鈴木勝吾さん推しです。基本的には舞台感想や好きなこと、日常について緩く呟く垢。成人済。…

鈴木勝吾さん推しです。基本的には舞台感想や好きなこと、日常について緩く呟く垢。成人済。F/B/Rご自由にどうぞ。こちらからも無言フォロー失礼致します。

最近の記事

饗宴『エイリアンハンドシンドローム』再演に寄せる雑感

「DisGOONieSがなくなってしまうらしい」 という寝耳に水のニュースが飛び込んできたのは、三寒四温どころか極寒からの初夏!みたいな狂気じみた気候が果てしなくループする2024年3月中旬のことだった。 第一声は「おい嘘だろ?」 続く感情は、何とも言い難い寂しさだった。 私は鈴木勝吾氏を推しているが、いわゆる古参と言われるファンではない。 勝吾氏を応援しているうちに彼が心から尊敬する西田大輔氏という脚本家を知ったものだから、DisGOONieSに通うようになった年数はさら

    • 響宴『世濁声』についての雑考

      羽のない天使が、小虫のように堕ちていく。 それは人のようであり、昆虫のようでもあり、羽虫のようでもある。 僕はそれを何処で見たのか、あるいは聞いたのかーー そんな文言から、この物語は始まる。 暗闇の果てから現れた〝彼〟は、左手に一冊の本を抱え、右手にはカラカラに乾いた薔薇の花を持っている。彼はそれを注意深く、さも大事そうに透明なシリンダーに挿し入れる。 私たちが一番最初に目にする、たったそれだけの仕草に、この演目の全てが込められているように私は思う。 彼が持っている本は、

      • 舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅶ(最終回)

        腰を据えて画面と向き合う時間がなかなか取れず、前回の更新からだいぶ日が経ってしまった。まだ一幕の感想しか書き終わっていないというのに、このまま尻切れとんぼになることだけは避けたい。そこで、今回を最後に感想を纏めきろうと思っている。 幸か不幸か時間が空いたことでだいぶ頭が冷えたので、改めて全体のストーリーを振り返りながら語り残している二幕の内容に触れていく。もう今はどこにもないあの物語の色彩が、少しでも誰かの記憶に残る手助けになれば幸いだ。 因みに、何かのご縁で突然この回に迷

        • 舞台『ETERNAL GHOST FISH』雑感

          西田大輔氏の手がける『ONLY SILVER FISH』シリーズの第4弾となる最新作である。 期間は2023年10月13〜22日。新宿の紀伊國屋ホールで上演された。 シリーズにはどれも、通称オンリーシルバーフィッシュと呼ばれる世界でただ一匹の魚が登場し、その魚の名を当てることが出来ればたった一度だけ大切な過去を振り返ることができる。そして、もう一度選択をすることができる、というルールが存在する。 私は『ONLY SILVER FISH』『+GOLD FISH』を配信で視聴し

        饗宴『エイリアンハンドシンドローム』再演に寄せる雑感

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅵ

          最近、学科も実技も期末試験に追われて、何故か週7日仕事だったりもするので物理的に時間が無い上、疲労で身体がズタボロでびっくりする。奥歯が痛いし、今朝なんて蕁麻疹まで出た。 が、諦めない。書き切るのを諦めないぞ私は。 ◆前半クライマックス〜幕間 さて少し時間は戻るが、今回は道長陣営に伊周の刺客が現れたところから振り返っていこう。 いや、道長様。この時点では一応まだ致頼がいるわけで、後ろで守られているものかと思いきや自らも抜刀するではないか。しかもビジュアルが出た時点から何と

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅵ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅴ

          前回の更新から少し空いてしまった。 今週に限って山積みの小テストに追われて忙しかったのもあるが、少しずつ言葉が出てこなくなってきている。たった二週間前の記憶なのに、日々のあれこれに追われて徐々に記憶が薄れているのだ。いつまでも余韻に浸っていることは、どうやら許されないらしい。 ふと考える。歴史に残らぬ空白の時、確かに存在したはずの人々の記憶は、こうして消えていったのだろうかと。そう思うと些か恐ろしくなる。 これは備忘録ゆえ、描ける限りは書き続けようと思うが、少しずつ精度は

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅴ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅳ

          前回やっと推しが出てくるところまで辿り着いたにも関わらず、唐突に考えが纏まらなくなったことについて原因を究明したところ、書きたいことが多過ぎて出力が渋滞するのだという結論に至った。よって、書き方そのものを変えようと思う。今後は範囲を決めてあらすじをおさらいし、それについての感慨をいくつか述べる形式にする。 本来やりたかったのは時系列に沿って注目すべき人物や関係性をピックアップして考察するやり方だったのだが、推しが出てくるところは覚えている限りのことを全部書きたいという欲求に敗

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅳ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅲ

          ◆賀茂忠行と安倍晴明 さて、ようやく本編の話に入る。 ある意味では時を超えた走馬灯のようでもあるオープニングが終わると、舞台上は途端に物々しくなる。 それまではそれがいつの時代であるのか、どこであるのかをおそらく敢えて不明瞭にされていたのが、明らかに朝廷であると分かる場所に賀茂忠行が引っ立てられてくるのである。 何人もの兵に取り囲まれる中で、差し入れだと林檎をひとつ渡され、それは有難いと齧り付く忠行。よく見れば髪はボサボサ、着物も薄汚れて憔悴している様子から、今し方捕えら

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅲ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅱ

          ◆イメージシーン 私を呼んでる 遥か遠い場所で 足跡並べた あの日の数え唄ーーーー これは志方あきこさんの『まほろば』という曲の一節だ。舞台が暗転し、果てなく蒼い空を思い起こさせるような旋律と共にその世界観は始まる。 舞台の中央で寝そべって笑い合う道長と伊周。肩を組んで何処か遠くを指差して夢を語り合うーー、そんな二人が次の瞬間には互いに刃を向け合う。 初見では「この二人に幼い頃からの交流があった史実なんてあったかな…」などと考えていたが、二度目に見た瞬間、琴線を鷲掴みにさ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ⅱ

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ℹ︎

          あゝ、花は散ってしまった。 私はこの舞台を三回ほど観劇したが、その間ずっと夢と現を流離うような心持ちだった。けれどもう、あの美しくも苛烈な世界観に戻ることは出来ないのかと思うと、とても寂しい。 千秋楽から一夜が明け、今日は眩しいほどの晴天だ。 劇中で何度か示唆されたテーマである「真実は何処にあるのか」という問い。 私たちは当たり前のように〝歴史〟を知った気になっているが、それは後の世の人々が遺された事象から考証したものであって本当のところは誰にも分かっていない。そうであるな

          舞台「Arcana Shadow」備忘録ℹ︎

          舞台「Arcana Shadow」感想

          ※ ほぼ下調べ無しで浴びた初見の感想です。 そんな情報知りとうなかった、と後から言われたら困るので「ほぼ」ネタバレなしと予防線を張っていますが、内容や結末を知りたくない方も安心して読めるように書いています。 行こうかどうしようか、迷っている方がいらしたら是非読んで欲しい。 届け!アルカナシャドウの魅力!! ひらひら、ひらひらと。 まるで色鮮やかな岩絵具で描かれた絵巻物が、目の前で紐解かれていくよう。 それが最初から最後まで一貫して変わらなかった感慨だ。 時間軸は二つ。

          舞台「Arcana Shadow」感想

          『仁義なき幕末-令和激闘編-』感想

          叫びが、聞こえた気がした。 「生きたかった」「死にたくなかった」「権力が欲しかった」「世界を変えたかった」 それぞれが事切れる瞬間の、後悔の断末魔。 その中で唯一、桜の海に沈んだ男が発した 「楽しかっ(た)」 いやもう、何だこの作品。 見終わって帰る途中の今も、電車の中で頭がガンガンしている。 人間が本来持っているのであろう激しい感情がぶつかり合って、文字通り泥まみれの愛憎劇が繰り広げられる。そう、愛憎劇だと私は思った。 あ、ここからはネタバレ入ります。 映画版も舞台版

          『仁義なき幕末-令和激闘編-』感想