【初心者】株価暴落時こそ積立投資は続けるべき
ここ数日は株安と円高による為替差損によって積立NISAや iDeCoの評価額が減っている人が多いと思います。しかし、こういう時こそ積立投資は続けるべきだと考えます。以下、僕の考えを述べます。
【積立投資の意義】
まず、そもそもの長期積立投資の意義を3つの観点から説明します。
インフレに対する資産防衛
インフレは、時間とともにお金の購買力を低下させます。昨今の物価高によって食料品の価格は急上昇しました。同じ10万円でも、去年までとは買えるものが少なくなっています。これはお金の価値が下落したことを意味します。自分の資産の全てが現金であった場合、インフレによって資産の全てが目減りしてしまうのです。長期積立投資は、このインフレの影響から資産を守るための効果的な方法です。
株式投資:多くの企業は、インフレに応じて商品やサービスの価格を上げることができるため、長期的には株価がインフレに追随する傾向があります。
複利効果:長期投資による複利効果は、インフレ率を上回る収益を生み出す可能性が高くなります。
2.経済成長の恩恵を受ける
長期積立投資は、世界経済の成長から恩恵を受ける機会を提供します。
企業価値の向上:経済成長に伴い、企業の収益や価値が増加し、それが株価に反映されます。
イノベーションの恩恵:新技術や新産業の発展による経済成長の果実を、投資を通じて享受できます。
3.国際分散投資によるリスク分散効果
グローバルな投資は、リスクの分散とリターンの最適化を可能にします。
地理的分散:異なる国や地域に投資することで、特定の国のリスクを軽減できます。
通貨分散:複数の通貨に分散投資することで、為替リスクを軽減し、潜在的な通貨上昇のメリットも得られます。昨今の円安による物価高の影響も、ドル資産を持っていれば悪影響を和らげることができました。なぜなら、円安になればドル資産の円換算での価格は上昇したからです。
産業分散:世界中の様々な産業に投資することで、特定のセクターのリスクを軽減できます。
新興国市場へのアクセス:高成長が期待される新興国市場への投資機会が得られます。
これらの要素を総合すると、長期積立投資は以下のような目的を達成するための効果的な手段となります:
インフレによる資産の目減りを防ぎ、実質的な資産価値を維持・増加させる。
世界経済の成長とイノベーションの恩恵を受け、資産を成長させる。
グローバルな分散投資により、リスクを管理しながら、世界中の投資機会を活用する。
これらの理由が崩れない限り、長期積立投資は有効だと考えます。目先、株価が下落していたとしても、これで世界経済が永遠に成長しなくなる訳ではないだろうと考えるならば、投資を継続すべきだと思います。
【時間分散(ドルコスト平均法)】
ドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging, DCA)は、一定額を定期的に継続的に投資する手法です。この手法を使うことで、投資家は市場のタイミングを気にせずに投資を続けることができます。以下に、その意義と株価が下落した際にも買い続ける重要性について説明します。
ドルコスト平均法の意義
市場タイミングのリスク回避
市場の動きを予測するのは非常に難しいです。多くの投資家は高値で買い、低値で売るという誤ったタイミング操作をしてしまいます。ドルコスト平均法を使うことで、このリスクを回避し、定期的な投資を続けることができます。購入単価の平準化
一定の金額を定期的に投資することで、購入価格が平準化されます。例えば、株価が高い時に少ない株数を、株価が低い時には多くの株数を購入できるため、平均購入価格が調整されます。これにより、投資リスクが分散され、長期的には損失リスクが低くなります。心理的ストレスの軽減
投資をタイミングで行うことは非常にストレスがかかりますが、ドルコスト平均法を採用することで、継続的に投資を続けるだけで良いため、心理的なプレッシャーが軽減されます。
株価が下落した時も買う必要性
ドルコスト平均法の効果を最大限に引き出すためには、株価が下落したときにも買い続けることが重要です。その具体的な理由を以下に説明します。
低価格での追加購入
株価が下落したときに買い続けることで、安い価格でより多くの株式を購入することができます。これにより、全体の平均購入価格が低下し、回復局面での上昇利益を大きくすることができます。マーケットの回復可能性
市場は長期的には成長傾向を示すことが多いです。短期的には下落があっても、長期的な視点で見れば回復することが期待されます。下落時にも買い続けることで、回復期における大きな利益を享受する機会を持つことができます。逆張りの効果
株価が下がると多くの投資家が悲観的になりがちですが、実際には安い価格で良い資産を手に入れるチャンスでもあります。ドルコスト平均法を利用すれば、この「逆張り」の効果を自然に取り入れることができます。感情に影響されない投資
市場が下落すると感情的に不安になることが多いですが、ドルコスト平均法で定期的に投資を続けることで感情に左右されることなく、計画通りに投資を実行できます。これにより、感情的な誤った判断を避けることができます。
具体例
例えば、毎月1万円を積立てるとして、以下のような株価の変動があったとします。
月1: 株価1000円 -> 10株購入
月2: 株価 800円 -> 12.5株購入
月3: 株価1200円 -> 8.33株購入
月4: 株価1500円 -> 6.67株購入
4か月間の合計購入額は4万円で、合計37.5株を購入することになります。これにより平均購入価格は4万円/37.5株 = 約1067円となり、市場の上昇や下落に対する影響を平準化できます。
以上の理由から、ドルコスト平均法は長期的な資産形成において非常に有効な手法であり、株価が下落した時にも継続的に投資することが成功の鍵となります。長期積立投資をすると決めたからには、自分の感情は一切度外視して、機械のように毎月決まった額を積立してください。
【途中売却は税制上不利】
長期積立投資は、時間の力と市場の成長を味方につけ、効率的かつ効果的な資産形成を可能にします。特に積立NISAやiDeCoのような非課税制度を利用することで、税制優遇も受けながら、これらの目的を追求することができます。
新制度の概要
新しい積立NISAでは、年間120万円までの投資枠が設けられ、非課税期間の制限がなくなりました。つまり、一度投資したものは、売却するまで無期限で非課税となります。無期限非課税のメリット
この変更により、より長期の投資が可能になり、非課税のメリットを最大限に活用できるようになりました。老後になって資産を取り崩していく段階になるまでは、途中で売らずに引っ張れば引っ張るほどお得なのです。具体例
例えば、毎月10万円、年間120万円を30年間投資し、年平均5%のリターンを得た場合:
30年後の資産額:約8,200万円
うち、非課税となる利益:約4650万円
しかし、10年で売却した場合:
10年後の資産額:約1,550万円
うち、非課税となる利益:約350万円
この例から、途中売却してしまうと非課税となる利益が大幅に減少することがわかります。年間の投資額には上限があるため、売買して得た現金全額をそのまま投資することはできません。
結論として、途中売却は依然として非課税メリットを十分に活用できない結果につながる可能性が高いです。
【まとめ】
・株価下落でも長期積立投資の意義は変わらない
・株価下落時に買うことで購入単価を下げることが可能
・途中売却は非課税となる利益が激減するので不利
※積立投資では全世界株式インデックスファンド(通称:オルカン)もしくは全米株式インデックスファンドを想定しています。日本株は想定していません。
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