございます!
株式会社M&Aクラウドで人事をしている仙波です。
本記事は私の読書感想文的な、学びをシェアする記事であり、網羅的な本の要約記事ではありませんので、その点あらかじめご了承下さい。

本書は「part1 人事のセオリー」と「part2 採用のセオリー」という二部構成となっているため、本記事では「part2 採用のセオリー」の第6~10章の内容を記載いたします。「part1 人事のセオリー」はこちらの記事で投稿してますので、気になる方は是非ご覧ください!

今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!


第6章:採用計画はどのように立てるのか

要員計画=採用計画ではない

要員計画とは「一定期間において必要な人員を確保するための計画」であり、要員を確保する手段は「採用」だけではありません。いきなり採用に飛びつくのではなく、適切な手段を選択する必要があります。ではどのような手段があるのでしょうか。
下記に検討すべき手段を優先度の高い順で記載しました。

①配置転換=自社人員の配置を転換する
②育成=自社人員の能力・スキルを開発する
③採用=外部から必要な人員を確保する
④外部委託=要員の一部または全部を外部に委託する

では、どのように要員計画を立てればいいでしょうか。
一般に、要員計画の検討は、人員の調達手段の検討から始まります。適切な手段がその時々の制約条件で変わるからです。例えば、コア業務であれば、できるだけ内製化するという判断もあるでしょう。即効性重視なら、育成よりも他の手段が適切になるでしょう。その上で、採用以外で獲得できない人員や採用での獲得が望ましい人員について、採用計画を立てるのです。当たり前かもしれませんが、案外この視点が抜け落ちている会社も多いです。

最適な採用チームを作る

採用に注力する上で重要になるのが、最適な採用チームを構築することです。一般に、最適な採用チームとは、企業全体の「人材ポートフォリオ」の雛形です。人間は自分と同じタイプを高く評価する傾向にあるため、採用チームのタイプの偏りによって、多くの企業で構成員が同質化してしまいます。そのため、採用チームは、人材ポートフォリオと同様に、多様な能力や性格を持った人材で構成しなくてはなりません。

また、社内に採用経験者を増やすことで、採用の重要性と難しさを理解している人が増え、企業全体として「採用を中心とした人事」が行われる素地が出来上がります。つまり、採用業務を人事部だけで完結させず、社内も巻き込んだ採用チームを作ることがとても重要となります。

求める人物像を設定する

要員計画を立て、採用で獲得するべき人員が決まったら、人材ポートフォリオに基づいて、「求める人物像」を設定することになります。その際に使われるのが、「演繹的アプローチ」と「帰納的アプローチ」です。

演繹的アプローチでは、自社の事業や組織を分析し、求める人材像を導き出します。自社の業務を適切に遂行するために必要な能力や性格や志向を推定し、そこから求める人物像を設定するわけです。
帰納的アプローチでは、自社で成果を上げている人材を分析し、彼らが持つ能力や性格や志向を抽出し、求める人物像を導き出します。

一般論ですが、事業環境が安定している場合は帰納的アプローチが有力で、事業環境が激変している場合は演繹的アプローチが有力です。
ただし、どちらを選んでも、もう一方のアプローチとのバランスを取る必要はあります。つまり、2つのアプローチから導き出した求める人材像をすり合わせるのです。

ちなみに、前職のエージェント経験から申し上げると、演繹的アプローチに寄りすぎて、理想を高く設定し過ぎると紹介難易度が跳ね上がり、候補者を紹介できなくなってしまうので、母集団形成の観点からも注意すべきポイントです。

第7章:候補者集団を形成し、選考する

求める人物像候補にリーチする手段は一般に「採用プロモーション」と呼ばれます。採用プロモーションは候補者集団を形成する上で極めて重要です。
そして、採用プロモーションは大きく、PULL型(オーディション型)とPUSH型(スカウト型)に分けられます。

図7-1 PULL型とPUSH型の特徴

PULL型プロモーションについて

PULL型プロモーションは多くの人にアプローチできる効率的な手法です。逆に言うと、候補者が多く集まりすぎると、採用活動が非効率になる可能性があります。そのため、PULL型プロモーションで人を集める場合には、「求める人材のみ集めること」に留意しなくてはなりません。つまり、採用広告などを見た候補者がきちんと「セルフ・スクリーニング」できるように、キャッチコピーや映像、広告制作物を制作しなくてはならないのです。

その際に特に重要になるのは、「リアルに仕事の実情を伝えること(RJP=Realistic Job Preview)」と「メッセージの伝え方」です。

図7-3 RJPによるアプローチ

PUSH型プロモーションについて

PUSH型プロモーションは、コストはそれほど掛からないものの、とにかく手間がかかります。マス採用広告のように、一回で大勢の人を集められないため、多くの地道な作業が求められるからです。
一方で、PULL型では会えないレベルの候補者にもリーチできます。また、自社の採用ブランディングが候補者にきちんと伝わっていなくても、直接顔を合わせれば修正可能です。つまり、PUSH型は、「分不相応な採用」をするのであれば、必ず取り組むべき手法なのです。

PUSH型プロモーションによって集めた候補者集団は、極端な場合、PULL型プロモーションで集めた候補者集団よりも内定者の出現率が10倍ほど高いこともあります。その代わり、「良い人材はどこでも引く手あまた」なので、内定辞退率も必然的に高くなります。よって、PUSH型プロモーションの実施にあたっては、フォロー体制の強化が重要になります。

図7-5 フォロー体制の強化方法

選考プロセスを設計する

採用の現場で選考の精度や「歩留まり率=次の選考に進める率」を上げるには、「選考プロセス」での工夫が重要になります。良い採用には、合理的な選考プロセスが欠かせないのです。
しかし、残念なことに、多くの会社が選考プロセスをないがしろにしています。その理由の一つに、「求める人物像の設定」や「採用プロモーション」などと比較して、選考プロセスを設計する作業自体が楽しく無いことが挙げられます。(馬鹿げているかもしれませんがよくある話です)
しかし、だからこそ選考プロセスの設計には、改善の余地が大きいのです。

選考プロセスは「歩留まり」「ステップ」「コンテンツ」の3つで構成されます。これら3つの要素を、自社の採用ブランドや採用環境、採用方針などに応じて決めれば、合理的な選考プロセスを設計できます。

  • 歩留まり=選考プロセスの各段階において候補者を次のプロセスに進める割合(数値)

  • ステップ=選考のプロセス(例)選考回数、実施期間、選考過程

  • コンテンツ=選考で使うツール(例)面接、筆記試験、適切検査

本書では3つの要素の設計の仕方や目安となる数字などが紹介されております。本記事では割愛しますが、上記の設計において重要なのは、「採用の常識」に囚われず、自社の採用課題を踏まえて、最も合った設計をすることです。当たり前と言えば当たり前ですが、ここを突き詰めて考えられるかどうかが採用担当者の腕の見せ所だと思いますので、読者の皆さん頑張りましょう!(私も頑張ります)

第8章:面接の質を向上させる

面接選考は選考プロセスで最も重要なコンテンツです。
能力、実績、パーソナリティ、etc、選考の過程で見極めるべきことは多岐に渡ります。それらを短い面接の時間に見抜かなくてはならないのです。
そこで重要になるのが、「一度のインタビューで全てを見ようとしない」ことです。つまり、選考のステージごとに見るべきポイントを絞り込む必要があります。

また、面接段階で、候補者が自社の求める全ての要件を満たしていることは稀です。そのため、候補者のポテンシャルを見抜くことが重要です。
ポテンシャルを見抜くインタビューには、方法論が存在します。その基本的なポイントは、「過去のエピソードを聞く」「わかりやすいエピソードを選ぶ」「ディテールを深堀りする」の3つです。これにより、候補者の思考特性・行動特性を探るのです。

図8-3 わかりにくいエピソードとわかりやすいエピソード
図8-4 深堀りすべき具体的エピソード(例:音楽イベントを開催した場合)

アセスメントに共通言語が必要な理由

面接での評価の方法は、体系的かつ普遍的でなくてはなりません。さもないと、面接担当者や面接時期の違いによって、評価がぶれてしまうからです。そこで重要になるのが、「人を表現する言葉=アセスメントワード」の種類を増やし、採用チーム内でアセスメントワードの意味を共有できるようにしておくことです。アセスメントワードは「採用に関わるスタッフ全員がわかる言語=標準語」にしておかなければなりません。

例えば、「地頭」「コミュニケーション能力」「論理的思考」というキーワードは、採用ホームページの「求める人物像」のコーナーで見ない日がないほど、採用の現場で使われています。しかし、その意味は会社によって他種多様です。
著者が様々な会社の経営者や採用担当者と会話した経験から、上記のキーワードは多くの場合、ある「4つの能力」のいずれかを表すことが分かってきました。

図8-6 頻出ワードが表す4つの異なる意味

例えば、同じコミュニケーション能力と言っても、展開力を指す人もいれば、具体化力を指す人もいます。そのため、採用担当者は、現場社員や経営者の言った言葉をそのまま鵜呑みすることなく、意味をブレイクダウンして「一体それは何を指すのか」を明確にしなければなりません。(まさに「抽象化力」と「具体化力」が求められるのかもしれませんね。)
この力を鍛えるには、個人的にはこの本がオススメです↓


第9章:優秀層を確保する

「内定=採るべき人が明確になった」後に力を抜いたことで、内定者が他社に行ってしまっては、それまでの努力が水の泡です。優秀層を確実に確保するには、内定者のフォローが重要となります。
では、内定者をどのようにフォローすればいいでしょうか。

内定者をフォローするには、まず採用担当者のパワー配分を見直す必要があります。すなわち、「採用担当者は優秀層のフォローに一番時間を使っている」状態を作るのです。(そのために選考プロセスの工夫が必要)
仮に1人の内定を生み出すために説明会で100人動員し、その後各ステージの面接を実施する必要があるとすれば、1人の内定者と2時間みっちり膝を突き合わせて話をすることは、100人規模の説明会を2時間実施するよりも価値が高いという認識を持たなければなりません。

内定者フォローでは心理的事実を聞く

採用選考で聞くべきことは、候補者が過去に行ってきた具体的な行動などの「客観的事実」です。一方、内定者フォローで理解しておく必要があるのは、仕事やキャリアに対する内定者の志向や価値観です。つまり、聞き出すべきは「心理的事実」なのです。

「心理的事実」を聞き出す上では「やる気の源泉」「キャリア志向」「自社に対するフックとネック」「強く影響を受けている人」の4つが特に重要になります。この4つによって人はいくつかのタイプに分類でき、対応に応じて内定者フォローのアプローチが変わってくるからです。

図9-9 「やる気の源泉」による4分類
図9-10 シャインによるキャリアアンカーの8つの分類(キャリア志向)

また、「意思決定スタイル」も候補者によって大きく異なります。意思決定スタイルに合わないアプローチで決断を迫れば、逆効果にもなりかねないので、要注意です。

図9-11 意思決定スタイルの違い

このように、内定者のタイプを理解した上でコミュニケーションを取ることは重要ですが、それ以上に重要なのは、企業側の姿勢です。
人はそう簡単に自分の心の奥底にある心理的事実を明らかにしてくれません。そのため、フォローではまず、心を開いてもらわなくてはなりません。

「こちらから自己開示する」「相手の身になり、フラットに相談に乗る」など具体的なHow toはここでは割愛しますが、企業側が誠意を持って歩み寄り、候補者に心を開いてもらうための努力をすることで、初めて率直な真実の会話が可能になるということを心に留めておきましょう。

第10章:中途人材を採用する

エージェントマネジメント

中途採用と新卒採用の違いはまず、新卒採用が「まだ能力のわからない学生を」「一時期一斉に」「大量に」採用するのに対して、中途採用は「すでに能力がある程度身に付いている実務経験者を」「時期を問わず」「比較的少数」採用することです。そしてもう一つの大きな違いは「人材エージェント」の存在です。今や中途採用は人材エージェント抜きには語れません。

つまり、中途採用の成否は「いかにエージェントをうまく使いこなすか(エージェントマネジメント)」によって決まります。
エージェントの特徴は「成功報酬型(結果が出なければお金のやり取りが発生しない)」であることです。発注側の企業にとってメリットである成果報酬型は、しばしばエージェント側の「何もやらなくても、マイナスはない」という消極的な姿勢にも繋がります。つまり「エージェントが自社に人材を紹介してくれるように仕向けるか」が重要なのです。

そこで本書では、「エージェントのやる気を高める方法」と「エージェントとの信頼関係を構築する方法」が紹介されてます。本記事では詳細は割愛し、下記にまとめさせていただきます。

図10-2 エージェントのモチベーションを上げる方法

エージェント経由の採用を成功させるコツなどは下記記事にも書かせていただいたので、より詳しく知りたい方は是非ご覧下さい!

私はエージェント時代に様々な企業を見てきましたが、中にはエージェントに対して「業者扱い」する企業もあります。しかし、今の採用市場は圧倒的に売り手市場となっており、企業よりも候補者やエージェントが優位な立場にあります。そういった状況をきちんと理解し、エージェントと適切な信頼関係を構築をすることは、採用を成功させる上でとても重要になります。

エージェント出身の身としては、少しでも多くの会社が、エージェントと良い関係を築き、採用を成功させて欲しいと考えております。

ちなみに、弊社M&Aクラウドは「"1 Team" 1つのチームでチャレンジしよう。」「"2nd Priority" 顧客第一になろう。」をValueに掲げており、エージェントの方と一緒にチームとして採用を進めたいと考えてます!!
ご支援下さっているエージェントの方々、いつもありがとうございます!

ダイレクト・ソーシングの活用

社内にエージェント機能を有することで、中途採用のコストを落としつつ、効率化するアプローチは「ダイレクト・ソーシング」と呼ばれます。
代表的な手段は下記が挙げられます。

  • エージェント経験者の採用

  • ダイレクト・ソーシング担当者の育成

  • RPO(採用代行)会社、フリーランスの利用

この中でもRPOの利用が最近注目を浴びています。
理由は、労働人口の減少による採用の難化、自社での担当者育成/採用の難しさ、スカウト型メディアの登場など、様々な事象が影響しているためです。

RPOへの支払いは成功報酬ではなく、イニシャルコストやランニングコストであることがほとんどです。うまくいくかわからないのに、イニシャルコストをかけるかは、もちろん会社の判断です。ただし、現状、RPOを使って自社専属のエージェント機能を担ってもらう方法が、品質とコストを両立させる上ではベストだと著者は考えられています。現状、採用に苦戦されている企業は、一つの手段として検討してみて下さい。

まとめ

今回は、『人事と採用のセオリー』の「part2 採用のセオリー」についてまとめさせていただきましたが、part1に引き続き、各章の内容がとても充実しており、全くまとまっていない分量になってしまいました。

学びとしては、「採用の常識に囚われるな」の一言にまとまります。
採用業務は一担当者目線で言えば、オペレーションをこなすことや、他社がやっていることを真似して無思考にツールを取り入れたり施策を打ったりするだけ仕事をやっている感は得られるかと思います。

しかし、自社の採用課題を分析し、適切な施策を打たなければ、ただただ業務に忙殺され、結果に繋がらないという、誰も幸せにならない事態に陥ります。それだけは避けられるよう、各社採用担当者は経営陣や現場を巻き込んで考えていく必要があるかと思います。

私自身も今一度立ち止まって考え直す良いきっかけになりました。
ここまで読んで下さった方にも少しでも学びがあれば嬉しく思います。

今後も定期的に本の感想や日々の学びをシェアしていく予定ですので、もしよろしければ「スキ」と「フォロー」をしていただければ嬉しいです!!
よろしくお願いします!

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