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苦しいのは、自分が思った以上にできない人間だから
夜になると鼓動が速くなる。
突然不安がやってきて、また眠れなくなる。
何が不安かは、自分でもあまり分からないけど、きっと仕事とか未来に対する焦りだと思う。
11年前に高校を卒業してからは、全力で仕事に打ち込んで、勉強して、とにかく真っ直ぐに進んだ。優先順位の一番は、どんな時も仕事や自分の成長で、そのためにいろんなことを手放した。そしてそんな生き方にも誇りを持っていた。
それは変わらず今も同じかもしれないけど、ふとした時に苦しくなる時がある。
「このままずっと何かに追われる人生を歩んでいくんだろうか」と。
何かひとつを極めることができなかったわたしは、常に慣れないことを必死で勉強しながら追いかけている。
特に慣れていない作業の時は、仕事でも詰めが甘くうっかりミスも多い。時間管理も苦手で、そんなこともできない自分にがっかりしてしまう。
「あれ、わたしってもしかして何もできない人間なんじゃないか」
と思うことも日常茶飯事で、その時もまた、わたしはこれからのことについて深く考える。
やりたいことや自分に向いていることを仕事にすることを大切にしてきたけど、私はいつも実力が追いつかなくて、理想とギャップを埋めるために必死だった。
何も知らずに、何も持たずに、ただ走っているだけのような気がして。
それでも「そうやって、走れるところが良いところだよ」と言ってくれる人が周りにたくさんいたから、わたしにはとにかく走った。そうすると「勇気をもらえる」とか「応援したくなる」と言ってもらえた。心理テストをすれば、「夢を描いて周りに希望をあたえる人」と診断されて、そんな言葉を鵜呑みにするわたしは、それが使命のように思えて、また高い希望を抱いて夢を語り、それに向かって勉強して、必死になってを繰り返した。
そんな自分に疲れていることにも気づかずに、当たり前かのようにそんな自分で振る舞っている。
時間はもっと緩やかに進めば良いのに。
大切な人たちと笑ってゆっくり過ごせたら良いのに。
ただそれだけのはずが、それを叶えるために在らぬ方向に矢印が向きすぎて、大切な目的を失っていく。
私の場合、目的を失ってしまう多くの理由はお金の問題だった。お金から解放されたらわたしはもっと自由に幸せになれるんだろうか。それも分からない。
でももし、お金に縛られない自分になれたら、わたしは、大切な人たちとの時間をたくさん作るだろう。それができなくてずっと後悔しているから。
そして、健康的でおいしいご飯のレシピを考えたり、お菓子をつくったり、部屋の模様替えをしたり、ドラマを一日中見たりしたい。
そんな生活が送ってみたい。もっともっとゆっくり時間を過ごしてみたい。今では怖くてそんなこともできない自分になった。そうすると、大切なことは少しずつ見えなくなって、気づけば疲れ果ててしまっている。
本当の幸せは大きなことじゃなくて、日常の些細な小さなこと。
これからは少しでもそんな自分に近づけるように変わっていけたらいいな。
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